138話・俺の評価が改まる
「あ...やっと、気づいた♪コウ君、だ、大丈夫ですか?」
「ク、クーナさん。俺は一体どうなって......ん?...って、うひゃぁぁっ!?
スス、スイマセン、クーナさんっ!」
俺はクーナさんの膝の上...つまり膝枕をされている事に気づくと、慌てて
膝の上から跳び跳ねる様に横にジャンプして、そのクーナさんから離れる。
「はは...それだけ元気でしたら、もう大丈夫ですね♪」
「たはは...まさか気絶してしまうとは、全く面目ない......」
ニコッとしたお日様笑顔で、俺の無事を喜んでくれるクーナさんに、
俺は照れながら、ニガ笑いをこぼす。
「あ、お兄さん。どうやら、無事にこちらに戻って来たみたいですね♪」
「はは...キミにも何か無様を見せちゃったね、とても恥ずかしい限りだ...」
ミルの友達であるみつ編みの子が俺の無事を確認すると、安堵の表情をして
くれた。
そんな表情を見た俺は、ありがとうという思いつつも、やらかしたという
気持ちも入り混じってしまい、ドンドン顔が真っ赤に染まってしまう。
「と、所で...お兄さん。ちょっと、質問をしても...いいですか?」
コウの暴走が落ち着いたのを確認したロイエが、真剣な面持ちで
そう聞いてくる。
「ん...?それは別にいいけど...一体、俺に何を聞きたいんだい?えっと、
その......そ、そう言えば、まだキミの名前を聞いていなかったっけ?」
「あ!すいません、私は『ロイエーネ・イクスピア』と言います!
ロイエって、呼ばれていますから、お兄さんもそう呼んで下さい!」
「うん、わかった。ロイエちゃん...だね。それでロイエちゃん...
そんな顔をして、俺に何を聞きたいのかな?」
ロイエちゃんの名前を確認した俺は、改まって俺に聞きたい事は何かと、
耳を傾ける。
「それはですね...スバリお聞きしますが、そこのお姉さんとミルの奴が
戦っている銀髪のお姉さん、この二人と同時に付き合っているっていうのは、
本当ですか?」
「え...!?ああ...う、うん、まぁ...色々あって、結果、ロイエちゃんの
言う様に二人とおつき合いをさせてもらっている......かな?」
ロイエちゃんの問いに対し、俺は湯気が出そうなくらい真っ赤に顔中を
染めあげて、照れながらもそう答えを述べる。
「ほへぇ...やっぱり本当なんだ...。いや~まさか、ミルちゃんのお兄さんが
こんなモテモテだったとは...。なるほど、ミルちゃんが危惧する訳ですね!」
コウから聞いた答えに、ロイエの表情が好奇心いっぱいの顔に変わって、
興奮を隠しきれないでいた。
そしてロイエの横にいたナユユもまた、
「しかしお兄様って、ハッキリ言って見た目は平均値前後だというのに、
この異常なまでのモテよう。これはきっとお兄様には何かしらの特別な力が
あるのかもしれませんね......」
コウのモテ度に対し、興味津々と恍惚が入り交じった表情で驚嘆してしまう。
「お、俺が特別な力をっ!?そ、それはいくらなんでも大袈裟な表現過ぎだよ!
俺はナユユちゃんの言う様に、どこにでもいる平均男さ!」
「あらあら、そんなに謙遜しなくてもよろしいのですよ、お兄様。昔から
あなたの様な巻き込まれタイプは、世界の中心になられる素質があると、
つねつね、お父様から聞いておりましたし!」
自分の誉め言葉を聞いて恥ずかしそうにしているコウに、ナユユが相好を
崩す笑顔で、ゆっくりと近づいて行く。
「そしてもし...そのような殿方にお会いしたら.........ん!」
ナユユがそう呟く様に述べると、自分の唇をコウの頬に優しく接触させる。
「はうっ!?ナ、ナユユちゃんっ!?」
「「「「「―――――っ!!??」」」」」
それを近くで見ていた、クーナとロイエ、そして決闘をしていたカノン、
ミル、ナナも戦いをピタッととめて、その身が石化した様に固まってしまう。
「うふふ...意地でもその殿方をゲットせよと、言われましたの♪」
ナユユがお日様の様な笑みを見せ、コウの顔を見るのだった。




