134話・俺とクーナさん、カノン先輩に説教される
「あの中に入って戦うだなんて、とんでもない!だって、三人とも
トップエースなんですよ!あの中で一緒に戦っていたら、私...全治に
どれだけかかるの?...って、状況になるのが目に見えますよっ!なので、
なるべくあの三人から離れて戦わなきゃっ!」
「はは...ああ、確かにそうだね...俺もクーナさんの立場なら、あの三人の
戦いに巻き込まれて、酷い目に合う自信が完全にあるよ...」
そう...多分絶対に数分も経たない内、そこら辺を転がって気絶している
だろうな...。
「そ・れ・よ・り、コウ君!なんでさっきは私の事を助けてくれなかったん
ですか~!」
クーナがコウの顔をジト目でジィィーッと見つめると、膨れっ面で両腕を
ブンブン振りながら激おこしている。
「俺も助けてあげたかったのは山々だったけどさ...クーナさんも知ってるで
しょう。カノン先輩って、騎士貴族の出身だから、決闘を蔑ろにすると
めっちゃめちゃ怒って説教タイムが始まるのを!」
「あ...そうでした。この前、私とコウ君が決闘が面倒くさいねって、軽い愚痴を
こぼしていたら、カノン先輩から数時間に渡って決闘とは何ぞやと、正座を
させられ、延々と説教をされましたっけ?」
あの時の足を痛みを思い出して、コウとクーナが苦笑を浮かべる。
「それにミルとナナも、俺が止めに入ろうものなら...うひゃおおぉぉぉぉ!
怖ぇぇぇぇぇぇっ!?」
とある昔の出来事が、ふと頭に浮かんでくると、俺は思わず変な声を口から
こぼしてしまう。
「ど、どうしたんですか、コウ君!?そんな奇妙な声を上げて...!?」
そんな慌てふためくコウを見て、クーナが驚いた顔で瞳をパチクリしている。
「イ、イヤね...。あいつらの意気揚々な姿を見ていたら、昔のトラウマを
思い出してしまって...」
「トラウマ...ですか?そ、それは穏やかではありませんね?一体どんなトラウマ
なんですか?あ、言いたくなかったら無理に言わなくてもいいですよ!」
トラウマを思い出したせいで、ブルブルと身体を震わせているコウに、神妙な
面持ちのクーナが、そのトラウマについて問うてくる。
「はは...心配ありがとう、クーナさん。まぁ、隠す事でもないんで別にいいよ!
実は...ね。俺が今よりずっと小さかった頃、ミルとナナの二人に隠れて、
女の子とイチャイチャしていた事があったんだ...」
「ほう...イチャイチャですか!?」
「もう...そ、そんな怖い顔をしないでよ、クーナさん。俺がかなりガキの頃の
お話なんだしさ!」
ピクッと眉を動かし、俺の顔を細めて見てくるクーナさんに、俺がニガ笑いを
浮かべて、そう説明すると...
「へぇ...それじゃ、私やカノン先輩がそんな昔話をしたら、コウ君は冷静で
聞いていられるんだ?」
「そ、それは......おうう!?いられ...ないな、これ...。す、すいません...
さ...さっきの言葉...訂正します!」
俺はクーナさんとカノン先輩が、他の男性がイチャイチャしているのを
想像してしまうと、額に数本の青筋ができてしまい、先程の言葉に関して
素直にクーナへ謝罪の言葉を口にするのだった。




