13話・俺と赤点
あの試験から数日が経った...。
試験の結果は......ハイハイ、不合格でしたよ!
くそ...まさか最後の詠唱をひと文字間違える凡ミスするなんて...
本当、同時責任のクーナさんにはわるい事をしたな...。
だって何もしていないのに、追加試験を受ける羽目になっちゃったん
だから...。
それをクーナさんに謝ったら、逆に頭を撫で撫でされて今度は頑張ろうと
励まされた...。
イヤ~頭を撫でられると、こんなに落ち着くもんなんだな...。
また落ち込んだら、クーナさんに撫でて貰っちゃおうかな♪
...と、まあ...そう言う事で、俺とクーナさんは追加試験の魔法の練習を
する為、修練体育館の中にある、ここ...フリーグラウンドへ来ている。
「我が魔力を以て...我が魔力を以て...我が魔力を以て...うっし!今度は
「魔力を」を「魔法を」って言わないぞ!」
「はは...コウ君、その詠唱をもう1時間繰り返している...よっぽど、
間違えたのが悔しかったんだね...」
何度も同じ場所の詠唱を繰り返すコウを見て、クーナが頬を掻きながら、
ニガ笑いをこぼす。
「それもあるんだけど、1番はクーナさんを巻き込んじゃった事が悔しいんだ。
本当にごめんね。俺と組んでなかったら合格できたかもしれないのに...
はうっ!?」
「もう...何回も言ったけど、コウ君が組んでくれなかったら、私は試験を
また試験官の先生とやらなきゃいけなかったんです...」
クーナさんの言い分では、やっぱりクーナさんも、俺と同じ理由で試験官と
試験を受けるのは恥ずかしかったみたいで......
それに加え、先生とパートナーにする緊張も折り合って、そういった時は
大体いつも不合格だったらしい。
「...なので、気にしないで下さいね!」
クーナがコウの頭をくいっと自分の胸に引き寄せると、頭を優しく撫でてくれる。
はわわ...!?
それにしても、なにこの状況!?俺の顔に...顔全体にクーナさんの胸の感触が
伝わってくる!
クーナさん、結構着痩せするのかな...?この頬に伝わる感触をみるに、
かなりのバストの持ち主さんです!
それに加えて、この恵愛を込めた撫で撫ではどうだ...!
これを食らったら、もうクヨクヨなんてでやしませんわぁ~~!
はぁ~幸せぇぇ~~♪
クーナさんから贈られるこの至福に、俺の心も身体も充たされていく。
「こらぁ!そこの二人っ!こんな場所で何をイチャイチャしているん
ですかぁぁっ!?」
すると突然、そんな至福の時間を邪魔するかのように誰かの叫声が、
コウの耳へ入ってくると、そのままの勢いで声の人物がズカズカと
音を立てながら、コウの元へ近づいてくる。




