124話・俺の妹のお友達
「ちょっと、コウにぃ!その露骨に嫌そうな顔はなんですか!
折角、貴方の愛する妹、この『ミル・ラーディス』が、遠路遥々
コウにぃを訪ねてやってきたというのに!」
コウの素っ気ない態度に、妹のミルが膨れっ面でプンプンと激昂して
抗議する!
「だ、誰が誰を愛するだ!他人が聞いたら、勘違いをするだろうがっ!」
「お、おい...聞いたか...今のあの子の言葉......」
「ああ...聞いた。妹を愛してるだと...かなりの変態だな、あいつ...」
「きっと、あれだ...妹さんに『お前はお兄ちゃんのお嫁さんなるんだぞ!』
...とか、毎日言いまくって洗脳してたんだぜ...」
「うわ!キモい...妹を手懐けての結婚の約束...それを本当に実行する奴が
いるだなんて...」
ほらぁぁっ!やっぱり、勘違いしてるじゃんかぁぁぁっ!
...って言うか、勘違いLVが、なんか酷い事になってるんですけどっ!?
「あ、あのちょっと、ミルさん...質問を宜しいでしょうか?」
「何?ナユユちゃん?」
ミルの左右にいる恐らく友達であろう二人の女の子のひとりが、ミルに
何かを質問しようとしている。
「もしかして、この殿方が貴女がいつも自慢していた、噂のお兄様なの...
ですか?」
「えっへん、その通りっ!これが私の自慢の愛する、未来の夫...コウにぃ、
その人ですっ!!」
何がえっへん!...なのかは知らないが 、ミルに声をかけてきた女の子...
ナユユへ、ミルがドヤ顔でサムズアップを返す。
「うむうむ...ほうほう...」
「な、なんだ、キミ!?そ、そんな至近距離でジロジロと見ないで
くれないか!?」
興味津々な表情で俺へ近づき、ジィィーと見てくるその子の距離感に、
恥ずかしくなって、思わず後退りしてしまう。
「身長や顔立ちはまぁまぁですけど、他が全て平均値以下ですね...。
これはハッキリ言って、期待外れも良い所ですわ...ハァ!」
ちょっと!さらりとなんて酷い事を言うんでしょう、この娘さんっ!?
「この男のどこをどう見たら、そんな自慢になるのか...正直、全く以て
わかりませんわね!」
ナユユがやれやれといったポーズを取って、ガッカリの混じった嘆息を
吐いた。
「ほほう...私のおにぃをそこまで馬鹿にするとは...どうもナユユさんは、
この世に未練がないみたいですね...」
ミルがそう呟くと、マジカルポーチから1本の大剣を取り出り、ナユユに
向かってゆっくりと身構える!
「うわ!?ス、ストップ、ストップ!その大剣は駄目だって、ミル!本当に
ナユユがあの世に行っちゃうやつだからっ!」
ナユユに大剣を向けているミルに対し、もうひとりのミルの友達が慌てて、
羽交い締めをして、それを止める。
「ぐぬぬぬ...離して下さい、ロイエちゃん!これでは、ナユユちゃんを
殺れないじゃないですか!」
「殺らなくいいのよ!殺らなくてっ!!」
未だに殺るき満々で暴れるミルを、説得しながらロイエが窘めている。




