123話・俺の妹が学園に遊びに来る
心に刺さる言葉のダメージから何とか回復した俺は、しばらくカノン先輩と
クーナさんと楽しく談笑をした後...
家に帰る為、学園を出ようと学園の校門へと移動している。
ワイワイ...ガヤガヤ......
「な、なんだ、あの目の前にいる沢山の...特に男子生徒ばかりの人だかりは!?」
帰ろうとする目の前で、騒ぎを立てながら集まっている沢山の人の固まりに
俺は驚いてしまう。
「ったく...めっちゃ、邪魔な連中だな...。今日は早く帰って、今度の試験の復習を
しなきゃいけないっていうのに!」
今度の試験の為の特訓で、カノン先輩から何度も注意を受けてしまった箇所の
復習を忘れない内、早く家に帰ってやりたいって、思っているのに...
この蟻の入る隙間もない程に集まって、俺の進行を邪魔する連中に対し、かなり
激おこしてしまう。
「お、おい!見てみろよ!あの学園出入り口近くに佇んでいる、三人の
美少女をよぉぉ~っ!」
「ああ!勿論、見ているさ!ハァ~なんて可愛いんだろ、あの子達!」
な、なんだとぉぉぉぉ―――――っ!?
「び、三人の美少女...だとぉ!?可愛い...だとぉぉっ!?それが三人も
いるだとぉぉぉっ!!」
こいつらに苛立ちを募らせていたその時、俺の耳へ心をワクワクさせてくれる
言葉が入ってくる。
「でもあんな可愛い子達、うちの学園にいたっけか?」
「いや...多分、この学園の子じゃないだろう...。証拠にほら、あの子達の
制服って、うちのと全然違うじゃん!」
「あ...本当だ。あの制服って見た事あるぞ?えっと...確か、トルエ学園の
制服じゃなかったか?」
「トルエ学園の?そのトルエ学園の生徒が、なんでここ、グランジ学園に
いるんだ...?」
「さ、さあ...?何かこのグランジ学園に用事でもあるんじゃね?」
俺の目の前にいる、沢山の人だかり達がワイワイと騒ぎを立てながら、
三人の美少女達の話で盛り上がっている。
「ト、トルエ学園...。トルエ学園って言えば...確か俺の妹、ミルの通っている
学園じゃね?」
あいつの通っている学園って、俺の故郷近にある筈なんだが...なんで
こんな遠くの地にその生徒がいるんだ?
ふ...だが、そんな事はどうでもいいっ!
だってこの子達ってば、めっちゃ美少女と言っているじゃん!
だったら俺も、是非是非、その三人娘達とやらを拝み倒さねばならんよなぁぁっ!!
俺は両の拳を高々と天に突き上げて気合いを入れると、その美少女と呼ばれた
トルエ学園の女の子達を見る為に、猛ダッシュで学園出入り口に集まっている
人だかりを掻きわけ、掻きわけてと移動する!
「おお、見えて来たぁぁっ!あ、あれが、騒ぎの美...少女...の......」
「ああ!コウにぃ、やっときたぁぁ~!もう、遅かったじゃないですかぁ!
この愛すべき妹をこんなに待たせるだなんて...図々しいにも程があるんだから!」
「コウにぃ」と呼ぶその美少女がコウに気づくと、ツンデレ口調の入り混じった
文句をこぼす。
そ、その話し方、その姿...ま、間違いない!?
いくら目をこすっても、何度も何度も見直しても、そこには映ってくるのは、
ここにいる筈にない人物、
「お、俺の妹のミルじゃないかぁぁぁ―――――っ!?」
俺の妹...『ミル・ラーディス』がそこに立っていた。




