117話・俺とセティの契約終了
『もう...だからここですって、あなたの武器の中からですよ!』
「俺の武器......て、うわ!?ほ、本当だ!ここからセティの声が
聞こえてくる!?」
声の指示する刀へ俺の耳をソッと傾けると、確かに刀からセティの声が
聞こえてくるのを確認する。
『やっと気づいたんですか...意外に鈍チンなんですね。さっきはあんなに
私との契約を疑い、難儀していたのに......』
「はは...悪かったね。こういう展開にはあんまり慣れていないんでね...」
俺はセティの呆れ口調に、ニガ笑いを浮かべながら頬をポリポリと掻く。
「でも、そっか...精霊との契約って、こんな感じなんだ?俺的には
もうちょい、精霊と契約したという実感を得るものだと思ったよ!」
『そうですね、これがコウ自身との直接な契約だったら、私が
身体の中にいる感じを実感できるんでしょうけどね!』
「なるほど...武器に取りついているのに、俺の身体に体感があるのは
確かに変か...」
セティの説明に納得がいったと、俺は首を何回か小さく縦に振る。
『ちょっと、コウ!取りついているって言い方はやめて下さいな!
せめて、憑依と言って下さい!』
コウの変な納得に目には見えないが、明らかに激昂しているであろう表情で
プンプンとセティが怒ってる。
「へ、変な拘りがあるんだ...。俺には、どっちも同じように思えるけど?」
『全く、違いますよ!甘いかと辛いかくらいのねっ!』
ハテナ顔で首を傾げているコウに対し、セティがわかりやすいのか、
わかりにくいのか、よくわからない例え話で、その二つの差を説明してくる。
『まあ...その話は後でタップリするとして...。それじゃ早速ですが、コウ!
ここからちゃっちゃと脱出しましょうか!まず、刀をあの天井の穴へ向けて
構えて下さい』
「構える...こうでいいの...かい?」
セティに言われてた通り、俺は刀を天井に向けて構える。
「こんな感じ...かな?」
『はい、それでOKですよ♪では、いきますよ......っ!』
『ハァァァ――ッ!ブリザード・ブラスタァァァァ――――ッ!!』
セティが氷魔法を詠唱すると、刀の先から物凄い魔力のこもった氷の粒が
光線の如く、天井へ向けて斜めに発射される!
「ぐ...ぐうぅ!?な、なんだっ!?この馬鹿デカイ魔力の威圧はぁぁぁっ!?」
『大丈夫、コウ?でも、刀を手から離しちゃ...駄目だからね!』
「うぐぐ......む、無茶言いよるなぁぁぁ...!こ、これ...LV10台クラスで
使う魔法じゃないよぉぉぉぉっ!?」
頑張るよう激を飛ばすセティに、今にも身体が吹っ飛びそうな俺は、文句に
近い愚痴が口から次々とこぼれ出す。