110話・俺、男の子だもんっ!!
「えええぇぇぇぇ―――――っ!?」
この人、何を口走っているのぉぉぉぉ――――っ!?
パンツ...パンツを見せるからって、言ったよね!?
「.........ごくっ!」
こ、これは...イエスと言うべきか......いや、言うべき場面だろっ!
だって俺、男の子だもんっ!!
性格はまぁ...別として、こんな可愛い子のパンツを見るチャンス...
「それを見逃す程、俺は愚かじゃないわぁぁぁぁ――――っっ!!」
拳を天に高々と突き上げて、俺は雄叫びを荒らげるっ!
「コホン、それでは...パン、パン、パンツを見......」
ハッ!?
カ、カノン先輩!?クーナさん!?それに...ナナとミルッ!?
俺は興奮覚めまぬ気持ちを咳払いで切り替え、目の前にいる女性へ
OKの言葉を発しようとした瞬間!
カノン先輩とクーナさん...それに何故かナナと妹ミルの加わった四人の
鬼の形相がハッキリ頭の中に浮かんできて、この身がカチンと固まる。
「ん...どうしたんですか?急に動きをストップしちゃって?ま、まさか、
このナイスバディの私のパンツを...見たくないとでもっ!?」
コウの驚愕な表情を見て、女性が目を見開いて喫驚すると、わなわなと
身体を震わせショックを受けている。
「い、いや...別にそんなんじゃないんだけど...キミにそこまでしてもらうと
逆に気が引けちゃうからさ!もういっその事、ただで助けてあげても
いいかなぁ~と思っちゃって!はは...ははは!」
「え!ほ、本当ですか!やっほい、ありがと♪もう、感謝感激だよぉ~っ♪」
コウの助けるという言葉を聞いて、よほど嬉しかったのか、女性が瞳を
キラキラさせて、感謝の世辞を述べる。
「...で、どうやってキミを助ければいいの?」
「それは...ね。私をここから引っ張り上げればいいだけだよ...」
そう言うと、女性が両手をコウへ向け差し伸べてくる。
「引っ張るだけ...?こ、こうでいいの...かな?」
そう言って俺は、女性の手を取って自分の方へ引き寄せた。
「キャン!」
「おっと、大丈夫かい!」
少し強く引っ張ったせいでバランスを崩した女性を、抱きしめる様に
俺は受けとめる。
「あ...!う、うん、だ、大丈夫だよ!ほ、本当にありがとね!おかげで
助かっちゃったよっ!」
コウに抱き寄せられる形になった女性が、その顔を真っ赤に染め上げて、
慌てふためきながら、そそくさとコウから離れる。




