103話・俺の幼馴染のナナの喫驚
時はカノンがムゲを見つけだし、ボコボコにする為に学園中を
探し回っていた頃に遡る...
ここは学園の中央にある中央広場...
そこでコウのクラスメイトの女子生徒達とナナが集まって、談笑を
していた......。
「な、なんですとぉぉぉっ!?そ、そんな事がこの教室であったの!?」
数日間、新人戦の準備で他の学園に出掛けていたナナが、クラスで起こった、
この間のコウ告白騒動に、叫声を上げて喫驚する。
「本当、凄かったんだよ~!クーナさんへのコウ君の熱烈な愛の告白は~!」
「いや~あれは嫉妬を越えてしまう程、見事な告白だったよ、うんっ!」
ナナの問いに対し、女子生徒達がこの間の状況を思い出すと、その身体を
クネクネとくねらせて悶えている。
「むむむ...私のいない間にそんなフラグが立っていたとは...不覚だ!」
二人から聞いた情報にナナが拳をブルブルと震わせて、何故、自分が
そこにいなかったのかと、怒りと後悔を露にしている。
「ね...ナナさん、前から聞きたかったんだけど...いいかな?」
「私に聞きたい事?一体なにを聞きたいの?」
急に真面目な表情に変わる女子生徒に、ナナがハテナ顔で首を傾げる。
「ナナさんってさ、コウ君を振ってラール君と付き合っているんだよね?」
「え...?」
「なのに、何でコウ君の事で、そんなに怒ったりしているの?」
コウの事を聞きたかったひとりの女子生徒が、ナナに率直な質問を
問いかける。
「そ、それは...」
「それは私も聞いてみたかったんだ!コウ君には揺るぎない相手が
できたっていうのに、なんでそんなに構うの?」
「だよね、だよね!見てるとさ、いつも邪魔をしたり、今の様に
コウ君の事で怒りを露にしちゃっているよね...それは何故?」
他の女子生徒達も続けさま、コウの事で困惑したり怒ったりしている
ナナを不思議に思い、質問を続ける。
「そ、それは...その...ほ、ほら、昔から知っている幼馴染がさ、清き正しい
いち学生として、ちゃんとおつき合いができるかどうか、心配になってさ...」
ド正論を次々と突き付けてくる女子生徒達に対し、ナナがあたふたと慌てながら
懸命になって、苦しい言い訳を口にする。
「清き正しい...か。まぁ確かにナナさんならありえる話か...。何せ、
ラール君とのイチャイチャも、みんなが嫉妬しない程度の接し方だし♪」
「でも男子は嫉妬したり、羨んだりしているけどね...はは」
「たはは...あれは、中々の見苦しさだよね♪」
女子生徒達が、男子生徒達の残念行動を思い出すと、思わずニガ笑いが
洩れるのだった。