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差し出がましいようですが。  作者: 花鳥 秋
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出会い

 


 ーーそうか、そういう事だったのか。

 僕が江利香の命日の前日に毎年、お墓参りに行っているという事は誰にも知らせていない事だった。


 つまり、こういう事だろう。


 毎年、江利香の命日にお墓参りに行っていた家族の誰かがいつもそこに置かれている菊の花束と御線香に疑問を持った。


 “一体、誰が来てくれているのだろう?”と。

 そこで親戚を訊いて回ってはみたが、結局誰かは分からず終いだった。


 そこで、探偵、白夜叶愛にそれが誰なのか探して欲しいと依頼した。


 だが、白夜叶愛自身も誰かまでは特定が出来ない為にあの墓地で待ち伏せるという手段をとった。


 そうだ、そうに違いない!

 我ながら完璧な推理だ!ーー



 僕は自分の推理に酔いしれパチンと指を鳴らしていた。


 白夜叶愛はそれを、少し首を傾げながら微笑を浮かべて見ている。



「謎が解けたって顔してますね」



 白夜叶愛にツッコまれ、僕は満更でもない表情を浮かべる。



「はい、完全に解けました。

 ずばり、白夜さんーーあなたが依頼された内容とは毎年家族以外の誰が、先にお墓参りをしてくれているのかを突き止める事、じゃないですか?」



 僕の推理に彼女は「おぉ」と声にこそは出さなかったが、表情で見せ、小さな拍手をしてくる。



「そして、それが誰なのかを突き止める為にあなたはその人物を待ち伏せるという手段を使ったんです!どうです?」



 と、どうやらこれが要らない推理だったらしい。

 彼女は「ん〜…」と、首を捻ってしまった。



「50点ですね。

 私が依頼された内容は貴方の仰った通りですが、お墓参りをしている人物は依頼人のお話を聞いた時点で特定する事が出来ましたから」



「え?本当ですか?!」



 僕が驚くのを見て彼女はニコッと笑い「はい」と、返事が返って来る。



 彼女はそのままインターホンを鳴らし、中からの反応に明るく応対する。



『はいーー』



「あ、白夜探偵事務所の白夜叶愛です。調査報告に参りました」



『あ、はいはい、ちょっと待っててね』



「はーい」



 と、インターホンでのやり取りを終えると、すぐに僕の方に振り返る白夜叶愛。



「あ、で、先程の続きですが、私が依頼を受けたのは一週間前でした。

 依頼内容は貴方も気付いた通り、誰がいつも花束を置いて行ってくれているのかが知りたい。

 そんな感じでした。

 お話をお伺いすると、ご家族の皆さんは毎年命日の日にお墓参りに行くそうなんですが、誰もすれ違った事すらないそうで。

 近くの親戚にも訊いて回ったそうですが、誰も知らないと言われたそうです。

 そんなお話を聞いている時に私の眼にふと一枚の写真が止まりました。

 部屋の洋服タンスの上に飾られた幼い男女の子どもが仲良く写った写真です」



「それって…」



「はい、幼い頃の貴方と江利香さんです。

 “この方は?”と、江利香さんのご家族の方に尋ねた所、幼馴染で近所に住んでいて昔はよく遊んでいたが、貴方だけ成人すると同時に隣町に引っ越して行ったという情報を得る事が出来ました。

 もちろん、夢見さん御一家はあなたの御実家にもお墓参りの件を確認しましたが、当の貴方は離れて一人暮らし中。

 貴方のご家族も、お墓参りの件は知らないと答えたんでしょう。

 そうなってくると、“直接、確認を取ってはいないが取ったつもりになってしまっている相手”が居るという事になります。

 それが貴方です。

 誰一人としてすれ違わないのは貴方が日付をズラしてお墓参りをしていた為ですよね?

 此処までは依頼を受けた当日にわかっていました。

 後はその裏付け捜査で終了です。

 今日、私が例の墓地に出向いた理由は何処かの勘違いも甚だしい偽善者野郎に一言、言いたい事があったから立ち寄ってみたら、本当にそこに貴方が現れた、ただそれだけの偶然です」



 ん?なんか最後らへんの言葉に引っかかりを感じたぞ?ーーと、言おうとして、白夜叶愛の後方で夢見家の扉が開いた。

 彼女はサッと振り向いて、挨拶している。



 どうやらこの白夜叶愛という女性。

 サラッと棘のある毒をたまに吐き捨てる悪癖があるようだ。




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