皇宮の日常(5)
「あらっ葭煠と皇霞じゃない!相変わらず、可愛すぎて食べちゃいたいわぁ~」
そう言って、濘音さんはぎゅぅぅっと葭煠と皇霞を抱きしめた。
「おねーしゃん、くゆしい~」
「かあしゃま~」
「ね、濘音!離せ」
「あら、やだ。ごめんね?……そうだ、こんな時間に来て何か用があったんでしょ?」
「あぁ、そうだったな。濘音、悪いがこの2人の面倒をみれないか?」
「……え?葭煠と皇霞の?」
「そうだ」
「わたくし、皇太子殿下の専属女史になりましたの。ですから、この2人の面倒をみることが出来なくなってしまって……。」
私は葭煠と皇霞の頭に手を乗せ、撫でた。
「それなら、殿下にお願いすれば乳母でも用意して下さるんじゃない?」
私に殿下の子供でもある2人の面倒をみるのは荷が重いの、と曖昧な笑みを浮かべる。
「殿下や紅焔様、玖苑にも言ってませんの。それに、いきなり現れた女にあなたの子供ですなんて言われても殿下は不審がるだけですわ。わたくし、この子達だけは奪われたくありません」
「夜夜……。」
「……分かった、引き受ける。だけど、私は妊娠中だからあまり思うように行かない時もあるの。それでも、私でいいの?」
「濘音さんにしか、頼めませんの」
「ありがとう、私を信頼してくれて。バレないようにするわ」
「……っありがとうございます!」
「かあしゃま……?」
「葭煠、皇霞、よく聞いて。このお姉さんは、母様の知り合いなの。今日から2人はここで暮らすの」
「え……?いやっ」
「お願い、2人を守りたいの。毎日ちゃんと会いに来るわ。だから、ね?」
私はしゃがみこんで2人をギュッと抱きしめた。
「かあしゃま、くる?」
「きえちゃ、や!」
「うん、大丈夫よ。ちゃんと迎えに来る。だから、大人しく待ってて」
「……うん」
2人は涙を浮かべて頷いた。
「じゃあ、お願いいたしますわ」
「えぇ、もちろん。2人が4人に変わったところで私はそんな困らないからね」
濘音さんはにっこりと微笑んだ。




