皇宮の日常
お姉様と途中で別れて、皇太子殿下の住まう東宮へと辿り着くと、煌架様を先頭に中へと案内された。
4年前の放火で焼け落ち、建て直されたと聞いたが見た目は殆ど同じだと思ったが内装は違う。
前はもう少し装飾品が豪華だったが、今はそこまで煌びやかにはなっておらず、シンプルかつ威厳だけは忘れさせない内装となっていた。
「2階は私の部屋なので1階の右側の部屋を2人で使ってください。あぁ、左は玖苑の部屋です」
「しかし殿下、私には部屋が既に……」
「荷物を運んで来い。あなたはこれからここで彼女と共に暮らせ」
「……そうですか、かしこまりました。今から行って参ります」
淑栄さんは顔を強ばらせたまま、東宮から出ていった。
「玖苑もここで暮らしているのですか」
「私だけですけどね。何かあった時に、また大切な人を守れなくては困りますから」
玖苑は悲しげな表情で薄ら笑いを浮かべる。
「玖苑……。」
玖苑は玖苑で、きっと悔しかったのではないかと思った。
何も出来ずに煌架様は記憶を失い、わたくしは大怪我を負って入院。
一緒の部屋にいれば、そんな事も無かったと思う。
「今度こそ、何があっても守りますよ。だから、勝手にどこかへ行かないでくださいね?!」
「……っ玖苑、」
「そろそろ私は仕事があるので行きますから。玖苑、お前は李女史が戻ってきてから執務室へ来い」
煌架様はそう言って身を翻すと、部屋を出ていこうとした。
「殿下……!」
「……何でしょう」
「敬語を使わないで頂けますか。普通にお話くださいませ」
「それは、あなたもでしょう」
「わたくしは殿下に仕える者ですし、元々こういう口調なのです」
「そうか、分かった。普通に話そう」
煌架様はそう言って笑うと、すぐに部屋を出て行った。




