再会(11)
煌架様と同じ穏やかな低音ボイスで、普通に話しているだけなのに甘さが感じられる。
わたくしに触れる手の優しさも同じ。
違うと分かっているのに、どうしても煌架様に抱きしめられていると勘違いしてしまいそう……。
今の煌架様はわたくしがどんなに愛していても、何も覚えていらっしゃらないから振り向くことすらして下さらない。
だから、わたくしは煌架様とそっくりな紅焔様の腕の中から抜け出せなかった。
「……っ」
わたしくし、本当はココへは2度と戻ってくるつもりなんてありませんでしたのに。
……だけど、どうしても煌架様にもう一度お会いして抱きしめられたかった。
ただ、それだけでしたのに。
会ってしまったら、もっと、もっと……って思ってしまいましたわ。
「こう、か様……」
紅焔様の腕の中で煌架様を重ねて陶酔していた時、外から数名の足音が響いてきた。
そして、バンッという音と共に数名が部屋へと勝手に入ってきた。
「……っ父上!」
「あらあら、これは……。」
「玖苑、ここに居たのか」
3人の驚いた声が聞こえてきて、私は慌てて紅焔様を押して引き離した。
声のおかげで我に返ったけれど、もう少しで紅焔様を煌架様だと思ってしまうところだった。
扉の方へと視線を向けると、そこには煌架様と双子の妹である郢明公主、それから玖苑のお姉様である李 淑栄さんが立っていた。
煌架様が私に目を止め、「父上、まさか新しい妃嬪でも迎えるつもりですか」と顔を顰めて言った。
「何を言ってる、煌架。夜夜は妃嬪ではない」
紅焔様はギロりと煌架様を睨みつけた。




