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プロローグ
side:A
幼稚園の頃は、男女の違いなんてほとんど分からなかった。
たまに周りに私達を茶化す人間はいたけれど、そんなものはあまり気にしていなかった。
だけど歳を重ねるにつれ男女の違いは明白になっていき、それが徐々に彼の枷へとなっていく様を傍で感じた。
…それでも私は、彼にはいつでも自由であってほしいと、切に願い続けていた。
願い続けた結果、私は彼のヒーローになる選択をした。
side:B
幼稚園の頃は、男女の違いなんてほとんど分からなかった。
だけどアタシはちょっとおかしいのだと、薄々気づいてはいた。
歳を重ねるにつれそれは確信へと変わっていき、何度も何度も直さなきゃと思った。
…それでもアタシは、やっぱりアタシでいる以外の選択ができなかった。
願い続けた結果、アタシは彼女に甘え続けてしまっていた。