エメラダ国 予想外!?の好印象
盗賊狩りをしながら旅を進めた三人は予定よりもやや遅れて第一の目的地であった。
国境近くにあるエメラダ国の西端の街、トランタへ到着する。
「ようやく着きましたわ!!」
エレナは見回すとすぐに街の一角を指さす。
「今日はあそこ!あそこで食事をしましょう!」
旅の疲れを感じさせない声に四年間の成長を思わせる、それはいい事なのだが先に私としては宿を見つけてしまいたい。
既に日が沈みかけており、星が微かに見え始めていた。
「まずは、宿。そして盗賊の宝の換金、ギルドへの報告、それからそこで食事を取る事にしましょう。これは一人事ですが、ちょうどやる事は3つです。分担すれば早くあそこで食べる事ができるでしょうね。」
ニコリッと笑うルークの顔に今更ドキッとなるメンバーはいないのだがエレナは即落ちた。
「ええ、あそこはきっとこの街で最上級の食事処よ!私の貴族としての感がそう言ってますもの!!」
文字通り餌につられただけだが。
「なら、私は宿を手配しますわ!」
「・・・止めた方がいいのでは?」
「いいわよ、それ以上の換金はできるでしょうし。もちろん、換金はルークがしてね。正直、私は相場がわからないから。私がギルドに報告することにするわ。一応、パーティーのリーダーのようなものなのだし。」
「では、お願いします。エレナさんもいいですね?」
「私は初めから宿屋の手配がいいって・・・」
ふてくされるエレナに私からもお願いをする。
「お願いね。エレナ。」
「・・・わかってるわよ。マリア。じゃあ、終わったらそこの店で待ち合わせね。先に席を取っておくわね。」
一番初めに戻って来る気らしい。盗賊から回収した金貨を数枚持って先に行ってしまった。
「僕達もいきましょうか?方向は同じようですから一緒に行きましょう。」
「そうね。でもギルドか・・・面白いクエストあったら受けてもいい?」
「そうですね。どの位のランクまでをどれだけ楽にこなせるようになったか、今の実力を正しく把握しておくのは大事でしょうし。いいと思います。」
「まあね、規格外の化物爺さんと婆さん意外じゃほとんどこのパーティーメンバーとしか戦ってなかったからね。盗賊とかとやっても弱すぎて力が測れないし・・・ちょっと難しめので楽しそうなのがあったら受けとく。」
「わかりました。そういえば、この街は随分と人々に活気がありますね。」
「え?」
「大抵、ろくでもない王が支配する街というのは地方に行くほど税などの負担が重く雰囲気が悪いのですが・・・ここは、見てください。」
ルークが指さす先の酒場や行き交う街の人の表情を見る。
「確かに、皆楽しそうにしている気がする。」
「本当にあのシュバイン王子の支配する国の街なのでしょうか。もしくはこの辺を仕切っている方が優秀なのかもしれませんが。」
「なら、お互いに戻るまでに誰かと話せる機会があれば情報を集めておきましょう。食事の時にそれらを情報をまとめましょう。」
「そうですね。わかりました。では、僕はこちらですので。」
ルークと別れると私は冒険者ギルドへと向かう。
「なんか、RPGに出てくる冒険者ギルドみたい。作りがどこもほとんど同じなんだ。」
私は昔見た冒険者ギルドを思い出しクスリッと笑ってしまう。
「ん?おいおいおいおい。お嬢ちゃん、何を見て笑ってるのかな?」
入口近くに立っていた男が声をかけてくる。絡んで来るつもりだろうか。
(取り敢えず出方を伺うか。)
旅の途中で盗賊を倒したのでその報告をしようかと。
「お嬢ちゃん一人でかい?」
「いえ、パーティーのメンバーは他にもいるのですが。」
「そうか、ならこっちだぜ。」
男はついてこいと言うと報告をするカウンターまで連れてってくれた。
「ん?オレの顔に何かついてるか?」
「お前の顔が怖いから戸惑ってるんだろーよ!」
「うるせー!」
軽口が飛び合う。けれど、ギスギスした雰囲気はなく皆充実した表情を浮かべている。
「どうしたんだい?そんなに不思議そうな顔をして。」
「え?いや、もっとギスギスした街かなって思ってたので。国境近いし、エメラダ国はその・・・王子が・・・」
「ああ、そういう事ね。お嬢ちゃん、エメラダ国に来たのは初めて?」
「そうですけど。」
「皆そういうんだよな。他の国から来た冒険者共は・・・確かに2年前まではそうだった。けど、最近のシュバイン王子・・・いや、もう王か。あの人のおかげなんだよ今のこの状況は。」
「どういう事ですか?」
「それはだな・・・」
男はこの二年間の出来事を簡単に教えてくれた。
「そうだ、情報にはお礼を・・・」
「いらんいらん。そんなのは皆が知っている事だ。エメラダ国の国民であれば国の誤解を解くのは当たり前の事だ、気にすんな!んじゃ、俺は帰らないとカミさんに怒られちまう。」
男は手を挙げると先程軽口を言い合っていた男とハイタッチをし出て行ってしまう。
「あの・・・報告があるのでは?もうすぐ閉めたいのですが。」
受付の女性から声がかけられるがマリアは呆然としていた。
「どうなってるんだ?あのシュバイン王子の評判が手紙とは違い物凄いいいのだが・・・」
取りあえず、マリアは窓口からわざわざ肩を叩きにきた受付の女性に謝りすぐに報告を済ませる。
けれども、その間も頭の中では混乱しっぱなしであった。
(どういう事?戦争の気配もなし。皆、充実した顔をしている。そしてあのシュバインの評価が高いだと!)




