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姫様転生 -運命の歯車をぶち壊せ-  作者: ねこねここねこ
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明日は明日の風が吹く

 「お、来た。」


 ウェルチが荷物を二セット用意し待っていた。

 一つは見慣れた私の旅道具だ。・・・・量は二倍くらいに膨れ上がっているが。


 「お待たせ。皆。」


 そこにはシルフィー、エレナ、やはりついてくるのかメアリの三人が既に準備を整えて待っていた。


 「メアリさん、貴女はもう自由でもいいんですよ?」


 「ええ、そうウェルチさんに聞いています。なので自由にすることにしました。」


 「・・・・・さっきからこの調子なのよ。責任取りなさいよマリア。」


 エレナは危険を察知した猫のような雰囲気を出している。全身が毛でおおわれていたなら逆立ち、尻尾もピンと張っているに違いない。


 「・・・・同行して欲しいとも言ってないんだけどね。まー後ろからストーカーみたいにされるよりはましか。」


 「ストーカー?なんかカッコいい響きですね!」


 メアリが言うと冗談に聞こえないから止めて欲しい。時折背後に回り込み全身を見られている感じがしてぞわぞわと背筋がむずがゆいのだ。背中に感じるのが冷や汗などにならないようにして欲しい。


 「そろそろ時間ね、・・・危険があっても貴女以外は料金外だからね。」

 

 「わかってるよ。ウェルチ。」

 

 「まあ、これから行く森と山にはこれくらいの人数がいた方がいいからいいんだけどね。エルフもいるし。」


 「か、過度の期待はダメですよ?」


 シルフィーがウェルチの視線を受けガクガクと震える。


 「大丈夫、こんどは餌としてではなく、森を探知する機能として必要なだけだから。」


 「なら任せておいてください!集落一番の森の声の聞き手でしたから!」


 シルフィーが自信を持って役に立ちますと気合を入れているが、自信を持たれるほどに不安になるのは何故だろうか。それにしても相変わらず容赦ない言い方ですねウェルチさん。


 こうして他愛無い話をしているうちに約束の時間になる。


 「・・・時間ね。どうするの?」


 エレナが不安そうに言う。目の前に見える山は結構な大きさでありその先に目的地があるのだ。

 そしてこの森には手強い敵も多いと言う。


 「行く。この中でどうしてもここに残りたいという人がいたら言ってね。私は止めないから。」


 私は全員を見る。

 

 ウェルチには案内人として、仕事の請負人としてわざわざ改めてききはしないが他のメンバーに再度確認を取る。


 「アタシは行くわ!マリアがアイツと戦う日が来るというならアタシはその日が来るまでついて行く!」


 エレナは力強く答える。一番体力面や危険に弱く心配な存在であり、できれば残って欲しかったのだがお互いにアイツとかかわりがあるもの同士、本人がついてくるというのならその意志を尊重しよう。


 「私はついていきます。そういう契約ですし命の恩人ですし今更集落にかえりづらいので。」


 シルフィーとは契約で結ばれた関係である。シルフィー自身が望めば解除できるのかも知れないが今の所その意志はないらしい。あのウェルチが森でシルフィーを必要としているのだ。残ってくれるのであれば心強い・・・ような気がする。


 「私は・・・」


 「じゃあ、行きますか!」


 「ちょっとー!私にも言わせてくださいよ!!」


 唯一の仲間?という人物には特に聞いていないので私達は街を背に歩き出す。

 ここから先はガルムに乗らずに歩きの方がいいというウェルチの提案によりゆっくりと一行は山に向かい歩き出す。


 エレナが少しづつだが私に話しかけてくれるようになった気がする。同世代だしね。同性だしね。

 デレ期は永遠にやってこないだろうが仲良くなっていけそうだなどと考えていた時、背後から声が聞こえてきた。


 「すみません。マリアさん。遅くなりました。」


 「いいの?ルーク。」


 そこにはこれが本来のルークのスタイルなのだろう。長剣を左腰に下げ胸に鋼のプレートし、籠手などをはめたいかにも出来そうな冒険者の姿があった。


 「ええ、もう大丈夫です。それに僕は奴隷ですからね。それに大きな借りも。それが払えるまでは貴女の元で戦いたいと思います。」


 「・・・わかった。改めて宜しくね!ルーク。」


 「ええ、僕のほうこそ。本当にありがとうございますマリアさん。」


 ルークと握手を交わす。これで契約成立!それじゃあ、いきますか!


 私は先頭に立つと振り返り皆に大声で行先を示す。


 「さあ、行くわよ!剣聖の住む家へ!明日は明日の風が吹く!皆!気合入れて行くわよ!」




 こうして、いつの間にか消えていた6人をドンたちや街の人たちは一晩中探しても見つけられなかったのだった。


 「ドン!やっぱりあの・・・」


 「わーってるよ!あのお嬢さんの事だろう?きっとお忍びだったんだろうよ!それにしてもいい奴らだったな。また一緒に呑める時が来るといいんだがな。」


 「その時はたぶん・・・」


 「ああ、そうだろうな。もう話すことも出来なくなっているかもしれないな。」


 「ドン・・・」


 「なら、盛大に感謝の気持ちに伝説として語り継がれるくらいに大げさに化物退治の話を広げなきゃな!将来役にたつだろう!街の英雄とかな!」


 「英雄・・・いいですね!でもやり過ぎないようにしないといけませんね。あまり強く語り過ぎると嫁の貰い手に困っちまうかもしれませんからね。」


 「あのお転婆の将来か!ちげーねー!」


 翌日からドンと子分たちは街の人たちと共に英雄と海洋魔獣オクトパスいう話を作り上げていく。

 それは当初の予定よりも尾ひれが多分につくモノとなるのだがこれにより街はさらに潤っていく事になるのである。


 そして娯楽の少ない世界で、現実に起きた英雄譚の本は一つのブームを起こしていく。

 加速的に本は売れていきこの国で彼女を知らないものがいなくなる程に。

 

2年後には彼女の銅像までもが作られることになるのだが、その話を本人が知るのは4年後の話なのだが・・・・。


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