8本足の悪魔 (情報収集)
どうやらウェイトレスは先程の話がまだ続いている事とこの場にルークが居た事が気になっていたのだという。ルークはやはり有名人だったらしく彼女も何度か見かけた事があり覚えていたのだという。
「それで情報というのは?」
ウェルチが銀貨を1枚渡すと嬉しそうにウェイトレスは話始める。
「ここだけの話ですよ?」
(ここだけを何人にしているんだか・・・)
というウェルチの小声が聞こえたが私にしか聞こえなかったようなので流しておく。
「実は先週、その化物が隣の浅瀬に現れたんです。そして、浜辺で魔獣と戦っていたパーティーの一団の数名と魔獣を海へと引きずりこんで言ったようです。」
「・・・・ちょっと待って。私は先程のルークの話を思いだす。」
「はい。お嬢さんもう察しがつきましたか?」
(子供扱いか。まあ子供の体だが。それにしても魔の獣か・・・)
「ええ、多分としか言えないですが・・・・。その可能性の一つには。」
ルークが驚きの表情を浮かべる。
「ただ、実験をしないとそれが正しいかがわからない。情報はこれで全部?」
「ええ、役に立ったでしょ?」
ウェイトレスがウインクをすると銀貨を親指で弾き、毎度ありっ!といい去っていく。
「その表情、まさか受ける気じゃないよね?」
ウェルチが呆れたため息をつく。
「ちょっと試してみたい事ができたからね・・・放置してもいいのだけれど、ルークとエレナは反対のようだし。」
二人を見ると、主人のいう事は立場上絶対であり呪いを受ける可能性もある状態なのだが二人の目は力強くこちらを見て言る。
「ルーク・・・・囮が機能すれば姿が現した瞬間に逃げる事は可能だと思う?なるべくまじかで見たいんだけど。」
「絶対の保証はできない。けれど、囮が囮として機能するならば可能だとは思う。こちらにはシルフィーさんもいる事だし、風の魔術を帆にぶつけて逃げれば一時的にでもスピードを相手より上回れるはずだ。」
「倒す倒さないはまず相手を見て情報を直接仕入れてから。基本、戦わないスタンスなのは譲れないこれは命令。それでもいい?仲間の敵を前にしても絶体に暴走しないと誓える?」
「・・・・わかった。チャンスが少しでもあるのなら例えその後に僕達ではダメだとなっても、あの悪魔を倒せる人たちに少しでも情報として役に立てるのなら。それで構わない。」
話がつくと私たちは会計を済ませ次の目的地へと移動する。
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冒険者ギルド
「おい、ルークだぜ!」
「あいつ奴隷に落ちたって噂だったよな?」
「仲間が死んだっていうのに、女を四人も侍らせやがって・・・しかも子供が2人もいるぜ?」
「お、おい!あれ見ろ。エルフだぞ!」
大勢の視線がこちらに集まる中、私たちはルークの後に続きクエスト掲示板の前に向かう。
そして、ルークはこれだ!というと一枚の用紙を破き取る。
その紙を受け取ると禍々しい姿をした絵が描かれている。
「なんだ、せっかく生き残ったのにまたそいつと一戦交える気か?」
突然、私の頭が誰かによってグリグリと撫でられる。
誰だ突然!と後ろを見るとヒグマのような体格と毛深い筋肉の塊のような男がニヤリと笑っていた。
「ゴントか・・・」
ルークはこの男と知り合いらしい。
ウェルチはと見ると首を振っている。どうやらウェルチは知らないらしい。
「そんな怖い顔でみるなよお嬢ちゃん。俺もコイツを退治したいと思ってたんだ。よかったら俺のパーティーにも一枚噛ませてくれないか?」
「あの悪魔をお前たちがか?」
ルークは不思議そうに見る。その表情を見て、ゴントが付け加える。
「正確には、依頼を受けたんだが・・・ちっとばかしこちらも訳アリでな理由は明かせないが。」
「お前も協力してくれるのか?」
「ああ、俺達が協力する。そこには当然俺も含まれる。だから船の心配はしなくてもいい。」
「お前たちの船を?ますますどういう事だ?」
ルークは疑わし気にゴントを見る。
「別にたいした理由じゃねーよ。この化物が最近活発なせいで最近は海に出やがらない。海賊がでないと海の治安を守る俺のパーティーメンバーの食い扶持が稼げない。おかしなとこはあるまい?」
そしてまたしても私の頭をポンポンと叩くとグシャグシャと撫でまわす。
「いくらメンバーが居ないからってこんな子供たちも頭数に入れて巻き込むなんてしちゃいけねーよ。危険な仕事だ。将来のベッピンさんが二人も減ったら世の中の損失だぜ?」
(ええい!うっとうしい!)
頭を払おうとするがガッハッハッ恥ずかしがり屋さんめ!と手を止める気がないようだ。
「いい加減に辞めて欲しいものですね。不快そうです。」
ウェルチがゆっくりとした動作で相手の手首をつかむと捻りあげた。
「う、嘘だろ?い、イテテテテテッ!わかった、撫でるのを止めるから手を離せ!」
ゴントは腕力で無理矢理ウェルチから逃れようとするが、ウェルチはびくともしない。
「もういいから話してあげてよ。」
私はありがとうとウェルチにいうと、仕事ですからとだけ返ってくる。
「この女がリーダーだったのか?一体なにものだ?」
「聞いた事ないかい?暗殺者ギルドのウェルチ。ちなみに僕たちの主人はゴンドさんが頭を撫でていた彼女マリアさんだよ。」
そういうとルークはウェルチと私を紹介する。
「この女があのウェルチか!それと・・そうか、マリアって言うとコイツが・・・」
「?」
「あ、いや、それよりも、コイツの話が先だったな。コイツをどうやって倒すかだが・・・」
「それは一度、本物の悪魔を実際に見てからにしてもらいたいと思います。マリアさんの意向で実際にまずは戦わずに相手を見てから決めたいとのことですので。」
「ふむ。ならばまずは一度クエストを受けるとするか。他の奴に取られても面白くないからな。」
ゴンドはそういうと一人でさっさとクエスト受注受付所と書かれた場所へと言ってしまう。
「まだ組むとは私は言ってないのだけれども。」
そういうとウェルチが私は参加させるのに賛成だという。
「捨て駒はいくつあってもあるに越した事はないからね。」
早く来い!っと手招きしているゴントには聞かせられないね・・・。




