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姫様転生 -運命の歯車をぶち壊せ-  作者: ねこねここねこ
16/33

契約解除と

まずは一つ目の目的の達成です。

 食事を終えると私たちはすぐ隣の奴隷商に入る。

 

 先程の一件からお互いの口数が減っていた。


 前世の世界でも奴隷というのは存在していたし、歴史的には奴隷がいたからこそ素晴らしい王の墓や遺跡などが現存していたというのも知っている。


 貴重な労働力としてゾウや馬やラクダと同等に扱われていたりもした。

 

 奴隷制度を認めている国の姫だからこそウェルチはああいう態度を取ったのかも知れないし、それが当たり前として教育されてきているのであればそういう思想や考えが普通になるのかもしれない。


 けれども、私には人をモノとして扱う事はどうしても無理だ。


 それはこの世界のこの時代の王族としては問題があるのかもしれないが。

 


 「ようこそ。我が商会へ!」


 そんな暗い雰囲気を吹き飛ばす陽気な声とともに一人の青年が片膝を立て赤いバラを差し出してポーズを取っている。


 メイドらしき人達が手に持ったカゴから花びらを撒いている。


 (・・・・・・・)


 「気にしたらダメ。あれは喋る石ころと思でばいい。」


 ウェルチは面識があるらしい。


 「こんにちは、我が愛しのウェルチ。今日はこちらの女性をお売りに?」

 

 奴隷を監禁。時には教育を施したりするこの牢獄のような建物に不釣り合いな派手な格好をした青年が赤を基調とした派手な衣装を身にまとい長髪の金髪をなびかせながら微動だにせずバラをウェルチに向けている。そのバラをウェルチが取るまでは動くかないのだろうか。


 「相変わらずね。シリウス。残念だけれども今日は売りにきたわけではないの。ありがと、そしてポイっ。」

 

 「相変わらずカッコいいだなんて今すぐ結婚するかい?ウェルチ。今のはブーケを投げる予行練習だね?」


 「相変わらず、しかあってないわね。いいわよ、来世でなら結婚してあげる。だから今すぐ死んで待ってて欲しいかも。」


 「本当かい?それはとても魅力的な提案だ。けれど今すぐは難しいかな。何やら生きている僕にウェルチは話をしたいことがあるそうだろう?」


 シリウスと呼ばれた見た目20代後半の青年はウェルチをエスコートし始める。

 

 「こんな入り口で話すのもなんだからね、サチ。」


 「はい。どうぞこちらの方に。」


 呼ばれたメイドが部屋に入るよう促す。


 「おい。そこの君は何をやっているんだね?」


 中に入ろうとした私をシリウスが呼び止める。


 床のバラが見えなかったのかい?とでも言いたげに床を指さす。


 「シリウス、今日の依頼は彼女からなのよ。彼女は立派なお客様だよ。」


 「下男の切るようなきったない布を着たこんな少女が?」」


 「事情があってね。全ての仕事が終わらないと私にも金が入らないのよ。秘密厳守も契約のうちでね。」


 「払えるのかー?こいつ。」


 「それは大丈夫。」


 「我が女神がそうおっしゃっているのでしたらまあ・・入りな。」


 私が内容を話しても?というウェルチの視線に気づきコクリと頷きお願いをする。ウェルチは事情を掻い摘んで説明する。


 「なるほどね。いいよ。すぐに解除しよう。奴隷契約書の破棄でいいんだね。そうだな・・・サチ何分でできる?」


 「10分程頂ければ。」


 「いいだろう、任せた。」


 モナの契約書を持って部屋を出ていく。


 「さて、先に支払いの方をしてもらおうか。そこの君、金貨2枚を出したまえ。」


 「奴隷契約の解除だけなら金貨1枚でいいはずよね。さすがに金貨2枚は見過ごせないわ。」


 「ふむ・・・騙せる相手にはとことん騙せが私たちの信条だったと思うのだが。仕事の依頼を受けている時は別だったか?本当に彼女は依頼者なのだな。まあ、いいだろう。手数料はいずれにしても別だから金貨1枚と銅貨50枚だ。」


 ウェルチが金貨を一枚と銀貨を一枚渡す。


 「ん?そこの彼女からじゃないのか?支払いは。」


 「道中の経費も全て私が立て替えているのよ。後で一括の方がわかりやすいでしょ?」


 「ふむ。それはそうだが相手に支払い能力があればの話だろ?」


 「彼女は大丈夫、全くの心配がない。」


 「ほう。そこまで断言するのは珍しいな。まあいい。今、釣りを持ってこさせる。おい、ジョージはどこだ?」


 シリウスがテーブルに置かれている鈴を鳴らし、ジョージと名前を呼ぶと執事の格好をした男が室内に入ってくる。


 シリウスがお金を渡すとジョージと呼ばれた執事からすぐに袋が出てくる。


 「さすがだな、いい読みをしている。・・・・ちょうどだ。」


 「相手が旦那様の意中の人であれば適正な相場で交渉されるかと。」


 「ふん、その通りだ。相変わらず優秀でムカつくがな。では我が女神釣りだ。確かめてくれたまえ。」

 

 執事がお辞儀をして部屋を出ていく。

 ウェルチは渡された袋を上下に揺らすと確かにといい懐にしまいこむ。


 「信用されてるね。僕。」


 「信用されてない方がいいの?」


 「いんや。そちらも旅の経費の精算をしてはどうかな?場合によっては僕は席を外しても構わないが。」


 「後で一括の話だったけど、確かに少し私の方の懐が少し不安になってきたかも。」


 「私はいつでも構わないよ。」


 「なら、一つ目の目的は達したし区切りがいいからそうしよう。」


 ウェルチは道中の費用を計算し始める。

 ん?今、ガルム代が少し安くなってた気がする。あと、先程の飲食代がやや違う。


 「そうだな、金貨14枚に銀貨が58枚、銅貨が32枚くらいか。」


 「おいおい冗談だろ?金貨14枚って。フード被ってるからわからないが、まだ10代の前半だろ?この少女は下男の格好をしているが何者だい?それにどこの貴族の持っていた契約書を盗んできたんだい?その値段。旅の料金を入れたとしても・・・実は騙してないかい?」


 「これは適正な値段。」


 「ようは適正な値段のとんでもない所から取ってきたってことか。誰の契約書なんだい?」

 

 「守秘義務の為、教えられない。」


 言葉を遮るウェルチにシリウスは何かを悟ったような顔をして仕方がないなといった表情で言う。


 「口を挟んで申し訳ない。」


 私は持って来ていた二つの袋を取り出す。

 

 旅に持っていくには重さに限界がある。なるべく軽くて高そうな交換できる物とすぐ使用できる金貨の二段構えで用意をしていた。


 片方には王妃が着飾らない私に姫が質素だと国民が不安になるだのと言ってくれた宝石の何点か。

 

 もう片方には月に2枚貰えた金貨の小遣いを貯めたもの。


 一歩も外に出歩けず、月に一度呼ばれていた商人相手に買い物をするしか使い道がなかった金貨であるが、女性服やアクセサリーにその時は興味が全くなかったし。前世でも指輪やネックレスどころかピアスもしたことのない私にとって金貨は城ではなんの活躍の機会もなかったのだ。そうして溜まっていった袋には24枚程の金貨が入っていた。


 「ウェルチさん、色々と計算が間違ってますよ?ガルムの値段とさっきの食事の代金が違います。正確には金貨14枚と銀貨62枚銅貨が41枚です。」

 

 「計算できるの?」


 「ええ、この程度でしたら。」


 何を驚いているのか知らないが、単なる足し算である。

 道すがらのかかった費用を毎日足すだけの小学生でもできる計算。毎日夜寝る前にウェルチがつけていたので少しづつ見て覚えていったのだ。


 「ほう、算術を得意とするかその歳で。彼女を売れば相当な値がつきそうだな。」


 シリウスの視線が体の隅々を見ているようで気持ちが悪いが、袋から15枚の金貨を取り出すと表情が値踏みから一転、彼は素敵な笑顔でこちらを見ていた。


 「ほら、ウェルチが待っているよ?」


 「・・・・ウェルチさん今のところの支払いですが確認してください。」


 「確かに。」


 ウェルチは金貨を15枚受け取ると釣り銭を渡してくる。


 カランカラン!鈴の音が響く。

 

 「うむ。終わったようだね。少し時間が余ったな。早く入れジョージ。現在この商館にいる最高級の素材を5つ程揃えて早急に寄越せ。身なりはそのままでいい。契約の解除が終わるまでの暇つぶしにそれらに自己紹介と特技を披露させたまえ。なにかトラブルがあったのか少し遅いみたいだからな。」


 「かしこまりました。」


 執事が部屋を出ていくのを確認するとシリウスは立ち上がり両手を広げ高らかに言う。


 「では少し、時間があるようですから残り時間で奴隷によるショーを見て頂きましょう。うちでも特別な5つを紹介致します。気に入りましたらお声かけを。」


 「私は興味がない。今は一から育成をしている暇がないからね。まあ、暇つぶしとして見させてもらうわ。」


 ウェルチが即座に言うが、シリウスは淡白にそうかいとだけ言うとこちらに顔を向ける。


 そして演劇をしているかのように大げさに、そしてゆっくりと商売の口上を述べる。


 「ウェルチとはどこまでのご契約なのでしょう。彼女と離れたら御一人になられるのですよね?そうなるとお若くお美しい少女の貴女には狼のような男どもが目をつけるに違いがありません。けれど心配ご無用!私は奴隷商。もしよろしければ腕に自信のある護衛役、寂しい夜のお伴役、使い勝手のいい召使い、どんな需要のモノでもご用意してみせまよう!では、用意が出来たようですので自慢の商品を1つずつご覧いただきましょう。もしも、お気に召しましたらお声かけを・・・・入れ!」


 「どうやら商売人の顔になっているね。金貨の入った袋なんか見えるようにだすから。狙われているわよ。」


 ウェルチがため息をつく。


 「そうですね、態度が全然違いますね。私の財布の中身も先程の袋の厚みを見て正確に把握しているようですね。」


 ショーを見せるのはウェルチに対してではなく、私に対してなのだろう。

 それに、金貨入りの袋をシリウスが見てからの言葉遣いがあからさまに変わり過ぎていたので間違いないだろう。



この話は修正するかもしれません。次のに差し支えないような流れにしますが・・・。

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