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姫様転生 -運命の歯車をぶち壊せ-  作者: ねこねここねこ
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ホド村 盗賊団アジト(盗賊サイド)

盗賊団?色々とありそうな感じです。

 天然の洞窟に手を加えて作られた盗賊団の根城。

 その最深部は2人の幹部しか入れない部屋がある。盗賊の頭目の部屋であり同時に最高幹部二人の部屋でもあるその場所に攫ってきた下男が運ばれていく。


(俺達でも幹部の部屋に入れないのに何故下男が?ガキだからか?)


 攫う指示を出した兄貴分である細身の男と弟分である太った男は仮面で表情の見えない頭目の前に正座し最高幹部の一人であり頭目の女とされるレーレンという女が部屋から戻ってくるのを待っていた。


 しばらくするとガチャリッと扉を開けてレーレンが戻ってくる。

  

 「あの娘の首筋に小さく刺された痕があったけれども毒などの問題はなさそうね。よかったわね、貴方たち。いえ・・・結果的には同じになるのだから悪かったわねかしら?」


 最高幹部の一人、頭目の女であるレーレンがキセルに火をつけ口から息を吸うと座っている男たちに煙を吹きかける。

 

 「レーレン、他の盗賊達は皆外へ追い出したな?」


 「ええ、問題なく。」


 仁王立ちしていた頭目が小さく息を吐くと近くにある椅子を持って二人の前に置きゆっくりと腰をおろす。

 その頭目に寄りかかるようにレーレンが抱き着く。


 太った男はいつもの頭目と彼女の振る舞いに戻ったと思い込み、よかったと小さく口にしたのが微かに聞こえたが、細身の男は逆に震えあがっていた。


 頭目に心酔している頭の悪い遊女のような振る舞いを常にしている女がそこにはいない。

 いつものように接してはいるが、その視線が獲物を射貫くような鋭さに変っている。矛先は言うまでもなく頭目の前で正座をさせられている子分二人組みに対してである。


 「・・・頭目、一つよろしいでしょうか。」


 慣れない言葉使いであるが致し方あるまい。頭目がいつもつけている面をゆっくりと外しレーレンに渡す。そこには初めて見る頭目の素顔がさらけ出されていた。その顔を見た瞬間に細身の男は己の死を覚悟した。その顔には見覚えがあったのだ。


 「・・・いいだろう。」


 「へい。先代に勝てた理由は今お顔を拝見し納得できや・・できました。しかし何故?とお聞きしても?」


 「その何故という疑問はオレの事についてという意味か?もしくは彼女について・・・という事かな?」


 「彼女?・・・あの下男は男の格好をしているのに女だったんですか。」


 少なからず細身の男は驚いた。フードを被ってはいたし中世的な顔だとは思ったが少年だと思っていた。しかし、頭目はフードを外しただけで一切触ってもいなかったはずだ。

 レーレンが部屋にいき、身ぐるみを剥がして調べたという感じもなければ、部屋から出てきた後に下男が女だという事を伝えた雰囲気もない。そもそも目の前にこうしていたのだ囁き声であっても商売柄聞き取る自身がある。

 レーレンは割れ物を触るように少女を運んでいた。自分にとって大切な相手であるかのような振る舞いだった。


 (・・・どういう関係だ?)


 細身の男は頭目の次の言葉を待つ。


 「そうだ。そして彼女は我々にとって将来必要になるいわば重要な拠点のような存在だ。」


 「拠点ですか・・・それはまた」


 (どういう意味だろうか?道具と言わない所をみると脅しの材料とする為に利用するなどではないようだ。この人の噂が本当であれば復讐か?すると拠点・・・中心・・・大元・・・旗印?)


 「旗印?」


 「ほう・・・。」


 ふと出た言葉に頭目は感心したような言葉を漏らす。


 (旗印・・・拠点のような存在が彼女だと置き換えた場合何が言えるだろうか?戦争の中心となりえる人物なのか?あのちんちくりんが。だとするとやはり相当な貴族の出の者か、元王家の者か現王家に関わるクーデターを起こしえる人物となるわけだ。)


 細身の男を興味深く見ている頭目に対し取り残されていた太った男が口を挟む。

 

 「い、意味がわからないんですが、オレ達はどうなるんで?た、助けてもらえるんですかい?頭目。」


 (このバカヤローが・・)


 太った男は言った後、兄貴分をチラリと見てビクリッと震える。


 「細身の 君 にはまだまだ役目がある。だから殺さないよ。」


 背後から声がする。何も感じなかった。いつから居たのかさえわからなかった。


 「でもね。君が隠してるモノは頂こうか。」


 言うと一本のナイフが服を引き裂き金貨の入った袋が床に落ちる。


 「君・・・バレないようにして歩いて帰ってきたのがバレバレだよ。いつもより左側に重心を置いていたね。何か重い物を持っている又は意識してそちらを守ろうとしているのがバレバレだよ?」


 カラスと呼ばれる盗賊はナイフ使いだがナイフ投げが下手くそな変わった男のはずであった。だがその残念な暗殺者の姿はここにはない。今の彼ならば百発百中で的にあてるに違いない。そう・・・何故かわかってしまう雰囲気があるのだ。


 「これは俺が預かっておく。お前たちのおかげで街を襲いあの娘を攫う予定が狂ってしまった。けれど結果としてここに連れてくることには成功した。まだ修正が取れる段階にあるといえよう。なのでこの場は許そう。」


 頭目は金貨をしまった袋を拾うとレーレンに渡す。


 「あの娘の荷物に近い場所に置いておいてくれ。」


 「はっ、かしこまりました。」


 「ところで・・・首に怪我をさせたのはどちらかな?」


 カラスと呼ばれている男が2人に言う。


 「こ、こいつですぜ!」


 弟分は命惜しさに兄貴分を売る。事実であるのだからその通りではあるのだが所詮は盗賊同士である。


 「ええ、オレ・・・いや、私です。」


 頭目がジッと目を見てくる。ここで逸らせばその時点で己の命は消え去るだろう。


 「武器の練度や手加減の仕方、脅しの腕はいいようだな。」


 「・・・そういう楽しみ方が好きでしたから。」


 「ふっ、正直だな。調査の通りか。」


 頭目はニヤリと笑うとこう提案する。


 「お前には先程カラスが言った通り役割を与えよう。重要な件だ。オレ達の未来の為に今しばらく生きる勇気はあるか?」


 (今しばらく・・・ね。細身の男は考える。数日の猶予期間があればこの二人相手だけであるなら逃げられるか?)


 「そうそう約束通りにしてくれるなら3日生かしてあげるよ、3日目に来る死は避けられないけれどもそれまで仕事をしてくれれば女やいい食事なんでも与えてあげるよ。僕の ギルド が保証してあげる。」


 「余計な事を言うな!カース。」


 レーレンが叫ぶ。


 「ギルドにカース?・・黒ずくめのカース?ってまさか!う、嘘だ!アンタまさか!」


 太った男は大声で叫ぶ。悲鳴に近いモノであったがその瞬間にゴトリと首と胴体が分裂した。


 「あーあ、誰も知らないが売りの僕の正体がバレちゃった。酷いよレーレン=マクレガン。」


 兄貴分の男は逃げられない事を悟る。


 (暗殺者ギルド 誰も素性を知らないギルドマスター黒ずくめのカースに国の元筆頭魔導士レディーマクレガン。それに・・・そうなると結局何者だ?あの下男。いや、あの嬢ちゃんは・・・。)


 興味がわいた。奴らが揃って企む事っていうのはなんなんだ?男は覚悟を決める。


 「わかった。カースさん男に二言はないな!毎日二人の美女を死ぬ日までつけてくれ!」


 カースは笑う。気に入ったよ!運命で決まっていなければ君を僕のギルドに誘いたいねと言い、レディーマクレガンにこれだからゴミのような男達は・・・といわれ奥の部屋に引っ込まれるのだった。

 

 そして、頭目である男はマスクを装着する。


 「盗賊の頭目として命ずる、話は深夜だ。まずはそこの処理と皆を呼んで宴会を開くとしよう。」


 ただし、カースだけはいつものおちゃらけたナイフ投げの下手な男を装いつつも警戒レベルを引き上げていた。

 (ははっ、誰も気づいていないみたいだね。案内役には面白い人間がついたみたいだ。追尾香とは・・・少し楽しくなりそうだ。)

   

***************************

 見た目は至って普通の盗賊の隠れ家だ。

 ウェルチは外に集まっている盗賊の人数を把握していく。


 (全部で15人。たいした奴らではない。クエストで言うと難易度はCだね。)

  

 けれど、奥に5人まだいるらしいという会話を聞いている為、まだ行動はしていない。

 リーダーと側近の2人の姿を見るまでは油断は禁物。

 

 (ん?・・・・匂いが消された?)


 ウェルチは太っていた男に投げあてた仕事道具の一つである追尾香の匂いが消えたことに驚く。

 太った男が殺された可能性が高い。追尾香は血の匂いにより匂いが消える。匂いを逆手に取られないよう周りに血が広がると追尾香は血に反応し匂いが消えるようになっている。


 「制裁かバレたか・・・やはり慎重にいった方が良さそうね。」


 ウェルチは様子を見ることにする。


 (こっちの匂いはバレていないみたいだからまだ大丈夫のようだしね。)







 

次は主人公に戻ってうんぬん予定。

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