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俺と雪女  作者: 春
2/3

プレゼント

「わぁ~綺麗だねー」


「そうだな」


雪は中央に植えてある多きな木に装飾されいろんな光を出しているイルミネーションを眺めていた。


「ねえねえ。何かお祭りでもあるの?」


周りを行きかう人々を見ながら楽しいそうに言った。


「お祭り?」


「うん。だってほら、変わった衣装を着ている人もいるし」


雪が指差す方向を見てみると、


赤い服と真っ白なお髭をつけたどこかの店員が客引きをしていた。


そして、隣にはトナカイの服を着た店員。


「どこであるのかな?行ってみたいなぁ~」


「雪。今日が何の日か知らないのか?」


「え?・・・何かあったかな・・・」


う~んと頷きながら考え込む。


もしかして、雪はクリスマスの事をしらないのか?


俺は雪と出会ってからの事を思い返した。


・・・そういえば、


クリスマスの日は確かにケーキや普段より豪勢な食事をしてはいたが、雪は


「わ~い!ケーキだ~♪」


って喜んでいただけでクリスマスの事きいてこなかったな。


・・・・・・。


ちょうどいい少しからかってやるか。


「雪」


「な~に~?」


「今日はクリスマスイヴって日なんだよ」


「クリスマスイヴ?」


「そうだ。で、明日がクリスマスだ」


「へ~そうなんだ。」


「それでだ。今日はサンタがプレゼントをくれる日なんだよ」


「プレゼント!?ほんとに!?」


「ああ、本当だ(親が子供に渡すんだけどな)」


「じゃあさ。私ももらえるの?」


「もちろんだ」


「やったぁー!!」


「・・・・・・」


はしゃいでいる雪。


面白いな。


「それで雪は何がほしいんだ?」


「それはね~・・・・・・」


「どうかしたか?」


徐々に大人しくなっていく雪に声をかけた。


「・・・何も思い浮かばないよ~」


俺にしがみついてきた。


「本当にか?」


「ほんとだよ。どうしよう!」


「どうしようって、自分の事だろ?それより寒いから離れてくれ」


「何でそんな事言うの!?冷たいよ涼」


「冷たいのはお前だ」


「うぅ。嫌われた・・・。グスン」


「嫌ってねぇよ」


ただ、感情的になりすぎるとお前体が冷たくなるんだよ。


・・・言わないけどな。


「だったらいいよね?」


「・・・わかったよ」


「やった♪」


雪は嬉しそうに俺の腕にしがみついた。


「あ、そうだ!」


「何かお願い事でも見つかったのか?」


「今日おでん食べたい!」


唐突に何を言ってるんだこの雪女は・・・。


「ねぇおでんしようよ」


「おでんか・・・」


今から買い物に行くのはいいとしても、味が浸み込んでいないおでんはな~・・・。


「おでんは明日だ」


「え~どうしてよ~」


「そんなにおでんが食いたいのか?」


「うん!食べたい」


「美味いおでんを食べたいか?」


「うん!食べたい」


「なら明日だ。今日仕込みしてやるから、明日は美味いおでんが食えるぞ」


「うん!明日にする!」


単純だな。


「じゃあ今日はどうするの?」


「そうだな・・・。せっかくのイヴだし少し豪華にやるか。スープにサラダにチキンに、あぁ、サラダはやめてフォンデュにしよう野菜のな。それとケーキだ」


「おぉ~!いいね!!」


「嬉しいのはわかったから腕に顔を擦り付けるな」


「へへ~。涼ってあったか~い」


「・・・もういい。じゃあ帰る途中でスーパーに行くぞ」


「あ!!」


雪が急に大きな声を上げた。


「うぉ!びっくりしたじゃねぇか!!」


「あ、ごめん。でも、思いついたの!」


「何がだよ?」


「プレゼントだよ!」


「ほう。何なんだ?」


からかうつもりだったが。


雪にとっては始めてのサンタへのお願い事だもんな。


・・・仕方ない。


雪のお願い事が叶えられる範囲なら後で買って来て寝静まった時に置いてやろう。


「何をお願いするんだ?」


「えーっとね。教えてほしい?」


「そうだな。お前がどんなものに興味があるのか知りたいな」


「じゃあね。ヒント生き物!」


「生き物って犬や猫とかか?」


「ブッブー!違いまーす!!」


「じゃあ鳥か?ハムスターか?」


「ハズレー」


「・・・もう少しヒントは無いのか?」


「じゃあヒントその2。実はもう叶っています」


「は?意味がわかんねぇぞ?」


「本当にわからない?」


腕組をはずし、俺の目の前にたった。


「ああ。わからないな」


「ホントにホント?」


「ほんとにほんとだ」


「じゃあ降参する?」


「降参するよ」


そう言うと雪は嬉しそうに一歩二歩と後ずさり始めた。


「正解は・・・」


その言葉と同時に雪は俺にダイブした。


「涼だよ~!!」


「ぬお!!?」


俺は雪が地面に倒れないように上手く抱きしめた。


「お前危ないだろ!」


「えへへ~。でも、涼ならしっかりと受け止めてくれると信じてたよ」


俺の胸元で嬉しそうに顔を埋めてから、俺に笑顔を向けてきた。


「・・・この、馬鹿」


これじゃあ怒れないな・・・。


「私は涼に出会えてとても幸せだよ♪ありがとう涼」


ここまで素直に言われるとさすがに恥ずかしいな。


「涼はどう?」


「・・・どうって?」


「私と出会えて幸せ?」


「・・・・・・」


雪がじっと見つめてくる。


・・・これは言わないと駄目だな。


俺は小さく深呼吸をして息を整え。


「ああ。一度は手放してしまったけど、もう一度雪に出会えて今こうしている時間は俺にとっても最高の時だ。・・・ありがとな。雪」


「~~~~////」


雪の顔がサンタの服みたいに真っ赤になった。


その顔を見られたくないのか、又、胸の中に顔を埋めた。


「・・・俺もプレゼント貰えたな」


空を見上げると、丁度雪が降り始めていた。


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