小説を書くって難しい/設定メモ
なぜこんなに投稿期間が空いてしまったかの言い訳をさせていただこうと思う。
これまでそれなりに文章を書いてきたと思っていた「私」だが、それはあくまで素人日記、よくてエッセイのようなものだったのだ。文章ではあったが、小説ではなかった。「私」は進まない筆に愕然とした。
日記と小説、大きく違ったと感じたことは「描写について」だった。
2話目は、気を失った主人公が目を覚まし、布団に寝かされている状況を把握するとこから始まる。その、描写をどうしていいかわからなかった。どこまで詳しく記せば良いのか? 布団の感触、室内の様子、明るさ、暖かさ、家具の格調はどうだ、絨毯の色は何だ? 必要な情報は書かねばなるまい、ではその必要とは? 知らない部屋で目が覚めたことが判ればいいのではないか。下手な描写などかえって読む意欲を削いでしまわないか。そんなことを考えてしまって、「私」の指はキーボードをタイプすることが出来なくなった。
例えば、旅行したことを日記に書くとして、宿泊先の部屋をレビューするとしたら、それはもうスラスラと筆が進むことだろう。広さや間取り、家具などの使用感、良かったこと悪かったこと、いくらでも書ける。
同じ「室内の描写」なのにこうも違うとは。なんだか感動まで覚えた。
今こうして自分の内面を紐解いていて思ったのだが、この違いは「必要な情報」にあるのではないかと「私」は思う。誰にとって、必要なのか、だ。
日記にとっての必要な情報とは、書いている本人が必要だと思うことだと思う。言い換えれば、書きたいことを書きたいように書けばいい。ネット上に公開するならば相応の気遣いは必要だが、基本的にはそういうことだろう。
だが小説となると違う。少なくとも「私」はそう思った。誰にとって必要か、それはもちろん読み手にとって、だ。当然、読み手にもいろいろな方がいるだろう。細かい描写を好んだり、大雑把に把握できれば良かったり。すべての人の好みに合わせることは難しいので、そこは書き手の個性という素晴らしい武器でさじ加減するべきだろう。それが読み手の好みに合えば万々歳だし、そうでなくても我慢してもらえる程度に収まれば僥倖だ。
そして「私」には、その武器がなかったのだ。
無念である。きっと諦めずに書き続ければ、小説の書き方を勉強するなりすれば、いつかは身につくかもしれない。しかし今すぐには難しく、とりあえず何かしら投稿せねばと思い続け、ついにこうして言い訳をさせていただいている。不甲斐ないことこの上ない。
こんな状況のため、チラシの裏に書かれている人物などの設定だけでも記しておこうと思う。設定を考えるのは楽しいし、「小説」でなければこのように文章が進んでいくのに…。これは意識・先入観の問題なのだろうか…。解せぬ。(元ネタはよく知らないがお友達もこのセリフを使っていて、「私」はこれが好きであった。理解・納得できない感がとてもよく表れていると思う。)
そして下記を打ち込みながら、名前に思ったほどの捻りがなく、羞恥心が刺激されている。当時の「私」をしばきたい。
【練習作 異世界トリップモノの設定など】
・主人公:湯出あずき
26歳の女性。大人しく地味で、仕事は事務職をしている。
趣味は読書で、異世界での保護の対価として本の内容を教えることになる。
自分に価値はないと思い消極的だが、異世界人保護団体の面々に諭されたり励まされたりイラッとされたりするが、接していくうちに仲良くなっていく予定である。
性格は優しいというか穏やかというか気弱というか無害というか。
・異世界人保護団体:エッグス
何かの略称でEGGSにしようかとも思ったけど、そうするとまたアルファベットの普及がなんだかんだと深みに嵌りそうだったのでスルーした。ちなみに国の名前はウィートフラワー。
この異世界には地球の各国から地球人がやってくるため、国(文化や言語)ごとに担当する班が置かれている。日々、地球の勉強に余念がない。
・日本人班 班長:カスター・ドクリーム
名実ともに大人で優しい男性。ふわふわした長めの金髪。
・日本人班 班員:ラン・モンブ
ツンデレな少年。青い短髪。高くない身長を気にしている。
自信のない主人公に対し、始めはイライラしてしまう。
・日本人班 班員:パルフェ・グラッセ
元気で可愛い男の子。赤い髪。
・日本人班 班員:ザッハ・トルテ
毒舌で辛口な青年。腹黒ではない。黒髪。
価値のある情報など持っていないと落ち込む主人公に、価値の有無はこちらが決める、お前にこちらの価値を判じることができるのか、とバッサリいく予定。
・日本人班 班員:エル・プレッツ
おっとりした女性。薄茶の長い髪をまとめている。
・奴隷のような立場の人:ノーレ・サント
主人公が、異世界で生活する上で希望はあるかと聞かれた際、近頃読んでいた物語の内容が「異世界で奴隷を買って良い主人になる」というもので、同じようなことを希望した。気が動転していたのだろうか。余裕だな。再考の余地がありすぎる。
保護団体には専属でずっと主人公の世話をしてくれる人員がないため、とか考えていた気がする。言葉の問題は、最初はほぼ通じないが、基本的な指示を優先して覚えてもらい、あとはゆっくりと語彙を増やしていき、ふたりの距離も縮まっていき、とか。
無口で物静かな男性。契約者に対し逆らえない立場の人。
最初は主人公に対して義務的だが、主人公が元の世界に帰るにあたって葛藤とか想いとかを感動的に綴れたらいいなと思う。
よくある話、だと思う。同じような物語はもういくつもあるだろう。「私」も気に入ったテーマ・設定のものを中心に読むので、同じような小説というものはたくさん読んでいると思う。
それでも、好きで同じようなお話を飽きずに読めているのは、そこに書き手の個性があるからだと思う。異世界に行き、愛されたり何かを成し遂げたりする。言ってしまえば、これだけのこと。それでも世界観や人物設定、文章の構成、言葉の選び方、等々で無限に広がっていくことに面白さを感じる。たまたまほぼ全ての設定が同じになってしまっても、一言一句同じということはないだろう。登場人物の性格も、同じ「優しい人」としても、書き手それぞれの「優しいの定義」は違うだろうから、まったく同じ人物にはならないだろうと思う。そうなればきっと、同じような話でも、違う面白さがあると思うのだ。
「私」の書くものも、いつかそんな素晴らしい小説のひとつとなれたらと思う。ここまで読んで下さり、ありがとうございました。