きっかけ
さて、と私はほぼ真っ白なパソコンの画面に向かってみた。
自作の小説を、読むだけでなく自由に投稿できるというサイトに出会ったのは、友人に勧められたのがきっかけだった。このお話すごく面白いよ、とボイスチャットのログに貼られたURL。文字を読むのは昔から好きだったので、ためらいなくそのアルファベットの羅列をクリックした。
便利な世の中になったわねぇ、なんて思いながら、まずはシンプルな表示の画面に好印象を抱く。その日はちょうど休日で、机のわきにコーヒーなど置いて、どれ読んでみるか、と穏やかな気持だった。今思えば、このクリックが今に大きくつながっていたんだとわかる。
すごく、面白かった。一気に読んだ。私はゲームも好きで、その友人とはオンラインゲームで知り合って、とても趣味が合う人だった。キャラクターを作成する、なんてときには顔のパーツと髪型、色まで同じなんてことはよくある。…なんてことは、おいといて。
そう、小説が面白かったのだ。実はほかの友人もこのサイトのことを知っていて、たくさんのお勧め小説を教えてもらった。読んで、やっぱり面白くて。サイトにユーザー登録をしたら便利な機能があるのかな? と試しにやってみたのが数時間前。登録したことを友人に告げたら、小説の投稿まだ?w なんて言葉が返ってきて。
気を良くした、というのはあるかもしれない。小説なんて大層なものは書いたことはないけれど、日記を書き続けていたことはある。可愛い日記帳にひっそりつけていたそれから始まり、日記サイトといわれるようなものを運営したり、そこでお題にそって自分のことを文字にして綴ったこともある。
だからというか、友人の言葉を期待ということにして、期待されたのなら応えなくては、と言い訳のような、誰に言い訳しているのやら、なんて一人で頭をぐるぐるさせて、最近ではめっきり書かなくなってしまった文字を、また綴ってみようかと思ったのだ。
そこで、冒頭に至る。
さて、と私は少し文字で埋められた画面を眺めた。
投稿するならエッセイだな、とは最初に思ったことだ。さっきも言ったが小説なんて書いたことがないし。いや、一度だけあるかも知れない。小学校の国語の時間に書いた物語。眼鏡をかけた男の先生に、クラスで唯一私だけが褒められた、小学生レベルの、小説。でも実はそれはゲームのパクリである、と当時はさすがに言えなかった。そうはいってもお借りしたのは人物の名前と、ちょっとした世界観だけで、ストーリーは自前だ、ったはずだ。少女がさらわれ、少年が救い出す、というありふれた内容ではあったけど。
そんな華々しい略歴をもつ私には、きっとエッセイが似合うと思う。エッセイ。散文。文を、散らす。うん、大丈夫そうだ。どうせ知り合いくらいしか読まないのだから(笑)