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魔獣と性別

…また会話文に逆戻りですね。描写関係の文章スキルを磨くにはどうすればいいのでしょう…?

「にゃぁ…」


自分で魔獣認定してしまった私だ。赤目はまだ何とかなるかもしれないが九尾の猫となれば間違いなく誰が見たところで魔獣認定だろう


因みに魔獣という名前は魔法を扱う生物の総称という説や魔に魅入られた獣のことを指すという説や魔力を宿した獣は全て魔獣という説、親から生まれるのではなく魔力が形としてなる獣が魔獣という説など多々ある。因みに正解なんていうものは無いに等しい。今私が魔獣になっているのだから尚更だ


だが、世間一般で認められている魔獣という括りは「見た目」と「魔力」のみに偏っており、見た目が普通じゃないとか魔力を感じさせる容姿といったことで魔獣認定される


まあ、魔獣でも構わない。メリッサにそう言ったのは私だ…魔術が使えない以外は別段不満があるわけじゃない




ふと、気配を感じ辺りに意識を移す…慣れたものだ

数は右に2、左に3、前に5…計10匹の狼の気配

数日前からこんな感じだった。いつの間にか狼は群れを成し始め、こちらを囲むようにして慎重に様子を伺ってくる

毎回追い払っているとはいえ、こちらはただの猫だ。狼が群れをして狩る対象では無いと断言できるはずなのだが、狼達には学習能力が無いのだろうか?



「にゃ~~~~?」

(何で毎日襲い掛かってくるかなぁ……?)


猫語で話しかけてみたが、返答は無い。そもそも通じている可能性は低い

動物同士で意思の交換などが出来ればよかったのだが、そこまで世界は万能に出来ているわけではなかった

狼は犬の部類…だったか? 猫の部類の虎などだったら通じたのか?


そんな考えをよそに狼達はじりじりとにじり寄ってくる。いつものパターン…だった



「にゃ……?」

(おや……何か他に…来ている?)


その"だった"は"はず"に為ってしまった



狼より遠方、目を凝らすと見えるくらいの距離の"空"に見えた物体……この距離なら狼達と同期しているわけでもない。無論狼達が気付くわけも無い…もう、手が焼けるな!



「にゃ、にゃぁぁぁぁ!!!」

(命が惜しければ逃げろ!!)



魔力を込め、叫んだ。

ある意味金切り声のような私の甲高い泣き声に狼達の動きが止まる…止まってどうする。逃げろといっているのに!

その間にも"あれ"は大きく見えてきている…近付いている証拠だ…もうこいつらの面倒は見切れないぞ?


まあ、見えてきていたのは一瞬だった。どれだけ速いんだ、この生き物は




「…………」

バサバサと湖の上で羽ばたいている生き物。それは魔獣だが魔獣とはまた離れた存在として知られる…生物。獣たちの進化の頂点といっても過言ではない、存在




龍がそこにいた

案の定狼共は尻尾を巻いて駆け出していた…本当、逃げ足だけは育っているな。私が育てたといっても間違ってはいない…のか? 何か複雑だ



「………にゃ…」

(………ぉぉぅ)


そんな狼はどうでもいい。龍を見た私は…思わず感嘆の言葉を漏らした。

鱗の色は青。ちっぽけな私の体と比べて巨大、雄大な圧倒的存在。恐怖より畏怖を思わせるその眼差し…眼差し?


「暫くぶりに我家に戻って来たら、客がいたとはな…失礼」


ぇ?


「にゃ?」

(言葉を喋ってる?)


「言葉か…そう聞こえるように配慮したからだな。客人よ」


羽ばたきを止めて、水面に立つ龍…さん。さん付けが良いな。明らかに私より高位の方だ。

波紋は広がるが水音一つしないというのは驚愕する事だと思うが、今はそれどころではなかった


「にゃ…にゃ…」

(配慮か……私にはちょっと無理っぽいな……)


「猫の声帯だとそうだろうな。因みにこの距離なら思考も読めるぞ」


……思考を読む!? 女神と同等…流石に規格外だな。猫の私にそれが出来るとは思えないし…でも有難い。会話が成立する相手が居るだけでも余裕が生まれそうだ


「馬鹿を言え。お前も大概規格外だぞ…雄の獣が盛る原因はお前にあるわけだしな」


しかし本当に読まれた…私にも出来たらよいが無理だろうな…思考を送る事はできそうだが。

(っと、狼達は盛っていたのか…………はぁ?)


「はぁ?じゃ無いわ。お前の体から発する微かな魔力もどきは魔力を持たない獣に対し発情している臭いに感じるだろうよ」

完全に呆れた声を隠すわけじゃなく…やれやれとでも言われそうな雰囲気が龍から醸していた


臭ってるのか…毎日水浴びしているのに。鼻は利くはずなんだが…


「……本当に解っていないのか。む…仕方ない。魔力の制御を一から学びなおすか?」

体の臭いを嗅いでいる私を見て眉間に皺を寄せたように見えたのは見間違いじゃ無さそうだ


(学び直す? 私には師が居ないぞ?)


「頭の回転が鈍いやつだな。私が教えてやろうと言っているんだ……嫌なら嫌と言え」


……………私の運命の巡りを女神は何か細工したんじゃないか?

………こんな事普通はあるわけが無いと思うぞ?


(…悪い。お世話にな………る………)


「ん。では…………と、どうした?」


ちょっと待った。今までの会話から嫌な事を思いついたのだが。

雄が発情する臭いを私が発している……私は、何だ?





………………メリッサ!

…………何故性別が変わってるんだ!!





******






「それはですね、あなたが望んだのが『魔力が高い』『大型は不可』という望みしかなかったからですよ。そしてそれに一致する最大の組み合わせが、魔力が大きい猫型魔獣の雄より魔力が多い雌、という事になったのです。欲が無いのは美徳ですが、計画性が無いのは致命的ですよ」


どこかから光景を眺めていた女神の独り言

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