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女神の真実

会話文です。

どれだけの沈黙が流れたのだろうか


泣いている彼女を見つめたまま微動だにできない私

呆然としたままこちらを…涙を浮かべていた目で見ている彼女

その瞳の先に移っているのは…憐憫? いや…後悔、か…?




「もう、全てお見通しなのですね……フィン」

もう涙は枯れたのだろう。声の震えも無く、見つめる双眸に呆然とした光は見られない


それは、流石にな


「私を恨みますか…?」

やはり、表情に浮かんでいるのは後悔の念……見ていてこちらが溜息を出してしまいそうだ


…何故だ? 滅ぶはずだった私の魂が残っているのはメリッサのおかげなのだろう?


「………私はあなたを。私の都合の良いように動かして、都合の良い死を迎えさせて…そして責任を押し付けようとしているのですよ…?」

まるで、犯罪者の独白…そう思わせられる雰囲気だ


それでもだよ。あの国が滅ぶのは時間の問題だった。私が手を出さずとも誰かが動いたはずだ…それでも私は、私の意思で動いたと自負している。そちらだどう思おうとな…都合が良すぎたと思うところは少なくはなかったが……動かされたとは私は思ってもいない


「……でも」

それでも沈み行く感情の下降螺旋…拙いか。ちょっと見失っている


…いい加減目を覚ませ。私が追い詰めたのは悪いと謝ろう。だが、仮にも神だろう? うじうじするな。

それに、良いのか? お前が不安定になっているから聞かれたくないと思って張っただろう結界が歪みそうだぞ


「…………そうですね。ふふっ……済みません」

歪みがしゃんと正され、彼女の表情も和らいだように見えた…苦笑されたのは、まあ…見逃そう


で、だ……妹女神を探すというのは良いが。私自身も記憶は無くなるのだろう? 結局ここまでしておいても厳しい事に変わりは無くはないか?


「それは…あまり神の立場からしたら好ましいとはいえないのですが…力を分け与えるという形で可能になると思います」


神の力を分け与える…女神の眷属化ということになるのか


「……一寸違います。あなたに与える力というのは堕ちた女神が奪われた力…妹の力です」


……同じことじゃないか? メリッサの眷属じゃなくて妹の眷属という事になるのだろう?


「いえ。既に妹は堕ちていて神格は残っているかもしれませんか神としての存在は否定されています。なのでこの力は行き場のないただの純粋な女神の力です」

ふと、女神の両手にはペンと本ではなく光の塊のようなものが浮かんでいた…力の塊だと判別できるほど強い光を放ちながら


……妹さんはその力を私に与えたら女神に戻れなくなるんじゃないか? 探すということは女神として戻ってきて欲しいという事なのだろう?


「神格さえ残っていれば戻る事は可能なのです。ただ戻ったら見習いから再度始まる事になるでしょうけど……罰なのですから」


ふむ、半不死身の存在みたいだな。安心した…元の持ち主の力なのだから惹かれることもあるのだろう?


「ええ、それが狙いですから。妹もあなたのことに気付くと思います」


いきなり襲われることもありそうだな、注意しておくか…ところで、妹女神の力を私に与えるとして、私に起こりうる状態と言うのは記憶の保存だけか?


「解っていて言ってますね。女神の力をその身に宿すのですから…力に溺れないよう覚悟して下さい。悪行の道に染まったりした場合、きっと私しかあなたを止める事ができません」

真剣な眼差しで私のことを見据えるメリッサ…心配するなといいたいところだが。

魔力量を計算して術式の必要量を計算して魔方陣を書き換えて倍率を下げたり、

足りない時に儀式方陣を組み上げる為に地図を描き必要な場所を洗い出す為に齷齪したり、

覚えた術式や魔法の中で使えないと判断したものを知識としてしか持てず切り離さざるを得なかったり

……拙いな。誘惑が大きすぎる…ん?


女神の力と魔力は関係ないのか?


「魔力大目は先程質問した中に入ってますよ。女神の力が魔力増に係るかもしれませんが、基本女神の力と魔力そのものは分けて考えても大丈夫です…本当、魔術や魔法が好きなのですね」

少し呆れられているのかもしれない。まあ、仕方ないか…悲しみよりは幾段も上等だしな。


なら問題は無い。女神の力は早々使う機会なんてないだろう。





「では、最終確認です…フィンは、私のお願いに対し契約を結んでもらえますか?」





『ああ、良いだろう。私、フィン=リテェラは転生後女神メリッサの願いを遂行する為に頑張るとしよう』





契約は為ったらしい。霊魂状の私の体が光り輝いてきた

メリッサの手の上にあった光はもう姿を消している


「契約は為りました。フィン、妹を宜しくお願いします…良ければ現実の厳しさも教えてあげてください」


……私は妹さんを嫁に貰うわけじゃないんだが…最後に良いか?


「はい。あ、あと少しで転生になるので急いでください」

直ぐに視界に霧が掛かったようになってきた。早く言ってくれ…と、これだけは聞かないと


…妹さんの名前…は…?


「……リステルです。では!!」




名前を聞いた直後、周囲の世界が光に包まれた…

結界を解いた途端にこうなるとは…メリッサは運命を遅らせてまでお願いしたという事なのか…

ちょっと重いが、仕方ない…頑張るとしよう



そして、私の意識は白く染まった




「フィン、妹を、世界を宜しくお願いします……」







********


















とある森の中、とある湖の近く。それは突然存在した

周囲の森のざわめきが大きくなり、湖にいくつもの小波が生まれていた…最中


それは目を覚ました



「にゃぁ………にゃ?」


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