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羞恥と徹底

色々と御免なさい…現実は厳しいです

私は何故か危機に陥っていた

今の現状を把握しよう


私は何故か部屋の隅に追いやられていた

逃げ場をどんどん封じられた結果こうなってしまった…隅なのだから背は壁になる。やや冷たい

そして正面には2人の女性

私を隅に追いやった張本人達だ。飢えた獣のような瞳でこちらを見つめているのが怖い

この僅かな時間に一体何があったというんだ?













「い、一体どうした…?」


「と、とりあえず耳を触らせなさい!」


「わ、私はお嬢様のサポートをしているだけですが?」


誤魔化した侍女は兎も角として、セラよ…触りたいのなら先に言ってくれないか?

急に勢い良く近づいてきたものだから反射的に逃げてしまったぞ


「引っ張る事さえなければ別に構わないが…そんなに珍しいものなのか?」


呆れながら出た言葉だった。王国では見覚えが無かったが確か半獣の人型をした人種がいたかと思うのだが。宰相等をやっていたら他国の人種などにも通じているだろう


「ええ、とても珍しいわよ。その宝石のような輝きを秘めた赤い瞳も白銀の雪を思わせるような白い髪も、髪からひょんと出ているふさふさしていて柔らかそうな耳も。透き通るような白い肌も、少女のように小柄な体系なのに何故か主張している胸元も。全てが素晴らしいわ!!」


セラの目は輝いていた。まるで宝物を見つけた少年少女のように

私は拙いと思った。これは間違いなく入ってはいけないスイッチが入ったようだ。

そういえば聖女も確か少女の姿のまま何年も変わらない姿だという噂は聞いたことがあるが…彼女が何かやっていたのではないだろうな?


ふと、そんな場違いな事を思い浮かべていた私がまあ…馬鹿だったのだろう。目を逸らすことをしたわけじゃない。警戒全開で対処していたはずだ

だが、彼女が私の予想の上を行く速さだっただけだ。はっきりいって目で追えなかった


「というわけなので、お嬢様のおもちゃになって頂けると助かります。私ではあの状態から目を覚まさせる事は不可能に近いのです…後で私にも触らせてください」


私の後ろ。壁だったはずのそこに彼女はいた。こっそり要望も言われた

おもちゃというかなんというか、嫌な予感しかしないのだよ。この状況は…一応、一応言っておくが私の頭は男だからな?


「……これじゃ碌に話も出来ないな。仕方ない…」


結局私は承諾する事になった。考えても見たほうがいい…話そうとした相手が興奮している状態で会話が成り立つと思うか? ならば相手の興奮状態が解けるまで待つのが最善なのだが興奮状態を解く事が満足させるか冷ませて冷静にさせるか程にしか思い浮かばない

満足するのなら別段構わない。自分の行為をふと省みて冷静になってくれるのも一考だ


ここで私は大きな勘違いをしていた。興奮状態を解く事しか考えてなかったのが原因だ。結果私が何をされるのか、どういう扱いを受けるのかが視野にも入っていなかった






「ふふ、ありがと。怖がらなくても良いわよ、優しくしてあげるから」


「……あ、や、ちょ」


その言葉は色々と問題があるぞと言いたかったが、笑みを浮かべる彼女に対し言葉が出ない。多分私の顔は引きつっていた…獲物を捕らえた獣のような雰囲気を醸し出される、獲物はきっと私だ。蛇に睨まれた蛙のように竦むというのはこういうことをいうのだろう






「ふふふ、何処まで持つかしら?」



ただ、抱きつかれ、耳を触られ、息を吹きかけられただけのはず…だった














「あ、はぅ…ひゃぅ!?」

(!?)





己の口から出ただろう音にに戦慄が…何か背中に電撃が走るような感覚が通り過ぎたのを感じて出た声に、顔が赤くなると同時に恐慌に陥ってしまった


(な、何だ、今のは…私は一体どうした!? 拙い、このままでは絶対に拙い…何か対策を!?)


そうだ、石になろう。石の精神になれば耐え切れる。彼女が冷めるまでの我慢だ


このとき既に彼女の術中にあったのかもしれない。逃げるという思考すら失っていたのだから



「や、やめ…ふぃぁぁ!?」













































「はぁはぁぅ…ぅ」


この後の事は余り覚えていない。私は耐え切った…はずだ

何せ彼女は憮然とした姿で私から離れていった。私の精神はズタボロになったが勝利を得たと思っても良いだろう。体だって無事とはいえない。顔は赤みを帯びたままだ

思い出すだけで寒気がする。私があのような声を出し続ける姿と言うのは封印したい記憶だ、寧ろ消してしまいたい



「レミス。この子の教育、お願いできるかしら? フィンの意識は残しておいても良いから女の子としての最低限の矜持を持たせるように仕上げなさい」


「分かりました。数日お待ち下さい」


突如話が進んでいる彼女達。私は体がぐったりとして動くに動けない…まだ何かあるのだろうか? 私が女の子だというのは勘弁して欲しい。精神的にきついのだよ、この姿は

いや、違うだろう。私の意識を残しつつ女の子として仕上げるとか一体どういうことだ?


「フィン。貴女今困惑しているでしょう? 先程は堪能させてもらったけれど貴女には私は不満なのよ。男の精神と女の体が全然融合していないの。人化するのはいいけれど、せめてその姿にあった精神に切り替えるくらいのことはしなさい」


堪能したとか言うな。私の自尊心が崩れそうだ…私は床にへたりと腰を落としている為どうしても見上げる視線になってしまうが、その先に見た表情は若干哀れみを帯びているようにも見えた


「……私を捨てろと言うのか?」


「馬鹿ね。貴方は一度死んでいるの。例えそれが貴方の戯言でも私は受け入れるわ…でもね、姿形が変わって性別も換わって、それなのに何も変わらないのは余りにも不細工なのよ。念話なら我慢は出来るけれど口から聞くのは耐えられないわ」


憮然とした私に対ししれっと言い放つ彼女。もう、彼女の中では精神は私で姿は少女という型式図が出来ているようだった。そう考えれば確かにちぐはぐだ、傍から見ればさぞかし滑稽な存在に見えることだろう


「だが私は私だ。根本は変わらない」


「誰もね、フィン自身の全てを変えろなんていってないわよ。私が求めているのは薄っぺらい表面上の事だけ、少女の姿に人化したのならその姿に合わせなさいって事よ」


彼女の言い分も分かるが、私に出来るかと言われればそれは話が別になる。20年以上付き合ってきた言葉や仕草だ、そう見た目が変わろうとも直るとは到底思えない




「そろそろ良いでしょうか? 動けないようなので運びますよ」




いきなりだった。私の意識はほぼ彼女に向いていた為背後から持ち上げられる事に反応が即座には出来なかった


「いや、大丈夫だから降ろしてくれないか…?」


今の私の体が脱力しているのは誰が見ても明らかだろうが、私としてもプライドというものがある。両腕で腰と足を持ち上げられてまるでお嬢様を抱くかのようになれば羞恥心すら出ようというものだ…


「これも教育の一環なので却下です。大人しくなすがままにしてください」


教育…女の子に仕上げると言っていた事か? 拙い。逃げないと拙い。そうだ、猫に戻れば逃げ切れるか…いや、猫に戻っても力が入らないままだともっと拙い事になる可能性がある

八方塞なのか……



そのまま運ばれていく私と目があった彼女は柔らかく微笑んでいた

行ってらっしゃいとでも言うかのように



















……私は、どうなってしまうのだろうか?


私はR15タグを付ける事が出来ません…

…生暖かく見守って頂けると幸いです

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