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『星が落ちた世界で、君と約束を』

作者: はちみつ
掲載日:2026/03/18

第1章:星のかけらとの出会い


世界には、「星の魔法」と呼ばれる力があった。


空から落ちてくる“星のかけら”を手にした者は、特別な魔法を授かる――

けれど、それは同時に「寿命を削る力」でもあった。


少年・レイは、星の落ちない辺境の村で暮らしていた。

魔法とは無縁の、ただの普通の少年。


――だったはずなのに。


ある夜。


空が、裂けた。


「……なに、あれ……」


轟音とともに、村の外れの森へと落ちる光。

気づけばレイは、無意識に走り出していた。


そして、見つけた。


――光の中心にいたのは、“少女”だった。


銀色の髪、透き通るような肌。

まるで人間じゃないみたいに美しくて、儚くて。


「……あなた、だれ……?」


少女は弱々しく目を開ける。


「……私は、エル……星の……守り手……」


その瞬間、彼女の胸元で淡く光る“星のかけら”。


それは、ただの魔法の源じゃない。

“彼女自身”だった。


「……助けて……」


その一言で、レイの運命は変わった。


第二章:星の少女


エルは“星の精霊”だった。


人の願いを叶える代わりに、少しずつ消えていく存在。


「星のかけらは、人に渡してはいけないの……でも……」


「でも?」


「あなたなら、大丈夫な気がしたの」


そう言って微笑む彼女は、どこか寂しそうだった。


レイは彼女をかくまうことにした。


村には知られてはいけない。

星の精霊は、王都では“道具”として扱われているからだ。


「レイって、優しいね」


「普通だよ」


「ううん。普通の人は、見知らぬ誰かのためにここまでしない」


その言葉に、レイは少しだけ照れた。


――気づいてしまったから。


彼女のことを、もっと知りたいと思っている自分に。


第三章:奪われる星


平穏は、長くは続かなかった。


王都の魔導騎士団が村を訪れる。


目的はただ一つ。


「この辺りに“星の反応”があった。隠している者は罪に問う」


冷たい声。


レイはエルを守るため、嘘をつく。


だが――


「見つけたぞ」


エルは連れ去られた。


「やめろ!!」


抵抗するレイを、騎士は軽く突き飛ばす。


「無力な者は、黙って見ていろ」


その一言が、胸に突き刺さる。


――守れなかった。


自分のせいで。


レイは、初めて強く願った。


「……力がほしい」


その瞬間、彼の手に落ちる“星のかけら”。


まるで、応えるように。


第四章:命を削る力


レイは王都へ向かう。


星の魔法を手にして。


その力は圧倒的だった。


だが同時に――体が蝕まれていく。


「その力、長くは持たないぞ」


旅の途中で出会った魔導士が告げる。


「星の魔法は、“未来の時間”を燃やして使うものだ」


それでもレイは止まらない。


「それでもいい」


「後悔するぞ」


「もうしてる」


――あの時、守れなかったことを。


だから今度こそ。


絶対に。


第五章:再会


王都の塔。


そこに、エルはいた。


“願いを叶える装置”として繋がれて。


「……レイ……?」


再会した彼女の声は、かすれていた。


「来たよ」


「どうして……」


「約束したから」


――守るって。


騎士団が立ちはだかる。


激しい戦い。


レイの体は限界に近づいていた。


それでも。


最後の一撃で、鎖を断ち切る。


「……エル……」


崩れ落ちるレイを、彼女が抱き止める。


「どうして……こんな……」


「……好きだから」


初めて、言葉にした。


「君を、失いたくなかった」


エルの瞳から涙がこぼれる。


「私も……好き……」


けれど――


彼女の体は、すでに消えかけていた。


最終章:星の約束


エルは、自分の最後の力を使う。


「レイの命、返すね」


「やめろ……!」


「大丈夫。これは、私が決めたことだから」


彼女は微笑む。


最初に出会ったときと同じように。


「また、会えるよ」


「嘘だ……」


「ううん。星は、巡るから」


光が、溢れる。


そして――


彼女は消えた。


数年後。


レイは星の研究者になっていた。


星のかけらを“人を傷つけない形”で使うために。


ある夜。


空に、ひとつの流れ星が落ちる。


「……まさか」


森へ走る。


あの日と同じ場所。


そこにいたのは――


「……ただいま、レイ」


少しだけ成長した、あの少女。


涙が、止まらなかった。


「おかえり」


今度こそ、手を離さないように。


二人は、静かに抱きしめ合った。


エピローグ


星は巡る。


願いは、消えない。


そして――


約束は、未来になる。

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