第六話 また
「はっ」
目が覚める、何だ?どうした、いや、ん?
「フロスト様やっちまいましょう!」
ん?これは、ここは確か、少し前の……
「おいおい、何だ兄ちゃん、やる気か?w」
さっきのゴロツキ二人か、は?時間が戻ってる?
いや、俺は確か……死んだ?
俺は口を手で抑える、何かが溢れてきそうな気がしたから
べったりと染みついたあの痛みを想起する
「クッ」
「おいおい、どうした兄ちゃん、ビビっちまったか?」
声が遠い、頭がふわふわとしている
いや、待てまずい、立て直せ、このままでは
「おらぁ」
ゴロツキ二人の中の一人、大柄な方の男がそう言いながら、俺に殴りかかってくる
それを俺は何とか躱した後、そいつを見る
「すまない、今、少し体調が悪いんだ、後にしてくれるか」
俺が少し睨みながらそう言うと、ゴロツキは
「おっ、おう、そうか、そりゃあ仕方ないな、しっかり帰って布団にくるまって寝るんだぞ」
そう言って、もう一人の細ゴロツキを連れてどこかに行ってしまった
ほっ良かった、分かってくれたみたいだ
さて、とりあえず整理しよう
俺は魔王として生まれた、そして素材を集めるために地上に出た
楽しい楽しいショッピングをして
パン屋から出た時に……首を斬られて刺されて死んだ
なるほどなるほど、確かに刺されて死んだと、うんうん、そしてシロも?刺された
ちらりとシロの方を見る、うんうん、確かにシロは生きてる、俺も生きてる
よし分かった、巻き戻り、ゲームみたいな感じで死んだらあるポイントまで巻き戻る感じか
確かに、そういえば、俺はゲームを始めてゲームの中に入ったんだった
そりゃあ、ゲームオーバー(死亡)したら巻き戻りますよ
さて、色々確認すべき事はあるが、飛ばして、次、アイツは誰だ
ユーラテリア王国、国王直属騎士団、団長、白薔薇のアンナ?
あいつはなんで俺が魔王だってわかったんだ?思いつくのは……
氷の能力発動か、それくらいしか思いつかない、もし氷の能力発動でバレたのなら、今回はゴロツキを氷漬けにしなかったから大丈夫だろう
というか、アイツ強すぎないか?
まぁまぁまぁ確かに俺も浮かれている部分はあった、けどさ、一応警戒してた
そりゃあ人間の街に魔王が行くんだよ、警戒するでしょ
してたのに、、まったく気づかなかった
一応魔王だよ、俺、それとも魔王でも別に五感は人間と変わらないのか?
それともあいつがやばすぎるのか
「なぁシロ、白薔薇のアンナって知ってる?」
「白薔薇のアンナ?知ってるっすけど、、」
「そいつってどんな奴?」
「へ?えっーと、まぁとにかくめちゃくちゃ強いっすね、多分今の魔王様が戦ったら瞬殺っす」、つまり
へーなるほど、なるほど、という事は、つまり
「そうか、じゃあ俺は今からまた死なないといけないんだな」
俺は目の前にいる女性を凝視しながらそう言った
「やぁまたあったね」
俺が少し茶化すような口調でそう言った後
「また?初めましてじゃない?」
そう彼女が言ったのを最後に、俺は死んだ―――
名前 フロスト
職業 無し
称号 無し
持ち物 無し
眷属 無し
能力 召喚
適性魔術 氷を生み出し、操る(名称不明)