第十三話 森羅のエルフ
「私の新たな主君が、こんな平凡な魔力のゴミと本当に本気で言っているのか?」
うん、本当に本気で言っているのか?
え?俺がこのエルフの主君になるの?
というか誰この人、というか俺なんか侮辱されてないか?
「本当に本気で言っているよ、貴方はきっと気に入る」
「少なくとも今見た限りでは気に入る要素など一つもないけどな、こんな醜男」
うわーすごい、言いすぎだろ、俺そんなブスだったっけ、今の顔
「はぁ?魔王様は醜男なんかじゃないっすけど!!」
俺の腕に抱かれているシロが身の乗り出して、怒っている
「ん?なんだ白狐、ふんお前はまぁまぁだな、しもべくらいにはしてやってもいい」
「はぁ?なんすか、僕は魔王様以外に仕える気はないんすけど?そもそもたかがエルフに―――」
「はいストップ、一旦落ち着こう」
俺はシロの口を手でふさぐ、なんかちょっとまずそうな気がしたから
「マオ…サマ…コイツ」
なんかもごもごしているが一旦無視する
「で、白薔薇、俺を呼んだ理由を聞いて良いか?」
「それは……」
「それは、私が呼んだの」
王様の隣に座っていた、王妃がそう言いながら立ち上がる
それを見た後、俺はチラッと王様の方を見るが、ニコニコ笑っているだけだった
「魔王様にお願いしたい事があってね」
王妃はそう言いながら、俺の方に歩いてくる
「そこにいる彼女を預かって欲しいの」
このエルフを、か、俺はエルフの方に少し目を向ける
すると、エルフは機嫌が悪そうに目を逸らす
うーん、なんか駄目そうなんだよなぁ、理由は知らないけれど
預かってもいいだが、本人がこの様子だと……
俺が少し迷っているのを見た後、王妃は口を開く
「彼女はね、ある魔王の支配下にいたんだけど、つい先日、その魔王が引退というか隠居しちゃってね、新しい主君を探しているのよ」
ん?魔王が引退?なんかさらっととんでもない情報が入ってきたな
まぁ一旦置いておくか、後で聞こう
正直彼女がその気なら即答とは言わずとも、かなり前向きに返事が出来たのだが
とうの本人が、俺をゴミ、醜男って、言われること自体はどうでもいいが
なんか反逆とかされそうで怖い
「彼女は、俺の下につく事に納得しているのか?」
俺はそう言った後、俺はエルフの方を向く
すると、少し嫌そうな顔をしながら
「嫌に決まっているだろう、お前みたいな魔力カスの底辺の下につくなど、だが仕方のない事情という物がある、お前としては私の様な強い魔族が手に入るのだ、喜んで歓迎以外の選択肢など、無いだろうながら」
そう言った
俺の今の顔を見ても、喜んで歓迎すると思っているのか
いや俺の事など眼中にないだけか
ん?魔力?そういえば、さっきからずっと魔力の事を気にしてたな
あれ、俺ってそんな魔力少ないの?魔王なのに?
いや、生まれたてだからそうなのか?
けど、魔王っていうくらいだから平凡な量ではないと思うんだけど……
「あ」
そうじゃん、そういえば、そうじゃん
「なぁ白薔薇、魔力を回復する事ができるアイテムってあるか?」
「ああ、何故か偶々、ちょうど良く」
クソ、そういえば白薔薇、こいつ、俺が魔力切れ起こした事知ってるのか
という事は最初から、これをするつもりだったのか
俺は白薔薇から一つの液体が入った瓶を受け取る、そして飲む
「フン、何だ?見目麗しい私に惚れでもしたか?残念ながら、その薬は魔力が回復するだけで、元の量が増えるわけではないぞ?悪あがきは辞めるんだな、そもそもお前に仕えてやると言っているのに―――」
エルフの声が急に聞こえなくなる
それと共に、魔力が回復していくのが分かる
「お眼鏡にかなったのかな?クソエルフ」
良かったな、シロ、新しい仲間ができたみたいだ―――
《眷属が増えた!エルフ》
名前 フロスト
職業 白の魔王
二つ名 無し
持ち物 6000G
眷属 シロ、骸骨(10体)、エルフ(New)
能力 召喚、迷宮支配
適性魔術 氷を生み出し、操る(名称不明)