9 今回もままならない子供時代になってしまう
自分が怪物相手にどれだけやれるのか。
確かめようと思えば出来る。
壕の中に入って怪物と戦えば良い。
だが、そんな事を一緒にいる大人が認めるわけがない。
「これもお預けか」
魔力結晶と同様、自分の腕を確かめる事も大人に止められる。
なかなか思うようにならない。
「なんか、前と同じだな」
大人の都合で振り回される。
あれをやれと言われ、これは駄目と止められ。
思い通りにはならない。
「やっぱ、働きに出るのを待つしかないか」
前世では、働くようになるまで自由は無かった。
今回も同じような道をたどりそうな気がした。
とはいえ、子供が大人に守られ、だからこそ大人に色々制限される。
それもわかってしまう。
一概に悪いとは言えなかった。
一度は大人だったのだ。
大人の考えもわかる。
しかし、だからといって現状の不自由さは納得出来ない。
もう少し思い通りに動ければと思ってしまう。
それでも、今は仕方ないと思って耐えていく。
いずれ自分で動けるようになれば、もう少し自由になる。
生活は自分でどうにかしなくてはならない。
それが制限になるのもわかってる。
だとしても、他の誰かにあれこれ言われる事は減る。
それは大きな利点だ。
それまでは制限の中でやれる事を出来るだけやる。
それしかない。
「本当に面倒だな……」
あらためて子供時代の不便さを思い知らされる。
それも今だけ…………と我慢できるわけもない。
子供時代が存外すぐに終わるのはわかってる。
嫌でも大人になるのも。
だとしても、今この瞬間の不自由さを受け入れたくはなかった。
やれる事が減る。
それは今後の可能性が、選べる道が減る事を意味する。
それもまたわかってしまう。
だから焦る。
このままでは可能性がどんどん小さくなると。