7 こんなに働いてるのに、手元に何も残らない
魔力結晶は怪物を倒すと出て来る。
死んだ怪物の体が霞のように消え去り、その後に残るのだ。
この魔力結晶、その名の通り魔力の塊だ。
魔術という不可思議な力を使われる。
魔術を発生させる器具の燃料として用いられもする。
この世界における電気やガソリンのようなものだ。
この為、売買に用いる事もある。
なので、探索者は怪物を倒して、これを売買する。
そうして稼ぎを手に入れる。
村でもそれは同じだ。
倒した怪物から回収した魔力結晶。
それは売却して生活の足しにする。
それ以前に、村にある魔力を用いる道具を使うために用いる。
魔術機器と呼ばれる器具。
魔力結晶で動くこの道具は辺鄙なこの村にもある。
その燃料として魔力結晶を用いる。
なので倒した怪物から回収するのは当たり前だ。
残念ながらマサヒロの手元には残らない。
村で管理すると大人が持っていった。
こればかりは仕方ないと思った。
前世でも似たような事はあった。
仕事の手柄を上司や先輩がもっていく。
集めた町会費を幹部をやってる団塊世代のジジイ・ババアが飲み食いに使う。
それと同じなのだろうと。
「世界が変わっても、人間は同じか……」
本当に村のために魔力結晶を使うのか。
全くそうは思えなかった。
それに、どうせなら小遣いが欲しい。
あればあるだけ良い。
金はいくらあっても良いのだ。
前世でもそうだった。
この世界が例外とは思えない。
ならばとマサヒロも考える。
手元に残らないなら、自分の取り分は自分で確保する。
村を追い出された後の資金を少しでも確保するために。
「どうやってやるかな」
何か方法はないかと考える。
そう簡単に良い方法が思い付くわけもないが。
それでも、村を追い出されるまでに少しくらいは蓄えを作ろうと考えていく。
当面は言われた通りに壕の中の怪物をたおしながら。
そんな事をしてるうちに時間が経っていく。
一年、二年と。
やり方も体でおぼえ、手際よく片付ける事が出来るようになった。
ただ、大人が最低でも一人ついてくる。
というより、マサヒロが大人の手伝いにかりだされてる。
小間使いをさせるためにだ。
普通に考えれば、マサヒロが外回りの中心になるわけがない。
怪物処理のために大人が巡回し、その手伝いにマサヒロが使われてるのだ。
これでは小遣いもままならない。
成果は全て大人が回収するのだから。
「しょうがない……」
やむなくマサヒロは当初の予定をこなしていく。
体を鍛える事だ。
幸い、外回りはそれほど時間はかからない。
村と畑を囲う壕は長い。
だが、一周しても時間は余る。
残りの時間で運動をする事も出来る。
その時を使って、マサヒロは体を鍛えていった。
過去を思い出しながら。