47 より奥へと進むために事業拡大をしていく
レベルが上がり強くなった。
より強い怪物とも戦える。
だが、それで迷宮の奥に向かう、とはいかない。
下準備が必要になる。
迷宮の奥まで進むには時間がかかる。
行って戻ってくるだけでも大変だ。
当然、迷宮内にこもる事になる。
それなりの時間を。
その為には食料が必要で。
食料などを運ぶ人間が必要で。
否応なしに集団を作らねばならない。
そうなる事は分かってたので事前に手を打っていた。
人を少しずつでも増やしていたのはこの為でもある。
単なる戦力確保のためだけではない。
やがてより奥に向かうことになるのを見越してだ。
そうでなくても、戦力は欲しかったのも確かだ。
ほんの少しだが、人を集めておいた。
レベルも上げておいた。
なので、ある程度準備をすれば先に進める。
もっと強い怪物をたおしにいける。
もっと価値のある魔力結晶を手に入れることが出来る。
「でもなあ……」
そこで立ち止まって考える。
今の人数でどれだけの事が出来るのか?
育てているとはいえ、人数は少ない。
わずかな人数で奥にいけば、それだけ危険が増える。
マサヒロはともかく、他の者のレベルでは死ぬ可能性が高まる。
最悪の事態は避けたかった。
貴重な人材である。
性格や人間性も悪くない。
そしてレベルも高い。
そんな人間は貴重だ。
性格や人間性というのはバカにならない。
物を盗んだり嘘を吐かないというだけでもありがたい。
それだけ警戒する必要がなくなるからだ。
この世界の治安は悪い。
荷物を路上に置いてしまったら奪われる事がある。
留守にしてる家に盗人が入るのは当たり前。
弱いとみれば強盗殺人だって起こりうる。
さすがに日中に人の目のある所でやる者は少ないが。
それでも、騙し・盗みなど珍しくもない。
備品や資金を盗んでいく横領などもだ。
現代日本の感覚が残ろうマサヒロには信じがたいことだ。
そんな事をしない人間というだけでも十分にありがたい。
損害が少ないからだ。
また、警戒のために割かねばならない労力や時間を削ることが出来る。
金銭にならない費用が、心理への負担が消える。
このあたりは育った環境によるものではない。
生まれもった素質や素養に関わってくる。
貧しくて盗みや悪さに手を染める者もいるのは確かだとしてもだ。
どれほど豊かで裕福で余裕があっても、盗みに強奪をする人間はいる。
なので、生まれ育ちだけで判断できない。
外見で見極める事も難しい。
実際に一緒に行動していく中で見極めていかねばならない。
そうして選別した人材だ。
これを失うのは惜しい。
技術や知識をもつ人間はレベルを上げればどうにか確保出来る。
だけど、持ってうまれた性格や人間性は変えようがない。
そんな人間を簡単に失うわけにはいかない。
なので、更なる戦力補強を行う。
「人を増やすぞ」
そう宣言する。
ワンマン経営極まれりだ。
だが、今は他人の意見を聞いてる場合ではない。
そもそも民主的な方法が良いなどというのはまやかしである。
他人の意見も聞くべきだというのは時と場合による。
なにより、様々な意見を聞くとどうなるかを示す言葉がある。
『船頭多くして、船山をのぼる』
こうなるのがオチだ。
これもまた前世で色々見てきたマサヒロだから分かる。
だいたい、どこにも話を混ぜっ返すのが好きなだけな輩がいるもの。
そんな奴のいう事を一々聞いてられない。
まして、やって損のない事なのだ。
反対意見など聞くつもりはない。
問題があるとすれば、指導・引率の手間がかかる事。
迷宮の中に入って、何も分かってない新人にやり方を教える。
これは面倒で手間のかかる事だ。
それなりの知識や技術、経験が必要になる。
今のところ、これが出来る人間が少ない。
マサヒロとケン・ダイゴくらいだ。
仕方ないので三人で指導にあたっていく。
同時に、既に育ってる者達の中から、見込みのあるものを教育担当に育てていく。
今後更に人を増やすのだ。
教育係は出来るだけ多い方が良い。
さいわい、レベルをあげる事で知識や技術を得る事が出来る。
あとは経験をつんで、身につけたものの活かし方を体感していく。
その機会は幸いにしてこれから作ることになる。
人集めが始まる。
才能はこのさい二の次である。
性格や人間性が良いもの。
ここを中心に選んでいく。
自然と、陰キャといえる人間があつまっていった。
騒々しい者や、出しゃばる奴を排除していった結果だ。
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