44 出て来ました、人型の怪物
目指す場所は結構深い場所になる。
出入り口をくぐってから数時間。
これだけの時間をかけて、ようやく辿り着く事ができた。
そこには事前の情報通りに強力な怪物がいた。
しかも、今まで見てきた虫や獣のようなものではない。
二つの足で立つ人間型の怪物だった。
背丈も体格も人間とほぼ同じくらい。
170センチ前後くらいの大きさだ。
そんな怪物が、粗末な武器を持ちくたびれた防具や衣服を身につけている。
倒した探索者のものなのだろう。
殺された探索者から奪ってるという目撃情報がある。
こういった人型の怪物は、まとめて鬼と呼ばれている。
細かな種類分けをしたら多岐にわたるという。
だが、人のような姿形をしながら、人では決してない存在。
それがマサヒロ達に襲いかかってくる。
「やるぞ」
「おう!」
仲間からの返事。
それとほぼ同時に、マサヒロの背中の方で閃光が走る。
瞬間的に迷宮の中に強烈な光が発生し、それが鬼の目を貫く。
実際に傷を与えるわけではない。
体に損害や損傷があるわけではない。
しかし、鬼は視力を一瞬失う。
強烈な光に目が機能を失う。
もともと迷宮の暗がりの中にいた者達だ。
暗い場所での活動は慣れたものだ。
目も暗視能力を持ってる。
だからこそ、光に弱い。
一般的な人間よりも回復に時間がかかる。
この特性を利用して、初手に閃光を発生させる。
もちろん魔術だ。
魔力も消費する。
しかし、強烈とはいえほんの一瞬の事。
消耗はさほど大きくはない。
運が良ければ、魔力結晶一つで二回三回と使う事ができる。
その魔術で鬼の動きを封じてから一気にたたみかける。
マサヒロが戦闘に立って駆け出す。
怪物の中を突っ切りながら手にした武器を振っていく。
今回は新調した武器。
打撃部分を鉄にした金槌だ
威力もさる事ながら、耐久力も上がってる。
それが横殴りに怪物に叩き込まれる。
肉がひしゃげ、骨がたたき折られていく。
また、手にした金槌は左右非対称になってる。
片方は打撃用の金槌に。
もう片方はツルハシ・ピッケルのように尖ってる。
鋭く尖ってるわけではないので、貫通力は無い。
しかし、鉄の固さと重さ、振り回した際の遠心力などが小さな一点にかかる。
こちらの方が当たった鬼は、体の中に突起した金属を埋め込まれていく事になる。
金槌とツルハシの両者の機能をもった凶器が暴れる。
左右に振り回されるそれは、鬼を瞬時に叩きのめしていった。
即死こそ免れてるが、致命傷に等しい衝撃を受ける。
更にケンとダイゴ達が怪物にとどめを刺していく。
こちらの武器は変わりばえがない。
今までと同じ手槍だ。
しかし、使われてる材料の質と職人の手がふんだんに盛り込まれてる。
長い柄はしなりがあって丈夫な木材が使われている。
穂先の鉄も今までのものよりは良質なものが用いられてる。
なにより、それらを作る職人の腕が今までよりも高い。
重量のバランスも良いのか、簡単に攻撃を繰り出せる。
鬼を簡単に貫きいていける。
鬼は簡単に倒れていった。
並の人間と同じくらいの能力を持つといわれる怪物だ。
初心者がまともに当たるのは得策では無いと言われてる。
それをマサヒロ達は瞬殺した。
「これなら一気に大量に相手にしてもいけるな」
手応えを感じたマサヒロは、魔術を使って怪物を呼び集めていく。
周囲にいた大量の鬼が集合してくる。
それらをマサヒロ達は駆逐していった。
レベルが上がった効果は確かに出ていた。
鬼を簡単に蹴散らせる。
一度に20頭から30頭が襲いかかってきてもどうとでもなる。
油断は出来ないが、必要以上に警戒する事もない。
この日、マサヒロ達は鬼を180頭も倒した。
帰りを考えて程よいところで切り上げたからだ。
行きと帰りに時間がかかるようになり、どうしても活動時間が減ってしまう。
なので、倒せる怪物の数も減った。
だが、儲けは大きい。
1000円で売り払える魔力結晶が130個あった。
これより値段が高いものも安いものも含めればかなりの金額になる。
とはいえ、手に入れたものの処分の仕方は決まってる。
安いものは翌日の魔術用に持ち越し。
高いものは経験値に使っていく。
残りが売却して取り分となる。
とはいえ、さすがに全てを売却するのももったいない。
そうしなくても手元にはかなりのカネが残る。
そう考えて、売却は100個に留めた。
これを売り払って、手数料と税金を引いた残りが6万3000円。
全員で割っても1万500円。
日当としては十分だ。
経験値も全部で420点。
レベル8でも一か月あればレベルが一つ上がる。
魔術に使わなかった魔力結晶も合わせれば、更に成長速度は上がる。
「ようやく来たか」
波に乗ってきたと思った。
稼ぎが増えて経験値が増えて、更に強くなれる。
強くなればもっと強力な怪物をたおして強くなれる。
より強くなれば、もっと稼ぎを増やす事ができる。
今までもそうだったが、この流れが加速してきた。
この調子でいけば、日当2万円も難しくはない。
3万円も可能だ。
時間はかかるがどうにかなりそうだった。
そこまでは行きたかった。
それだけ稼げれば先のことも心配する必要は無い。
楽して稼ぐ事ができるようになる。
「あと少し、あと少しだ……」
その少しに数年はかかるだろう。
それもわかってる。
だが、マサヒロからすればさほど長いというわけではない。
危険を生き残ることが出来る程度に抑えて。
それでいて稼ぎを確保出来る。
そうなれるなら、時間が少しかかってもかまわなかった。
とりあえず、こちらの投稿はここで一旦休もうとおもう
しばらくはファンティアのほうに手をつけようと思うので
なんだかんだで放置しっぱなしだったし
詳しくは、この下のほうにあるリンク先を参照のこと