4 そういや、村から出て行った奴等のその後は?
まずは情報を集めなければ。
そう思って周りの大人に聞いていく。
既に迷宮に向かった者達もいるのだ。
それらから何か聞いてないかと。
残念ながらこれらの反応は良くない。
村から出た者達が里帰りしてくる事などないからだ。
村からすれば追い出した後など知った事ではない。
追い出された方も村に良い感情を持ってるわけではない。
わざわざ連絡をしてくる事もない。
「やべえな」
村の闇を垣間見た気がした。
それ以上に、情報が手に入らないのがつらい。
連絡がとれれば良いのだが、それも期待が出来ない。
そもそも、村から出ていった者達がまだ生きてるのか?
それが心配だった。
身一つで追い出されてるなら、生存すらあやうい。
そもそも町での生き方を知ってる者がいるのかどうか。
情報化社会とは無縁の世界だ。
村の外の情報など一切無い。
そんな状況で全く違う環境に放り込まれるのだ。
野垂れ死んでいてもおかしくない。
「こりゃ、かなりまずいな」
マサヒロはよりはっきりと理解した。
自分の置かれた状況を。
とにかく情報はまともに入らない。
たまに村にやってくる行商人などから話を聞ければ良いのだが。
それもどこまで頼れるかわからない。
「とりあえず情報は無いと思わないと無理か」
先を考えると不安しかない。
ただ、まだ何年かある。
その間に、外の情報を得る機会はあるかもしれない。
その機会を可能な限り増やす事にする。
「しかし、なんでこんな頑張ってんだ?」
ふと、そう思ってしまう。
楽をしよう、手を抜こう。
そのつもりでいたのだが。
現実はそうさせてくれない。
「もっと楽したいのに……」
ままならないものである。
それでも、先の事を考えて情報を手に入れることを考える。
今の状況では出来る事などほとんどないが。
少しでも可能性を手に入れるために、やれる事を考えていく。




