3 とはいえ、最低限の事は身につけないと
5歳にして人生を決める。
なかなか出来ない事だ。
もっとも、それが評価出来るかどうかは別である。
人生、がんばらない。
この決心・基本方針が果たして良いのかどうか。
人によって意見が分かれるところだろう。
ただ、ほどほどに生きてくにしても、やらねばならない事はある。
日銭はどうにかして稼がねばならない。
生きていくための努力はしなければならない。
ただ、それは最低限にしておきたい。
生活ギリギリになる程の低賃金はさすがに避けたい。
独り身でもそれなりに余裕のある生活が出来るようにしておきたい。
その為にも、仕事には誠実にあたるつもりだった。
とはいえ、この世界では迷宮に挑む探索者になるしかない。
他にも仕事はあるが、基本的に新規採用はほとんどない。
家業を受け継ぐのが当たり前の世界だ。
新人を入れる所は少ない。
たいてい、縁故のある者を採用する。
そうでない者に採用の可能性はない。
また、いわゆる企業・会社というものがほとんどない。
なので、就職という考えもほとんどない。
そんな世界では、家業以外の仕事を選ぶ事は難しい。
例外は探索者しかない。
確かに迷宮に送り出すのは、間引きも兼ねた事ではある。
だが、糧を得るなら他に道がないという事情もある。
これがせめてもの情けというのも確かな事だった。
そんな探索者は怪物との戦いが中心になる危険な仕事だ。
手を抜けない。
抜いたら死ぬ。
出来る事なら、今から対策をしておきたかった。
迷宮探索や怪物退治の心得などを知りたかった。
やっておくべき練習や稽古なども知りたかった。
それらを今からある程度こなしておきたかった。
適当に生きて行きたいのは確かだ。
しかし、手を抜いて死にたいわけではない。
死なないように活動出来る程度には頑張るつもりだった。
それ以上になるつもりはなかったが。
マサヒロは上を目指さないだけだ。
出世も栄達も成り上がりも興味がない。
仕事をしたくないのも確かだ。
しかし、食い扶持を稼がないといけないのもわかってる。
食わねば生きていけないのは当たり前、それくらいはわきまえてる。
だから、衣食住を確保出来るだけの稼ぎは欲しい。
それ以上の努力はしたくないだけだ。
逆に、最低限の努力。
これだけはしっかりと身につけようとした。
真剣だった。
命がかかってるのだ。
さすがに手抜きは出来ないし、するつもりも無かった。
「どうすっかな」
迷宮に追い出されるまでの猶予期間。
その間に何をすればいいのか、何が出来るのか。
それを考えていく。