26 装備を揃えてこれからに備える
稼ぎにわずかなりとも余裕が出てきた。
生活の心配はとりあえず無くなる。
それを見て、今度は装備の更新をはかっていく。
まだ必要ないとはいえ、マサヒロ達の装備は簡素なものだ。
武器は粗悪品といってよいもの。
防具にいたっては全く装備していない。
怪物が弱いからどうにかなってるだけで、危険なのは疑いようがない。
そこで、次は武装を改善していく事にする。
まずはケンとダイゴの武器。
さすがに即席の槍でいつまでもやってるわけにもいかない。
高品質とまでいかなくても、一般的な品質の武器が欲しいところだ。
それが手にはいれば防具を。
鎧兜とまでいかなくても、足をまもるものは欲しい。
床を這いずり回る虫型の怪物が相手だ。
真っ先に狙われるのは足になる。
まずはそこを守っておきたい。
それから胴体、頭と腕と。
まともな防具をそろえていきたかった。
今後を考えての事でもある。
この先も探索者としてやっていく事になる。
より深く迷宮に入ることにもなる。
稼ぎをある程度の水準で安定させるためには避けられない。
そして、奥に入ればより強力な怪物が出てくる。
対抗するには、どうしても防具が必要になる。
マサヒロとしては不本意な事ではある。
求めるのは、可能な限り楽して稼ぐ事。
努力などしない事。
無理をしない、無茶をしない。
楽して気軽に大儲けをする事だ。
なのに、今はそんな願いと裏腹の事をしてる。
しょうがない、とは思ってる。
なにせ、まだ駆け出しだ。
寝床と食い物に困らなくなっただけでも行幸という段階。
戦って勝てるのも、最弱と呼ばれるようなものだけ。
もう少し強く、人間並みの能力をもってるものが相手だと、確実に死ぬ。
そんなマサヒロ達は、まず強くなるための努力をしなければならない。
したくもない努力である。
嫌でも前世を思い出す。
救いなのは、これが必要な事だと分かってる事だろうか。
また、無理やりではあっても急かされてるわけではない。
前世では、やりたくもないし、やる必要性も分からない。
なのに勉強やら習い事をやらされていた。
これが苦痛でやる気の全てを失っていた。
今はそうではない。
やらなければならないという強制性はある。
しかし、無理やりというわけではない。
どこか余裕がある。
(自分のペースで出来るからな)
これが一番大きいのだと思う。