24 稼ぎの上昇、しかしまだ足りない
翌日は更に奥へと向かった。
もう少し強力な怪物を倒し、もう少し稼ぎを増やすために。
やり方は変わらない。
探知の魔術で怪物を見つけて、そちらへ向かう。
マサヒロが突撃して怪物を蹴散らす。
弾き飛ばされた怪物にケンとダイゴが飛びかかってとどめを刺す。
単純なこの方法で怪物達を確実に倒していく。
昨日よりも更に奥に入ったので、敵は更に強くなってる。
倒すのも難しくなってる。
だが、手に負えないわけではない。
強いといっても、単独でみれば人間よりも弱い。
ケンとダイゴでも勝てるとマサヒロは見ている。
怖いのは群れて行動してるから。
一斉に襲いかかってきたら、さすがにひとたまりも無い。
だから、そうならないように敵を分散させる。
一匹ずつにすれば簡単に倒せる。
その状況をマサヒロが作る。
このやり方は更に分け入った奥地でも有効だった。
まだ虫型の怪物だけだからだろう。
能力が多少上がっても、似たような相手には似たような手段が使える。
いずれ限界を迎えるだろうが、今はまだどうにかなっている。
ならばそれで充分だった。
とはいえ、簡単に倒せなくなってきている。
弾き飛ばそうにも踏ん張りが強くてそう遠くまで飛んでいかない。
飛ばしてもその場ですぐに体勢を立て直す。
ケンとダイゴがとどめを刺そうにも、一撃で死なない事も増えてきた。
それでも二人がかりで何度か突き刺してれば死ぬのだが。
手間が増えてるのは確かだ。
それを補うために、身体強化の魔術も使う事になる。
怪物の中に突進するマサヒロだけが使えばよい。
ケンとダイゴまで能力を強化する必要はない。
それでも、一回の戦闘で魔力結晶を一個使うのは懐に響く。
その分だけ実入りが減る。
それでも命には代えられない。
やむなく魔力を使っていった。
幸いなのは、毎回数匹の怪物と遭遇すること。
差し引きで考えれば、利益は確実に出る。
その成果はその日のうちに出てきた。
魔力結晶の買い取り価格が更に上がったのだ。
この日の買い取り価格は次の通り。
400円のものが10個。
300円のものが70個。
200円のものが20個。
幾分強力な敵だっただけに、手に入れた数はそう多くは無い。
だが、一つ一つの値段が更に上がっていた。
全部売却すれば、2万9000円。
昨日の稼ぎを大きく上回る。
もちろん、全部を売るわけにはいかない。
だが、手にするカネは充分なものになる。
200円分の魔力結晶を手元に。
これを翌日の魔術分として確保する。
それ以外は全部売却。
これで売り上げが2万5000円になる。
ここから手数料と税金が引かれるが。
1万5750円。
昨日より確実に多くなっている。
このうち、ケンとダイゴに5000円ずつ渡す。
残りをマサヒロは自分のものとした。
二人は大喜びで跳ね回る。
マサヒロとしても確かな手応えを感じていた。
まだ大儲けではないが、ギリギリの生活というわけでもない。
貯えていけば休みをとっても問題なくなった。
暫くはこの調子で頑張る事にする。
これ以上先に進むのはさすがに危険に思えるからだ。
まだ幾らか余裕をもって戦えてはいる。
だけど、さすがに楽に勝てるというわけではない。
今の実力では、これ以上強い敵と戦うのは危険に思えた。
先に進むためには、もう少し色々と準備をしなければならない。
装備品もまともなものに切り替えて。
レベルも上げていかねばならない。
それまでは、この日潜った場所までで頑張るしかない。
それでも、生活に余裕が出てきた。
この調子でもう少し頑張っていこうと思った。
(まずはまともな武器と鎧だな)
間に合わせの武器でこれ以上続けるのは厳しい。
毎日手直しをしなければ使えなくなるのだ。
それをどうにかしたかった。