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2 頑張らない気持ち

 前世において、マサヒロは頑張った。

 頑張らされた。

 周りに急かされた。

 追い立てられていた。



 子供の頃は塾に習い事と忙しかった。

 習字にそろばん、スポーツクラブ。

 さらには学習塾での勉学と。

 遊ぶ暇はおろか、寝る間も惜しむことになった。



 マサヒロが才能にあふれていればどうにかなっただろう。

 だが、基本的な能力はさほど高くはない。

 ごく普通の凡人である。

 そんなまさヒロに習い事は重荷でしかなかった。



 せめて、マサヒロがそれらを好きであれば良かったのだろう。

 だが、やれと言われてやってる事だ。

 本人の意向や意思など一切無い。

 楽しめるわけもない。

 やる気など出るわけもない。



「そしたら怒鳴られたからなあ」

 なんでやる気を出さない。

 どうしてマジメにやらない。

 そう言われて親に怒られた。

 それがますますやる気を無くさせる。



 そもそも、やりたくてやってるわけでもない。

 最初は少し興味があったかもしれないが。

 やってみて趣味や趣向に合わなければやる気はなくなる。

 やった事がないから興味がわいただけなのだ。

 やってみてつまらないと感じればそれで終わりである。



 何より、親がやらせているだけだ。

 マサヒロの気持ちなど一切関わってない。

 最初に親に「やってみる?」と聞かれて「うん!」と応えただけだ。

 それは「これに打ち込んでみる!」というものではない。

「どんなものなのか知りたい、やってみたい」というものだ。

 続けてやりたいわけでも、やれる所までやってみたいわけでもない。

 当然、極めてみたいわけでもない。



 そんな気持ちでいるのが悪い、などと親が怒鳴った事もある。

 やる気を出さない、取り組まないのが悪いと。

 とんでもない話だ。



 マサヒロの性格や性分をまったくみてない。

 なのに無理やりやらせようとしている。

 反発するのが当然。

 マサヒロもだんだんと嫌気がさして、全てに投げやりになった。



 こうなるともうどうにもならない。

 塾も習い事も手を抜く。

 まともに習おうとしない。

 それでも親は無理やり通わせ。

 マサヒロは行った先でふざけた態度をとる。

 それが通った先でのの迷惑になる。



 やがて苦情が親に届くようになり。

 それが更にマサヒロへの怒鳴り声を増やした。

 殴られる事も多々あった。



 成果など出るわけがない。

 むしろ嫌気が常につきまとい、あらゆる事が停滞した。

 習い事を辞める事も出来ない。

 嫌になって、途中から月謝だけ塾などに持っていき、通わなくなった。

 それもまた、後でバレて殴り合いになったが。



 成績も上がらず、運動もせず。

 学校では低空飛行。

 かろうじて底辺は避けたが、上に浮かび上がるはずもなく。

 高校はどうにか入ったが、大学に行けるだけの能も無く。

 専門学校に通って就職をした。



 当然、家を追い出されたが、それが幸いだった。

 狭くボロい安アパートで始めた一人暮らしは最高だった。

 ウダツの上がらない人生だったが、余計なしがらみが消えてほっとした。

 初めて平穏と平安をおぼえた。



 最初に就職した小さな会社でその後も働き続け。

 出世にも栄達にも縁は無かったが、心乱す事もなく平和に生きた。

 悲しき独身生活であるが、おかげで趣味に費やす時間や金は確保出来た。

 はじめて漫画やアニメ、ゲームなどを手に取ったのもこの頃だ。

 子供の頃はやらせてもらえなかったもの。

 それを大人になって始めて手にした。



 以来、趣味に没頭する幸せな時間を過ごした。

 生きてて良かったと初めて思った。



 そんな前世を思い出して思う。

 絶対に頑張らないと。

 楽して生きると。

 上を目指して生きるつもりはないと。



「出世も成り上がりも、やりたい奴がやればいい」

 マサヒロにそのつもりはない。

 出来る事だけやって、あとは気楽に生きていく。

 そのつもりで今回の人生はやっていく事にした。

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