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19 魔術の使い方

「さて……」

 手に入れた魔力結晶。

 魔術を使うのに必要な燃料であり、経験値になる貴重品。

 危険な怪物が人類に与えてくれるありがたい贈り物。

 売れば金になる資金源でもある。

 だが、マサヒロはあえて魔術を使っていく。



 やり方は探索者協会の資料室で見ることが出来た。

 かなり大雑把ではあったが、どうすればいいのかは分かる。

 あとは実際にやってみるだけ。

 魔力結晶の一つを手に握り、やりたいことを思い浮かべる。



 基本的に魔術とは、思ったことや願ったことをかなえる手段といえる。

 もちろん、出来ないこともある。

 やれないことはないが、消費が激しいこともある。

 だが、人間の本来持ってる能力を超えた何かが出来るのは確かだ。



 その魔術のやり方は本当に簡単だ。

『魔力結晶を握って、やりたいことを思い浮かべる』

 たったこれだけだ。

 あとは、願いを叶えることが出来るだけの魔力があるかどうかが重要になる。



 その中でも消費が少なく、それでいて実用的なものを使っていく。

 敵の居場所を突き止める『探知』だ。



(この近くの敵の位置を……)

 どこにどれだけ潜んでいるのか。

 それを探すために魔力を使っていく。



 居場所も分からずにさまよってはいられない。

 時間も労力も無駄に使ってしまう。

 これから三人分の食い扶持を稼がねばならないのだ。

 少しでも省ける手間は省かねばならない。

 でないと野宿と空腹に陥る。



 そうならないように惜しみなく魔術を使う。

 魔力結晶を消費してしまうのはもったいないとは思う。

 だが、それでより大きな儲けを逃したら、それこそもったいない。

 投資すべき所にはどんどん投資していったほうがよい。

 これも前世の経験からだ。

 もっとも、

(それが出来ないから……)

 前世はそう良い人生にはならなかったのだが。



 記憶と共に浮かんでくる切ない思いをあえて無視する。

 今は目の前の現実に対処しなければならない。

 魔力を使い、魔術を発動させていく。

 あとは探知範囲の中に怪物がいれば良いのだが。

 こればかりは賭けだ。



 魔力はマサヒロの願いにそって働いていく。

 周囲に拡散して、周辺の状態を頭に直接送りこんでいく。

 目や耳とは別の感覚器官を手に入れたように感じた。



 その感覚器官が見聞きしてきたことを頭の中に放り込んでくる。

 迷宮の構造と、今現在この場にいる者達の姿がうつる。

 映像として頭の中に地図と分布が描かれてる。

 それらをしばし眺めていると、映像が消えた。

 魔力が切れたようだ。

 目を開けて手を見ると、握っていた魔力結晶が消えている。



 そこそこの範囲をそこそこの時間だけ表示してくれた。

 おそらく最弱の開物の持つ最低の魔力結晶で出来ることが分かった。

 これはこれで収穫だ。

 魔術がどんなものなのかが分かったのだから。



「見つけた。

 行くぞ」

 ケンとダイゴを促していく。

 三人は次の怪物の居場所へと向かった。



 それをくり返し、マサヒロ達は迷宮の中を巡っていく。

 怪物を見つけてから移動するので無駄がない。

 歩き回るよりははるかに効率的に怪物をたおしていく。

 この日だけで、マサヒロ達は150匹の怪物をたおして。

 新人にしては脅威的な成果だ。



「帰るか」

 最後の戦闘を切り上げたところで、マサヒロは今日の作業を終わりにした。

 動き続けて戦い続けたのだ。

 さすがに体力があぶなくなってる。

 ケンとダイゴの二人もそろそろ限界だった。



 帰りも探知の魔術を使って道を探っていく。

 今度は怪物に遭遇しない場所を選んで。

 途中で怪物に出会って戦闘になったらたまらない。

 これ以上の危険をおかす必要はもうない。

 続きは明日にすれば良い。



 そう思って迷宮から出ていく。

 徘徊中の怪物と出会うこともなく、無事に外に出ることが出来た。

 そとはもう暗くなりつつあった。

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