17 迷宮初日
翌日。
朝食をとって、資料室で少しだけ調べてから迷宮に向かう。
路銀も少しずつ減ってる。
少しでも怪物をたおして稼がないといけない。
「でも、やるだけやってみよう」
二人にそう言って迷宮へと入る。
幸い、怪物とやりあうのはこれが始めてではない。
村にいる時にも怪物と直接相対したことはある。
大人が付き添ってない時に、壕の中に入ってみたのだ。
そうして怪物と向かい合ってみたことはある。
それで分かった事もある、掴んだコツもある。
本当に素人というわけではない。
ささやかながら経験はある。
ただ、それが実戦とか本番だとかは思わない。
あくまで比較的安全なところでやっただけだ。
迷宮で同じように出来るとは思わない。
果たして上手く出来るのか?
自身はなかった。
不安を抱きつつ迷宮の中に入る。
怪物はそこらをうろついてるので、どこにいるのかは分からない。
ただ、屯しがちな場所というのはある。
まずはそこを目指していく。
あてもなく探し回るよりは良い。
出来れば会いたくないが、見つけないわけにもいかない。
倒して魔力結晶を手に入れなければならないのだ。
でなければ金にならない。
銭を手に入れなければ生きていけない。
食っていくためにも怪物に出会わなければならない。
死ぬことも覚悟をして。
(嫌な商売だ……)
あらためてそう思った。
そんなマサヒロの願いがかなったのか。
怪物が集まりがちな場所には確かに怪物がいた。
虫型のものが4匹。
倒そうと思えば倒せるくらいのものだ。
それを見て覚悟を決める。
「行くぞ」
後ろについてきてる二人に声をかける。
硬い表情ではあったが、二人も頷いた。
三人が駆け出す。
手に即席の槍を持って。
迷宮における最初の戦闘が始まる。