13 住人登録と探索者登録
役所でもある領主の館には迷わずたどり着けた。
町の作りがそれほど入り組んで無いので助かった。
早速受付に向かい、住人登録をしていく。
村長の紹介状があるので、問題なく終わった。
居住目的を伝え、住民証を発行してもらう。
その住民証には探索者という居住理由が記されている。
旅の途中などならともかく、長期間の滞在となると理由が必要になる。
町での仕事の許可も含め、目的もなく居住する事は出来ない。
浮浪者を置いておくほど統治者は優しくない。
そして、探索者として登録したので、もう一つ片付けておく事もある。
探索者協会への登録だ。
それから探索者協会へ。
そこで探索者として登録しなければならない。
探索者として活動するなら、探索者専門の組織に登録しておいた方が良い。
そうでないと仕事にならないからだ。
もっとも、必ずしなければならないものでもない。
登録しなくても怪物退治をしても構わない。
迷宮に入ることだって出来る。
ただ、同業者による協力団体である協会に所属しない理由もない。
組織ならではの問題や面倒はつきまとうにしてもだ。
だいたい、単独でやっていくだけの力もない。
智慧もないし、コネもない。
なにより、探索者としての生き方・やり方がわからない。
今はとにかく参加しておいた方が無難だ。
長いものには巻かれておけ。
その方が才能も能力もない人間には都合が良い。
平凡を自負するマサヒロに、選択の余地はなかった。
村から一緒にやってきた二人をつれて探索者協会へと向かう。
混雑する時間じゃなければ良いと思いながら。
迷宮の近くにある探索者協会の建物は、以外と空いていた。
人がいない時間だったのかもしれない。
おかげで空いてる受付窓口にすぐに取り次ぐ事が出来た。
「探索者登録をお願いします」
受付に座っていたオッサンは、その声に面倒くさそうな顔をして頷いた。
愛想など欠片もない。
(現実はこんなもんか)
綺麗なお姉さんがずらっと並ぶ受付。
前世の小説や漫画だとそうなっていたのだが。
そんなものは空想創作物語の中だけだったようだ。
冷静に考えれば、荒くれぞろいの探索者が相手だ。
女を配置したらどうなるかわからない。
無愛想なオッサンを配置する方がまだマシなのだろう。
こんなリアリティなぞ欲しくなかった。
心底そう思いながら、探索者登録をしていく。
名前と年齢、出身村を記録していく。
それで全てが終了した。
思ったより簡単に終わってありがたかった。
「これで探索者か」
自分がここまで来たんだなと実感する。
そして、ここからが本番なのだと。
「楽して頑張ろう」
気持ちを新たにする。
とりあえずここで1章の最後としておく
次から迷宮探索が本格化……すればいいなあ
というわけで
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