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【終わらせた】迷宮スローライフでお気楽異世界転生 ~出世? 栄達? 成り上がり? そんなの目指してどーすんの?~  作者: よぎそーと
1章

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1 出世はしない

「異世界転生だな」

 葦原あしはらマサヒロは5歳にして察した。

 浮かび上がった記憶と目の前の現実。

 照らし合わせて出てきた答えはこれだった。



 前世である地球の日本。

 そこでの生活。

 西暦2000年前後の生活の記憶と体験。

 それは確かにある。



 思い込みや幻想であるかもとは思った。

 しかし、その割には詳細に思い出せる。

 また、空想や妄想で数十年以上の記憶を生み出せるものだろうか。

 それも無意識に。

 だとしたら、とんでもない妄想能力である。



 おそらくそうではないだろうとマサヒロは思った。

 信じがたいことだが、記憶は事実だ。

 でなければ説明が付かない。



 その記憶をもとに今おかれた状況を考える。

 電気・ガス・水道などの科学的なものが存在しない世界。

 日本に比べれば粗末な作りの家屋。

 拡がる畑を耕すのは人力のみ。

 耕運機などは一切ない。



 そこから考えるに、日本における江戸時代以前の世界だと思えた。

 少なくとも産業革命の気配はない。

 あるいは田舎の村まで及んでないだけかもしれないが。

 それにしたってマサヒロ基準での文明の気配がない。



 それに、大人が語る様々なこと。

 耳に時々入ってくる村の外の様子。

 その中に含まれるこの世界独特の言葉。

 怪物に迷宮。

「剣と魔法のファンタジーね」

 なんとなくそういう世界だと察した。



 更に迷宮に挑む探索者と。

 迷宮の前に作られた探索都市と。

 そこから、迷宮に挑んで怪物と戦うことが職業として成り立ってることを知る。

 時折、村から何人かの子供達がそこに送られてることも。

「口減らしだろうな」

 ていの良い間引きである。



 そういったことからマサヒロも自分のおかれた立場を理解した。

 農村に生まれた5男坊。

 分ける田畑はない。

 となれば、ある程度の年齢になれば迷宮に放り込まれる。

 口減らしをしないと村が生きていけないからだ



「なるしかないか」

 探索者に。

 これは避けられない。

 しかし、前世の記憶から思うこともある。

「絶対に努力しない」

 出来る範囲でそこそこに頑張る。

 数十年の前世で得たマサヒロの成功哲学である。

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