8話 清楚系巨乳幼馴染美少女の手作り弁当
学校への登校時、前園さんが出待ちしている様な事はなく僕は平穏に学校に登校する事が出来た
昨日は帰りに友達とファミレスに寄るというちょっとしたリア充ライフを堪能出来た
前園さんと何処かに出かけると必ずと言ってもいい程誰かしらからの視線を集める、
当然ファミレスにいった時も視線は感じていた
大体の視線は前園さん本人にいく
前園さんの顔に、足に、そして胸に
男達の視線は容赦なく彼女の体に注がれる
関係のない僕が不快に感じるのだ
彼女自身も不快に感じているだろう
女は男の視線に敏感だと良く言うが、流石にアソコまで露骨だと気づかない方がおかしい、
そして残りの視線は連れ添ってる男に行く
昨日は笹木君がいたから視線は二人に分散されてたからまだマシだったから良いが普段は僕に集中する
「何であんな奴が?」
「良い思いしてんだろうな」
「羨ましいな、」
「あんなのより俺の方が良くね?」
「釣り合ってないでしょw」
そんな言葉が連中の顔に浮き出ている
陰キャには荷が重い
でも同時に誇らしい気持ちにもなる
僕はアキラ君の、前園さんの隣に立てる唯一の男なのだと
自慢気になれるのだ
我ながら卑屈で女々しい限りである
窓から見える景色に前園さん達の姿が見える
今日も前園さんは友達の舞野さん他、親衛隊を引き連れて登校してきた
いつもよりやや遅い到着のようだ。
しかし、親衛隊の方々も毎日良く飽きずにやってるね
なんとか前園さん舞野さんのトップ美少女コンビにあやかろうと必死だ
カーストトップの座に居座るのがそんなに大事なのだろうかと疑問に思う。
ガラっと教室のドアが開け放たれ、前園さんが教室に入ってくる、いつものように皆に聞こえる様に挨拶
決して大きな声でしているわけではないのに不思議と耳に残る声量なのは凄いな等と思っていたら彼女はこちらにたたたーと小走りで歩みよってきた。
「あ?え、え?アキ……」
「只野君、コレ、お弁当作って来たんです、良かったら食べて下さい!じゃ」
そう言ってアキラ君いや、前園さんは僕に小さな箱が布で包まれた手提げ袋を一方的に渡して舞野さん達の所に戻って行った。
「はっ?」
余りにも予想外の行動に思考が追いつかない
ぼーっとしてるとにわかに教室の中が騒がしくなり始める
「おい!?アイツ、今舞野さんから弁当貰ってたよな?」
「はぁ?マジかよ、ありえねーって」
「何であんな奴が、俺の方がマシだろ?」
「いやいや、お前じゃ無理だって」
男子共が口々に勝手な事を言い合ってる
でも勝手に言ってるだけならこちらに弊害はない
問題はそんな連中ではなく
「…………、」
睨んで来ている連中だ
なかには前園さんに告白してフラレた奴もいるだろう
僕への殺意が凄い
朝から胃が重い
幼馴染の清楚系巨乳美少女から弁当を貰うというシチュエーションは甘酢っぱいシチュエーションとかではでは無く、胃が痛くなる精神に過剰な負荷を及ぼすモノだった。
「やりましたな!只野選手」
「笹木君か…」
「どうよ!幼馴染美少女から弁当貰った感想は?」
「色々入り混じって素直に喜べない」
「まぁだよなぁ〜」
笹木君は首ではなく目を動かして周囲を見回し同意してくれた
恨みがまじい男共の視線
前園明から弁当を貰うというのはつまりそう言うことなのだ
「しかしすげーよな」
「何が?」
「いや、前園さんだよ」
「まぁ、凄いよね」
「普通ここまでチートじみたモテ方しないだろ、康太も苦労するねー」
「ははは…」
たしかに笹木君の言いたい事もわかる
モテるにしてもモテ過ぎだ
中身が男だからどうやったら男からチヤホヤされるか
アキラ君は心得ている
あの黒髪ロング清楚系キャラも狙ってやってるはずなのだ
そう思うと何が楽しくてあんな事してるのか知らないがよくやるものだと関心する
放課後、いつもは学食で済ますか、購買が僕の昼飯となるしかし今日は弁当がある
アキラ君、前園さんの手作り弁当
彼女は一人暮らしで家事は全て自分でやっている
前世ではものぐさだったアキラ君は料理を頑張ろうという意識は最後まで持っていなかった
「別に誰に食わす訳でもない、自炊するだけならテキトーで良いだろ?まぁどうしても俺の手作りが食いたいならアキラスペシャルをお見舞いしてやるぞ?」
そんな事を言っていた彼がアソコまで美味しい料理を作れるのは素直に驚きだった
女になり女子力を身に着けた彼女は僕が思ってるよりもしっかり女のコしているようだ
綺麗でかわいい女友達が出来た様な気がして浮かれる反面アキラ君と言う男友達がどんどん遠くに行ってしまうような気がして少しセンチメンタルな気持ちになる
それはそうと前園さんから貰った弁当、食べなければ勿体ない
しかし周囲の目が付きやすい場所で食べるのは憚られる、こういった場合の鉄則として校舎裏の雑草が生い茂っている場所が穴場だったりする。
僕はそこでひっそりと前園さんからもらった弁当に箸をつける
意外にもしっかり具材が綺麗に並べられ、栄養バランスが考えられた食材選びがキチンとされている。
「ホント…女子力上がり過ぎだろ…」
漫画か何かで人間の精神は肉体に依存するみたいなのを見たきがする
老人が若い世代の子供を見たら若返った気がするみたいなアレ
人間は思い込む生き物だ
思い込みによる自己暗示で、キズなんて無いのにあると思い込まされたら本当に痛みを感じるみたいなアレ
女の体を手にしたアキラ君はその精神までも男から女に変わっていってるのかも知れない
まあそれを良いことか、悪い事かを決めるのは僕ではなく当事者のアキラ君本人なのだ
僕に出来るのはアキラ君、前園さんの弁当を食べるだけなのだ
「うわ…美味しい…」
栄養バランスが考慮された弁当
見た目にも華があってさらにその見た目通りに美味しい
美味しいのは良い事だけど
何処かでアキラ君らしさがない
ダークマターを期待していたのか…
「僕…もしかしたら自虐癖でもあるのかな…ぐぅ!?」
一つの唐揚げから強烈な苦味と渋みと強い甘みを感じて咽せそうになる、相反する味付けが口の中で暴れて舌を虐める
喉に流し込む事に強い忌避感を与えて来る
これは……コレは!…アキラスペシャルだ!!
「ふふふ、まったく…」
クソ不味い唐揚げをあえて味わい喉に流し込む、
口の中は大変な事になってるが、
どうしてか心は穏やかだ、
「ホント…Mかもしれないな……、うん?」
独り言を呟くと同時に人の声が聞こえる、
校舎裏の茂み、こんな所に人は来ないため気のせいかと考えるが次の声にそんな悠長な気持ちは消し飛ぶ
「ついて来ないで下さい!」
アキラ君?
この声の主は前園明、この学校のマドンナ、アイドルと呼ばれる清楚系巨乳美少女の声だ
丁度校舎裏の影となる部分であるここなら僕のいるこ場所は前園さんのいる場所とは死角になっていて見えない、体を乗り出し様子をみると人影は二人、予想通り、一人は前園さん
もう一人は
「河野?」
いつしか前園さんに告白してフラレたとかのチャラ男がそこにいた