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僕の友達はTS時間逆行拗らせ隠れ陰キャ幼馴染系巨乳美少女JKの前園さん  作者: ムラタカ


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最終回  続いていく人生  

「康太しっかりして!!康太ぁ!!」


「落ち着いて!患者を揺すっては駄目です!」


「くそ!止血が追いつかない!!」


「康太!康太!目を開けて!康太ぁ!」








声が遠い

まるで他人事みたいだ


腹を男に刺された

アキラ君は無事のようだ。

良かった…それだけが気がかりだった。

衣服は真っ赤になっていて相当の血が流れ出ている

けど痛みは不思議とない

許容量を超える痛みに脳が防衛反応を示してくれてるのか痛覚を訴える機能が麻痺しているのか知らないが

痛くないのは助かった。

でも少しでも体を捻れば遅れて暴力的な痛みが襲って来ると本能が訴えてくれてるから体を動かす気にはなれない。


さっきからアキラ君が綺麗な顔にいっぱいの涙を目元にためて泣いてくれてる。

多分僕の為に泣いてくれてるんだろう。

感無量だ。

愛されてるって実感を貰えるから、なら腹を刺されたかいもあったってもんだ。


でも彼女に悲しい思いをさせてるのだけは申し訳なくなる。


声がだんだんと聞こえなくなる。

目も開けてられない、辛い、とても抗えない眠気が僕を襲う…いや、眠気に支配される。



「こう、…た…し…………!、」


「……!……、」



もう聞こえないし見えない。


自分が起きてるのか寝てるのかもわからない


もしかしたら死んだのかも知れない。

死んだのかも……しれない?


死にたくない。


でも死んでしまったのなら仕方ないのかもしれない。


人間生きてればいつかは死ぬ


それが少しはやくなっただけ……


ただアキラ君ともっといろんな事をしたかった


いろんな所に行きたかった


彼女の笑顔をもっと見ていたかった


彼女の力になりたかった


彼女のささえになりたかった


彼女の悲しむ原因になりたくなかった。






力が抜けていく

考える力がもうない。


眠い…



もう……いい……か……















白い……何処までも白い世界が広がっている

右をみても左を見ても上も下も見渡す限りいっぱいの白

が広がっている


ふと手を伸ばそうとして自分に手が無いのに気がついた。

手どころが足も腹も頭も無い


体が……無い。


それに恐怖心は無い

不思議と受け容れられる

それが当たり前と【知ってる】から



世界はどこまでも白い

白で世界は満たされている…


感覚なんてない。

痛みも寒さも暑さも痒みも快楽もなにもない。

ないのに妙な安心感だけはある



意識を集中すれば白よりもより白い白がある

そこに意識を集中すればするほど白が更に広がる


安心感はさらに増す。


心が気持ちが思いが充足感でいっぱいになる


白に包まれる

心も気持ちも思いも包まれて白の一部になる

これまでなかった筈の感覚の一つが生まれる

それは快楽。

白に包まれて感じる快楽。

身を委ねたい気持ちになる


心を白に溶け込ませて白の一部になりたいという欲求に支配されそうになる



しかし



アキ……ラ……君



形のないソレはもう一度会いたいと願った

たとえ抗い難い誘惑に晒されても叶うならもう一度

彼女に会いたいと。


だからこんな何もない白いだけの世界にいても仕方ない

だってここには彼女がいないから…。


だからここから帰りたい


彼女のいる世界に


帰りたい……






「どうして帰りたいの?」



彼女に会いたいから



「どうして会いたいの?」



彼女が好きだから



「好きって何?」



好きは……そうだな…

心が満たされるんだ、その人の事が頭の中でいっぱいになってずっと気になるんだ。

その人の事を考えてるだけで幸せな気持ちになれるんだ。

それが多分好きって事かな?



「そうなんだ。君はその子にもう一度会いたいの?」



会いたい

もう一度…いや何度だって彼女と話したいし触れ合いたい



「そっか…」



君は誰なの?



「わたし?」



うん。



「そうだね…わたしの名前はデゥーントレス…君達が定義する所の神様ってやつかな?」



神様…神様ってホントにいたんだ…



「そうだよ…それに君達を過去に送ったのも私だからね」



君が…?なんで…?



「ただの遊びだよ…神様は知りたがりなんだ」



知りたがり?遊びで俺達を過去に…?



「人は面白いね…状況や環境が異なるだけで無限の可能性を見せてくれる…私は君達を観測するのが楽しくて仕方ないんだ…」


………。



「でも君の人生はあそこでおしまい。とても残念だよ」



待ってくれ…僕はまたあそこに戻りたいんだ!これからなんだ!だから…



「無理だよ…君の体は既に死にかけてる」



神様なんだろ!?だったらお願いだよ!僕は…僕はこんなところで終わるなんて嫌なんだ!

まだ何も……何も出来てない!これからなんだ!



「本来の君は自分の生に執着してなかっただろ?好きって気持ちが君を変えたの?」



好き……そうだよ…僕はアキラ君が好きなんだ

彼女と一緒にいたい

これからもずっと一緒にいたいんだ!

僕と彼女がおじいさんとおばあちゃんになるまで

ずっと……だから…

だから死んでる暇なんてないんだ!



「ここにいれば君の嫌いな他人の目に晒される事もない、他人の恐怖に怯える事もない

君は何にも悩まされる事なく存在し続けられるんだよ?」



彼女がいないなら意味がない。



「この世界は君に無限の安息を与え続けてくれるんだよ?」



昔の僕なら喉から手が出る程欲しがっただろうね

もしかするとこの先の人生で欲しがるかも知れない



「なら」



でも僕は彼女と…アキラ君と一緒にいたい

この気持ちは本当だから



「やっぱり、人は面白いね」







光が視界いっぱいに満たされる

眩しくて存在しない筈の目が焼かれるほどの閃光が

広がる



僕の意識もまた…明滅する。










カラダの感覚がある

手の感覚指の感覚

5本ある指にそれぞれ力を通すと自分の意思通りに動かせたが何かに触れた。

それはとても柔らかく暖かい

しなやかでさらっとした手触り 

あの白いだけの感覚の無い世界では味わえない感覚


「康太……?康太康太!康太ぁ!!」


目を開けるとアキラ君がいた。

彼女は僕の手を握ってくれていた

とても柔らかくて暖かい。


「お……おはよう…アキラ君」


「馬鹿やろう!寝すぎだバカ!」



彼女は目元に涙をためそれを自身の指先で拭う


目の下が赤く腫れている

随分泣いていたのだろう


申し訳ない気持ちになる



「私…すごい心配したんだからな!もうあんなのは無しだ!分かったな!」


「僕も二度目はごめんだね…」


「このヤロ!なにふざけてる!バカ康太!」


「あははは!?いぃった…」


「ほら言わんこっちゃない!」


お腹に痛みが走る

じくずくとした痛みは僕に生を実感させてくれた

アキラ君の話によれば僕は刺されたあと直ぐ様病院に搬送されなんとか一命をとりとめたらしい。

でも油断は出来ない状態だったらしくそんな僕にアキラ君はずっと付き添ってくれていたらしい。



夢の中で出合った神様?の事は覚えてるけどあまりにも非現実的過ぎて実感がない

僕は彼女に助けられたのかどうなのかそれはわからない

でもこれだけは言える



「アキラ君…」


「あ?なんだよ?」


「コレからも宜しく」


「はっ!当たり前だ!末永く宜しくされてやる」



僕の人生はコレからも続いていく

その人生に彼女が共にいてくれる奇跡に生きたいと願った価値があるんだ。




コレにて完結とします。

ダラダラ続けて来たこの話に長い事付き合ってくださり 

有り難うございます


気が向いたら瑠璃か妹をヒロインにした別視点の話とか書こうかなーて思ってます。


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― 新着の感想 ―
面白かったです! 一気読みしちゃって二日で見ちゃいました!!
[一言] 完結お疲れさまでした。 所詮神様の手の内、ということなら、その中で少しでも幸せになっていきたいですね。 願った道がそれだというなら、きっちり貫き通してくれることを願います。当人たちももちろ…
[良い点] 完結お疲れ様でした。 康太と明くんの絡みが良かったです。
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