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僕の友達はTS時間逆行拗らせ隠れ陰キャ幼馴染系巨乳美少女JKの前園さん  作者: ムラタカ


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76話  純一と瑠衣

「別に普通だよ気にするなって!お前が心配する様な事は何もね〜よ?」



この俺、笹木純一は話しかけてきた男友達の康太にそんな言葉を返していた。


こいつの名前は只野康太。

一見地味で目立たない陰キャというキャラ性を自らの身で体現したような奴だ。

しかし話すと割りかし面白い奴だし、思ってる程後ろ向きでもないし思った事は相手に限らずバカ正直に言うというやや狂犬的な部分もある、まぁ…何が言いたいかと言えば面白い奴である。

今回はお節介にも俺と瑠衣ちゃんとの仲の進展が気になったらしい。



「つかお前自分が幸せいっぱいだからってあんまうかれるなよ?ウゼーから」


「ウゼっ?ひっひどい」


「別に酷かないだろ事実だ事実。」


「まぁ…そうか……ても笹木君には感謝してるんだ」


「あん何を?」


「僕がとち狂ってる時舞野さんと一緒にアキラ君の相談にのってくれてたって聞いた。」


「まぁ…友達のためってより彼女に頼まれただけだしそこまで気にされたらかえって申し訳なくなるからホントに気にすんな。」


「いやでも…」


「俺達は俺達の感覚でやってくさ…な?」


「わ…わかったよ」




納得してくれたのかどうかは知らないが康太はトボトボと戻っていった。

言っちゃ何だが有難迷惑って言葉が喉元まで出かかっていたのが実際の所だ。

それに康太も前園さんも勘違いしている。

以前の康太なら感づいていたろうが今の康太は気づいていない。

瑠衣ちゃんは何もギクシャクしていたあの時の康太と前園さんの仲を修復したくて相談に乗っていた訳では無い。

恋愛する二人と言う極上のサンプルが自分の近くからいなくなるからそれを阻止しただけだ。

彼女は恋愛を知らない。

他人を…異性を好きになった事がない。

だから心から愛し合う二人という極上のサンプルを失いたくないのだ。


彼女は誰より愛に飢えている

他人から本当の愛情を向けられる事に飢えているんだ。

かわいいと言われるのが当たり前の彼女にとってかわいいと言われる事は特別ではない。

これまでいく百幾千の男達が彼女にかわいいと褒めそやし彼女の気を引こうと悪戦苦闘しフラれていった。

かわいいという言葉は彼女にとってただのブラフだ。

かわいい自分と男達が付き合いたいが為に常用しているただの方便に過ぎない。


実際褒めてはいるのだろう。

だか下心が透けて見える。

結果方便でしか無く、彼女にとって意味のない言葉になりさがっている。



ハッキリ言えば俺と彼女の関係も仮初の物だ。

本当じゃない。

本当になれれば良かったのだが俺と彼女に恋愛感情は互いに生まれなかった。

すくなくとも俺はそう思ってる。

元カノに浮気されフラレた過去に苦しめられていた俺を立ち直らせてくれたことは感謝している。

彼女の存在がなければ俺は今も元カノにされた事を引きずっていただろうからな……。

しかし彼女が俺を助けたのも根本的理由はさっき語った通り恋愛感情が知りたいからだろう。


彼女は俺の事が好きではないし俺も彼女に恋愛感情は無いと思う。

結局彼女にとっては俺も恋愛感情やら愛という感情を学ぶ為の手段でしか無かったのだ。

だからいつ別れる事になっても驚きはしないしついにこの日がやってきたかー!と思うだけだ。


そりゃ付き合えるなら付き合いたいさ、俺だって男だからな、学校1の美少女と付き合えるなんて誉れだろうがこういう風に思ってる時点で彼女が俺を真に選ぶ事は無いだろう。




「純く〜ん、今日私の家に寄ってきなよ〜?」


「え?いいの?」


「いーよ〜、恋人らしくお家デートだぁ〜!」



などと言っているが基本的にどちらかの家にお邪魔するのが定番となっている。

付き合って分かった事だが舞野瑠衣は外に出かけたりするのが実の所余り好きではない。

買い物なんかは大好きなので勘違いされがちだが面倒と感じた事はなるべくやりたがらないようだ。


友達とカラオケや食べ歩きに誘われた時などはわ〜いといって楽しんでいるが内心は面倒くさいと思っているのが最近ではわかるようになってきていた。



「あっ、これ読みたいと思ってたやつだ!」



瑠衣ちゃんの部屋にやってきて最初にしたのが読みたい漫画探しだ。

これも意外かもしれないが彼女の部屋には結構な数の漫画が置かれている。

隠れヒッキーである彼女は部屋で漫画を読んで過ごすのがマイトレンドらしい。

案外康太みたいなオタクに偏見が無いのも彼女自身がそういったジャンルを好んでいるからというだけの話でそこも彼女が学校で高い人気を持ってる理由なんだろう。

康太風に言うならオタクに優しいギャルというやつだな。



「おっ!流石純君!お目が高いねぇ」


「これ康太に進められて読んでみたらクソ面白くてさ、むしろ瑠衣ちゃんよくこんなニッチな漫画購読してるよね?」


「私雑誌はおってないから基本コミック派なんだけどこれはビビぃーっときたんよね!」


「ネタバレとか

止めてくれよ?楽しみにしてるからな!?」


「ええ〜どうしよっかなー?」


「ええ?悩んじゃうのそこ?」


「あはは!」



そんなやり取りの後俺達は互いに漫画を読み出す。

一緒にゲームやったりする事もあるがイチャイチャしたりは基本しない。

彼女の部屋まできといて何してんだと言われるかもだがどうにも浮気されフラれた後はリアル女子にそういった感情が芽生えないのだ。

性欲が無くなった訳では無いのだが実施したいとは思えなくなっている。

彼女とはそんな事をしなくとも満たされている…というのとは少し違うが少なくとも俺は今のままで十分に満足していた。

だからもし彼女が今の現状に不満を感じ別れ話を持ち出してきたとしてもそれは仕方ない事だと割り切れていた。






今日は純君が私の部屋に来ている、ベッドの柱にもたれかかって漫画を読み耽っている。

普通男なら女子の部屋に来よう物ならもっと相応しいリアクションがあるはずだ。

それがかわいい舞野瑠衣の部屋ならなおさらだ。

しかし彼はまったく臆さず動揺する事も無くまるで自分の部屋かの様に寛いでいる。

普通こんな態度をとられたら女子は怒るのだろうが私には好感の持てる行動だ。

私にとって男とは媚を売ってきてヘラヘラ愛想笑いを浮かべるだけの動物だった。

視線は常に胸か下半身に行っていて何を考えているのか直ぐに分かった。

かわいいかわいいと言われる事にも慣れて辟易している所にふしだらな視線を向けられればそう思ってしまうのも仕方ないと理解して欲しい。

だから純君の態度は私にとって新鮮だったのだ。


彼には下賤な意思がまるで感じられない。

私との恋人関係が終わってしまってもおそらくはさして悲しんだり悔やんだりしないだろう。

こんなのは始めてだ。

彼は私を特別扱いしない。

私を異性と認識しながらまったく関心を向けてこないのだ。

確かに言い寄られたりナンパされたりするのは好きじゃ無い。

しかしこれ程眼中にないと振り向かせたくなる。

私に夢中にしたくなる。

あぁ…私はなんて身勝手でワガママなんだろう。

こんなの只野君が気になっていた頃でも感じた事のない感情だ。

只野君…彼にはアキちゃんがいたし彼もアキちゃん以外の人を選ぶ事は無いだろうが私に全く興味が無いわけではなかった。

多分アキちゃんがいなかったら付き合う事自体は出来ていただろう。

もっともアキちゃんのいない只野君にどれ程の価値があるかは分からないけど……。

只野君のあの価値観はアキちゃんあっての物だ。

アキちゃんなくしてあの只野君の価値観はきっと育まれたりはしないだろう。


でも純君は違う。

彼は彼1人で完結してるんだ。

誰にも見破られた事のない私の内面、本当の私に彼は気付いてる。

深い観察眼とでも言えばいいのか…。

うわべ、見た目、取り繕ったかわいい私にしか興味を示さなかった男達とは違う。

私という人間を理解した上で彼は私に興味を持たないのだ。

本当にふざけてる。

本当に……面白い人……。

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