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7話 アキラのスペシャルメニュー(料理)



「何だよ康太、私の作る飯が食えねーってのか!」


「いや、普通に作ってくれるなら全然食べれるよ、普通にさ…ね」


「あぁ!?普通に作ってどうするよ?今こそ進化した私の特別料理を振る舞ってやるよ!前園さんスペシャルアイドルメニューをな!」


「自分で言ってて恥ずかしくならないのか!?美少女とかアイドルとか、仮にも中身男の癖に!」


「はぁ!?今は正真正銘美少女だろうが?

お前が大好きな黒髪ロングの!

巨乳美少女が!

お前の家の!リビングで!

料理してやるって言ってんだぞ!?

ちとは喜びにうちふるえろよ?」


自分のたわわな胸をグワシと揉みしだきながら前園さんはまくしたてる

目のやり場に困るので止めてほしい


現在二人は只野康太の住む家にいる

暴走機関車の如く料理を作るモードになった前園明は康太宅のキッチンに向かおうとするがそれを必死に阻止したいのは康太自身だった

康太とて、中身が悪友のアキラ君である事を横に置いてありのままの現状を受け入れれば自分の家のキッチンに理想の美少女が立っているという夢のシチュエーションを堪能出来る


陰キャ男子にとって女の子の手料理など死ぬ前に一度は食べて置きたい物の筆頭だ

いっそ中身がアキラ君だと解っていても、視覚的に楽しめるならそれも良いかもしれないと開き直ろうと思ったがその結果ダークマターが出てきたのでは対価としては釣り合ってない

アレはマジで僕にとってのトラウマだ


どうやら僕はアキラ君にとってのタブーを踏んだようだ、まぁ、わかってて言ったのだけど…



「なる程、そこまでして私の手料理が食べたくないか、」


「いや、何度も言ってるけど普通に作ってくれるなら喜んで食べるよ?アキラ君とはいえ、見た目はたしかに理想の美少女な訳だし…」


「なんだ、私が美少女なのは認めてたんだな、てっきりホモなのかと割りかし本気で思ってたぞ?」


「ホモだったらここまで苦悩してないよ…」


「なんかいったか?」


「なんにも…」


「……、とにかく、お前は是が非でも私に料理をさせたくないんだな」


「いや、だから普通の食べれる物をですね……」


「裸エプロン……。」


「はい?」


「お前裸エプロンが好きとか言ってたよな?」


「言ったような?言ってないような?言ったよ…」


「康太〜!裸エプロンしてやるよ!」


「はぁ!?」


「裸エプロン!着てやってもいいんだぜ?ただし、ここを通してくれたら…な?」


「なん……だと…!?」



裸エプロン…

それは所謂男にとってのロマン

男のロマンの一つだろう

彼女や奥さんにさせたい究極のロマンだろう

その余りにも破壊力の高い格好から女側にもやるのにある程度の度胸と覚悟が要る

ていうか、基本的に断られる

頼んだが最後、そこから別れる、離婚まで行ってしまう可能性をも秘めている

まさに死と隣合わせ、諸刃の剣なのだ

もっともそれは相手の好感度によって変わる

好感度で左右されるのだ

彼女や奥さんの好感度が高ければ裸エプロンは決して夢物語ではないのだ

バニースーツやメイド服やナース服のような手間の掛かる物ではなく誰の家にでもある身近な物で再現出来てしまうのだ!


女性側の羞恥心と相手を喜ばせたいという一種の献身的な姿勢がせめぎ合う事で生まれる究極の愛の形

ソレが裸エプロンだ


まぁその見た目の卑わいさからそんな高尚な物ではない事くらいは理解している、

前方から見れば普通にエプロンを着ているだけだが後はモロ出しだ、俗にびん○ちゃっまスタイルとも呼ばれている

彼女はそんな格好に自分からなると申し出たのだ

彼女や奥さん、所謂恋人でもないのに


そこまでして僕の胃を破壊したいのか…

今日アキラ君と笹木君と3人でファミレスに行った

笹木君がドリンクバーに行ってくれて僕は安心したんだ

ナイス笹木君と静かに感謝した

ドリンクバーにアキラ君が行けばおそらくはドリンクバーの全ての飲料を混ぜて手堅いダークマターを作成し、それを僕にだけドヤ顔で出して来ていたことは想像に難しくない

しかし今回は僕の家でそのダークマターを作りそれを僕の口の中に突っ込もうとしているのだ


アキラ君という人間は普通だねと言われる事を嫌う、凄い嫌う、常に自分を特別たらしめる謎の自信と行動力をもって彼は変人の名をほしいままにしてきた


そんな彼の事を僕は何だかんだ尊敬していのだと思う

正直に言うなら、彼の、アキラ君の言葉を借りるなら尊いと、敬っていたのだ。


だからこそ許せなかった

自分を凡人と定義した彼の事が許せなかった

だから嫌味を言ってしまったのだ

でもだからって物理的なダメージを狙いに来るのは卑怯だろ、僕はガチでアレを食べたあとトイレに一時間籠もってその後もずっとお腹がぐるぐるしてたんだ

真面目にしんどかったんだ


「ぐぅ、ぐぐうぅぅ……」


「うわぁ、真面目に悩んでる…そんなガチで悩まれたら逆に引くわ…」


「アキラ君は知らないんだ…僕があの後どれだけ苦しんだか…アキラ君は知らないんだ!僕がどれだけ裸エプロンを見たいのか!!アキラ君は知らないんだーー!!」


「……、逆ギレしやがった…、恥ずかしい程に欲望に忠実だな…お前…」


「でも僕は……ダークマターを選ぶ事にするよ…」


「え?」


僕は隔てていたキッチンへの道をアキラ君が通れるように退いた、

アキラ君がキッチンに入って料理が出来るように



「どういうつもりだ?わけわかんねーぞ?裸エプロン見たくないのか?それともダークマターが食いたいのか?」


「違う、ダークマターは食べたくないし、裸エプロンは見たい、でもそれとコレは違う」


「何が違うんだよ?」


「アキラ君は友達だ、アキラ君はどう思ってるか知らないけど個人的に親友だと思ってる、その友達を性的な目で見たくない、僕は……、アキラ君と…友達でいたい」


「………、はは、ホントお前は馬鹿の癖にクソ真面目だな、いいぜ、とっておきのダークマターをごちそうしてやるよ」


「はは、ダークマターか…」


「あと、それとよ……、私…いや、『俺』もお前のこと親友だと思ってるぜ?」



そう言ってアキラ君はキッチンへと入っていった


(そっか、親友なんだな、僕等……はは、)


思わず笑みが漏れる

馬鹿な事をしたかも知れない、ナイスボデーの美少女高校生の裸エプロンが見れたかも知れないのに

でも後悔は無いのだ

コレで良かったと思えるから


アキラ君は変人だが超人ではない

もともと陰キャの彼が陽キャに混じって生活している、

何故そんな事をしているのかは知らない

ただ一つわかる事はある

彼も疲れていたのだろう

だからあんな弱音を吐いたのだろう

いつもの彼ならば俺は特別だ、俺の特別さに世界が追いついていないだけだ!と言っていたはずだ

そんな彼が自分を殺して陽キャに混じって凡人を演じているのだ

精神的に疲れていたのだろう

そんな彼の、彼女の拠り所となるなら

それはとても誇らしい事だと思えたのだ



ちなみにアキラ君が作った新作ダークマター

通称清楚幼馴染系美少女JK前園アルティメットアイドルメニュースペシャルは普通に…いや、冗談抜きでそこらの料亭並に美味しかった

この自称清楚系幼馴染美少女

料理のスキルが普通に上達していた

は?何故?ほわい?


「馬鹿が!?言ったろうが!この私がいつまでも弱点をそのままにしている訳がないだろうと、真の清楚系美少女たるもの、料理も出来なくてどうする!幼馴染の鉄板といえば朝早起きして作られた弁当だろうが!」


「おおぉ〜」



腰に手をあて、制服の上からエプロンを着た前園さんがこれ以上ないドヤ顔で仁王立ちしている

胸をそらしているから無駄にデカい胸の膨らみはエプロンごしでも主張を怠っていない、すげぇ……


制服エプロンもありだなと

その時思ったのはアキラ君にはナイショだ


この時の僕は明日前園さんが可憐な笑顔で僕に弁当を教室の中で投下してくる事をまだ知らない

それで修羅場になるのだが

それはまた別の話だ

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