63話 琴音の嫌がらせ
誤字報告毎回ありがとうございます。
「私と康太を生徒会に入れたい本当の理由はなんだ?お前なら私等の力添なんか無くてもどうとでもなるだろ?」
「そうですねぇ、理由は沢山ありますが強いて一つにまとめるなら明姉様への嫌がらせでしょうか?」
「嫌な妹様だよ、全く…」
「でもそういうの抜きにして明姉様と康太兄様を生徒会に入れたいと考えてるのは琴音の本心です、」
琴音はふぅーと溜息を付いたあと話しだした。
「元来琴音は生徒会長なんて興味はありません、むしろあのような生産性のない役職などしたくありませんよ、皆の模範など興味はありませんし琴音が生徒会長と言うだけで周囲からいらぬヘイトをかう始末、明姉様がお母様達の指示に従って生徒会長をしていれば琴音はこんな事をしなくて良かったんです、だからコレは琴音に面倒事を押し付けたお姉様への嫌がらせですね。」
「勘違いするな、押し付けたんじゃない、お前の方が相応しいからゆずったんだ、私じゃお前には勝てないからな、母様達もその方が喜ぶし私はお前の引き立て役なんかになりたくはない。」
「どのみち琴音はやりたくも無い生徒会長を中学の3年間やりきりました、そして高校の3年間も同様ですよ、琴音は中学の3年間で学んだんです、ヘイトを受ける役は分散すればいいし同僚は信頼出来る相手に越した事はない、役員仲間だなんていっても所詮は他人、身勝手で自己中心的な行動をとりたがる方々、烏合の集まり、その皺寄せはいつも琴音が取る事になる。辟易するんですよ?」
「おお〜…案外に割と溜まってんだな…」
「溜まってんだなじゃないですよ…もう…、」
ふぅと溜息を短くつき、鍋に箸をつけてグリグリ掻き回している。
母親がここにいればお行儀が悪いと卒倒してそうだ。
コイツもこんな事するんだな、普通にお下品なのでやめろ。
一口肉団子を頬張ったあと琴音は話しだした。
「学校は社会の縮図なんて言いますが生徒会なんて所にいればそれを強く意識させられます。生徒達は自分本意な言葉を正義だと信じて押し付けてくる、他人を尊重しようなんて考えは持ち合わせていない、自分しか見えていないから遠慮なんてない、日々のストレスの巣窟ですよ」
「貴方から他人を尊重なんて言葉が出て来るなんていっそ清々しさすらありますね」
「茶化さないでください…琴音だって自分本意に徹すれば生徒会の運営なんて簡単です、恐怖政治で他を締め上げ琴音色に染め上げればこんなに悩む事なんて無いんですから…」
「貴方ならやりそうね…」
まぁ実際にはやりそうではなくコイツはやっていたのだ、前世での話だが…。
生徒会で圧倒的権力を作り上げ他をひれ伏させる恐怖政治を行っていた。
誰もが琴音を校内ではこう呼んでいた。
魔女と…。
そしてそんなあだ名が付けられているにも関わらずコイツは何食わぬ顔で圧政を続け皆から恐れられていた。
勿論不良やごろつきみたいな連中に絡まれた事も一度や二度では無かったが何処で学んだのか知らないが護身術を駆使して撃墜。
もはや無敵の人だった。
そんな前世の琴音を見ているからか今は真っ当な生徒会長を目指してる事が割と奇跡的でまるくはなったのだなと感心する。
「でもそんな事は出来ません、しかしヘイトのマトにされ好き勝手に言われ周囲から玩具にされるなど我慢なりません。それに生徒会内部にも地位や名声の為に立場を利用しよとする者が一定数いて琴音を苛立たせる、卒業という逃げ道が無ければ琴音はやっていたでしようね。」
何をとは聞かない。
コイツが何をやっていたかなど決まっているからだ。
恐怖政治で他を黙らせ自分に都合の良い未来を勝ち取る。
しかし今のコイツは現実を見る目が養われている、そんな事を続けていてもやがては限界がきて後悔することが解っているのだ。
コイツもいま思えば可哀想な奴なのかもしれない。
母親は女が社会のトップに立つことを夢見る夢想家で父親は自分の遺伝子を分け与えた者こそが優秀と考える理想家。
姉はそんな両親から逃げ出し自分に全て擦り付けた卑怯者ときたものだ。
コイツに卑怯者なんて思われているとかこれ以上に腹立たしい事は無い。
私から全てを奪っておいて卑怯者だとか思う資格があると思うなよ?
ホントにむかつく奴だ。
「貴方はさっき生徒会のメンバーは信頼のおける人員で固めたいみたいな事を言っていたけど私達がその信頼に足る人員だと認識されているのは正直意外ですね。」
「信頼してますよ、お姉様、お姉様程に信頼出来る他人を琴音は知りません。」
「成る程…はぁ…わかりましたよ、付き合いましょう貴方の生徒会。」
「ふふ、ありがとうございますお姉様、後で無しは無しですよ?ちゃんと録音もとってありますから?」
「はぁ…やれやれ、用意周到だ事」
断る選択杯は無いだろう。
断ればコイツは色々な方法で私の自由を奪うだろう。
元はと言えば私の落ち度だ。
コイツを化け物に育て上げた私の落ち度、責任だ。
ならこれくらいは付き合うさ、
何、生徒会長になるワケじゃないのだ。
面倒な事はコイツがやってくれる。
いやいや、その考えが駄目だ。
今回の事でコイツに面倒事を全て押し付けても良い事は何もないと悟った。
だからある程度はしっかり仕事をしよう。
生徒会長前園琴音を補佐する副生徒会長前園明という仕事を。
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