44話 前園琴音
前園家の面々と夕食を食べる事になった
正直コンディションは常に最悪だ、
胃が常にキュッとなっていて戻してしまわないか心配でならない、一緒にいるだけでコレだけのプレッシャーをかけてくるのだから流石だ。
また隣にアキラ君がいないのも心細さに拍車をかける
彼女は母親から彼氏に手料理を振る舞いなさいと言う事で母親に夕食作りを手伝わされている
僕は前園父とタイマンとか嫌なのでアキラ君の部屋に退避している
暇である、暇であるのだがそれ以上に頭の中には興奮している自分もいて泣きたくなる
この部屋には何度か来た事がある、
もっとも頻繁に訪れていたのは小学生の頃までで中学に入ってからはアキラ君が僕の家に遊びに来る事の方が増えたりしてほとんど来ていない
だからこの部屋に来たのはかなり久しぶりだ。
アキラ君も今の家で一人暮らしを始めてからはこの部屋の使用頻度はそう多くなく実質的な空き部屋となっている、しかし、しかしだ!
ここは紛うことなき前園明の部屋だ
なんか少しいい匂いするし、部屋が女の子してるし、なんか興奮するよね、
とひとしきり興奮したあと泣きたくなるのだ
この部屋の住人は元来男だった存在の物だ。
いろいろあって結果的に泣きたくなる
まぁアキラ君は今は紛うことなき美少女で僕の彼女だ。
そんな彼女の部屋にいるというのはこの家に来た唯一の意味であるといっても過言ではない
別に来たからと行って下着を覗いたり拝借したりはしない、正直そんなものは『見慣れている』ので対して有り難みも感じない。
まぁ所謂勝負下着とかなら見てみたい気もする。
フリフリフリルや黒のレースや布面積の低い下着や想像すれば切りがない。
惜しむらくは彼女がそういうの僕の前で穿いてくれたことがない事だろうか、
まぁブラからこぼれそうなオッパ〜イを日々見せてもらっている身でこれ以上の我儘は身を滅ぼすだろうから多くは望むまい、フッ、この一点にかけては僕は間違いなくリア充と言えるだろう。
そんなしょーもない事を考えながらスマホでソシャゲをやって暇を潰していると部屋のドアがゆっくりと開いた、
この部屋の主はアキラ君だ、よってアキラ君が入ってきた、そう思った、誰だってそう思うだろうし、思わない方が不自然だろう?
だから意表を付かれる形となった
「お久しぶりですね、お兄様…?」
部屋に入って来たのはアキラ君の妹、
前園琴音だった。
「こっ、琴音ちゃんか……」
「ふふ、姉様じゃなくて残念ね?康太兄様?」
「えーと?何の用?まだ夕食には早い気がするけど?」
「えー?琴音退屈だから久しぶりにお兄様に相手してもらおうと思ったのに連れないのですね?」
「俺みたいなのといても楽しくないだろ?学校の友人と遊びに行けばいいじゃない」
「同年代の子達とはいつでも会えますが兄様は今日しか会えませんもの、それとも琴音とは遊びたくありませんか?」
「え?いや、そういう訳じゃ…」
「聞けば康太兄様と明姉様はお付き合いなさってるとか、いいですね、大人のお付き合い、憧れます」
「はは…」
僕はこの琴音という少女が苦手だ、
こんなに懐いてる娘がいて美少女とくれば苦手がってる場合じゃないだろうと激怒されそうだが逆に言わせてもらうと彼女がここまでフレンドリーな態度で接してくる理由が何もわからないのだ。
彼女と僕は元来こんなに仲良くはない
といより目を合わせれば威嚇するように睨まれていた、
ラノベ的にメタな勘繰りなどをすれば照れ隠しなどの可能性もあるかもしれないけど僕は彼女に対して好感度が上がりそうな事は何もしていない、
好感を持たれる切っ掛けが無いのだ。
それなのに高校にはいってからたまに会えばやたらと絡んでくる、もはやカオスである。
因みにコレは今世での話だ。
僕が彼女を真の意味で苦手がってるのは前世での彼女との思い出からだ
前世はホントに酷かった
威嚇どころがガンを飛ばされたし明確な舌打ちもされた
なんなら手が少し触れようモノなら直ぐ様洗面台に駆け込まれるくらいだ、
普通に傷つく
「康太兄様、何をなさいますか?前に兄様に教えてもらった遊び、琴音も上手くなったのですよ」
「へぇ~そうなんだ…」
「はい、このソーシャルゲームはレベリングの途中ですが中々強いパーティーを組める様になりました!リックとデュークは相性が良いので同枠です、互いの能力が高め合う為シナジーが良いですね、後エランとカナフはバフ持ちなので入れておくだけでも雑に強いです」
「鳳凰の証はとってる?」
「え?いえ、持ってないですけど」
「なら取っといたほうがいい、生属性の低レアキャラを5人完凸するだけで無償放出してくれるから、バフ持ちに装備させとけばバフの効果が2.5パー上がるから今より一段強くなるよ、あとリックとカナフは陣営が違うから陣営バフが入らない、まぁそれ抜きでも優秀だからそのままか変えるかはユーザーの愛次第かな」
「なる程、流石ですね、ではこの組み合わせはいかがですか?」
「それだとこのアイテムをつけとけば良いよ、持ってるのに付けてないのは勿体ないよ」
「今一使い方が分からなくて…」
「このアイテムは……」
そう、琴音ちゃんはソシャゲにドハマリしている
因みにNO課金勢である。
僕が課金は罪だとか課金はズルだとかいちいち課金を貶める事ばかり言っていたからかそういう価値観を持ってしまって一切課金はしてないみたいだ、もっともゲームの都合でどうしてもしなければならない部分は仕方ないとやっている。
この家の人間は基本的に厳格なのでソシャゲとか絶対に許してはくれない、漫画すらない程だからその徹底ぶりは筋金入りだろう、そんなんだからクレジットから課金した痕跡は極力減らさなければならない、
そんな時琴音ちゃんはコンビニダッシュしているらしいがにわかには想像出来ない光景である。
ちなみに課金を悪く言ったが所詮は貧乏人の僻みである、出来るものならしたいのが本音である、
それはさておき、
アニメ、漫画を知らずに育った琴音ちゃんがあまりに不憫で僕はソシャゲを彼女に勧めた
ハマらないだろうなと思っていたが予想外にドハマリしている。
しかし勉学は疎かにしていないのかもとよりある地頭の良さからか成績は常にトップクラス
チート美少女中学生である。
僕に対して琴音ちゃんの態度が軟化したのはまさにこのソシャゲが切っ掛けだがそんな事で今までの態度が変わる筈はない、
今だけなんだろうなとため息をつくのだった
実は最初から好感度マックスのべた惚れ状態で普段の態度はツンデレムーブだとか妄想を膨らました事もある
さしずめ僕は鈍い恋愛音痴の難聴系主人公だろうか?
悲しいオタク男子の哀れな妄想は留まる所を知らないのだ
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