40話 彼女の実家に行くという事の意味
アキラ君からお家に来ないかと誘いのお告げだ。
普通、彼女が自分の家に彼氏を招待するというシチュエーションは飛び上がりそうになるほど嬉しい物だ
しかし僕等の場合においてそのパターンは通用しない
彼女が、アキラ君が僕を家に招くという事は幼馴染として、もっといえば前世からの付き合いからしてろくな話では無い事がはっきりしている
だから僕はその確認を目の前の美少女にする事にする
「もしかしておじさん、僕をお呼びな感じ?」
「残念、両方だ、」
「両方……か…」
両方とはおじさんとおばさんの事を指す
おじさんとおばさんとはそのままアキラ君の両親、つまり父母の事を指す、あの二人が僕を呼んでいるという事だ
「何故今になって僕を呼ぶ事になったの?」
「前に実家から呼び出されて仕方なく帰ったんだがその時に色々聞かれてな、お前と恋人として付き合ってる事を話したら一回連れて来いと言われた次第だ、」
「話したんだ…」
「おう、話した、別に隠す事でもないしな、」
「サバサバし過ぎでしょ?そこは乙女のような恥じらいを持って欲しいのだけど?」
「お前は私にそんな反応を求めてるのか?キショ」
「酷い、美少女にキショって言われるの辛い」
「御褒美だろ、もっと喜べ」
「僕はMじゃないから喜べない…」
「なんだと?このざーこ♡ざーこ♡」
「舞野さんに言われた方がまだときめくな、」
「あぁ!?浮気かこのやろー?向こうは彼氏持ちだぞゴラァ?」
「はぁ…前園家かぁ…」
僕はあの家が苦手だ、
そしてそれはアキラ君も同じだ、
で無ければ一人暮らしをしたり幼馴染で元男友達とはいえ頻繁に男の家に上がり込んで来たりはしないだろう
彼女の家は一言で言えば金持ちだ、
そこらの金持ちとは訳が違う
おじさん、アキラ君の父親が大手会社の社長で僕の父親はそこの社員だ、力関係が如実にはっきりしている
あのインテリぶった人を見下した様な態度が僕は苦手だった、今世はまだマシだが前世は露骨に僕の事を見下した目をしていて鼻で笑われた事もある。
アキラ君の父親でなかったなら金輪際関わりたくない人種だろう、また僕の父親もそんな男が征服する会社に勤めているため主導権は完全にあちらにあり前園社長の前で粗相が無いように前園社長の前で恥をかかせるなとアキラ君の父親の顔色ばかり伺う人物に成り下がっている。
仕方ない事だとは理解しているがどうもやりきれない気持ちになるのは理解していただきたい。
そして問題なのは何も父親の方だけでは無い、
母親の方も性格にかなりの難を抱えている。
母親はかなりのフェミニストだ、男を汚らわしいという目で見ている、
今世ではアキラ君が女なので仲良くやっているようだが前世では実の息子を虫を見る様な目で見ていた。
勿論僕に対してもそれは同じで家に遊びに行こうものなら当時中高生だった子供に露骨な嫌がらせをして来るような人だった。
そんな訳だから僕はアキラ君の家には基本近づかないし、アキラ君も表面的には仲良くしてるが両親の事は大嫌いだと名言している。
そんな感じで半ば家出に近い形で一人暮らしを実行しているのがアキラ君だ。
まぁ家賃も結局はその両親が出してるのでアキラ君の一人暮らしは親の手のひらの上で成り立っているわけだが
因みに言うと僕がホントにあの家に行きたくない理由は他にもある、というよりコレが本命の理由だ。
え?まだあるの?と思われるかも知れないがコレが一番行きたくない理由だったりする
アキラ君には実は妹がいる
血の繋がりが無い義妹だとか、
前世が弟だったとかそういうのは無い
前世も今世もアキラ君の妹は妹だった、生粋の妹だ。
僕はこの妹が凄い苦手だ、名言できる理由は特にない
なんとなく苦手なのだ、彼女の醸し出す空気?圧?プレッシャー?分からないが一緒にいたくないと感情が拒絶反応を示す、アキラ君の妹はそんな存在だ。
見た目は流石前園さんの妹といった感じで淀みない美少女で今年で中学2年の14歳だ。
おそらくは学校でも窓辺の令嬢とか社長令嬢とか言われている事だろう、なんというか良いとこのお嬢様感が半端ない
また体付きも姉に似てお前ホントに中学生かと問いただしたくなる程大人びている
顔も人形の様に整っていて不気味な程だ。
さぞかし中坊達の陰茎を苛立たせている事だろう
「わかるけどさ〜そんな嫌がんなよ、あんなんでも一応は私の家族なんだ」
「わかってるよ、はぁ…」
「それに付き合ってるのなら遅かれ早かれアイツ等には言っておかないとな、後々面倒になるのは御免被りたい」
「まぁ、そうだね、後で色々チクチク聞かれても面倒になるし、」
「だろ?結婚とか視野に入れるなら一番の敵は一番最初に片すべきだ」
「けけけ結婚!?」
「いちいち動揺すんな、うぜーなぁ、恋人として付き合ってんだ、このまま大学に行って社会に出れば結婚も視野に入るだろ?普通」
「いやいや、結婚だよ!?結婚ってそんなコンビニ行ってくるわってノリでやるもんじゃないよ?」
「わかってるよ、そんな事、つーかなに?お前私と結婚したくないわけ?」
「いえ、その様な事あろうはずがありません、是非したいです」
「ならばよろしい、つーわけでこそこそしててもアイツ等にいちゃもんつけられる確率あげられるだけだし、見合い話とかチラつかされたら結婚を前提に付き合ってる彼氏の事話すのが一番合理的だろ?」
「まぁ…そうだね、」
結婚か…、まさかアキラ君がそこまで考えてるとは正直思ってなかった
現実は時として非情だ、僕のようなとりたてて大きな特徴も無い平凡なオタク男子がアキラ君のような美少女と結婚など本来地球を一周してもあり得ないだろう
しかしアキラ君はそんな僕と結婚を前提にした付き合いをしてくれている
願ってもない事だがそのハードルは当たり前に高い
まずご両親の壁の高さだ、
先にも説明した通りあの人達は所謂選民思想みたいな物を持っている
アキラ君の夫に僕の様な陰キャは相応しくないとそこらの陽キャ以上に反発してくるのは想像に難しくない
余りに巨大な壁の出現に目眩がする思いだ
「とりま今週の土曜の朝からだから覚悟決めとけ」
アキラ君はそんな残酷な話を僕にぶっきらぼうにするのだった
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