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2話  清楚系巨乳美少女の裏の顔

   

   ゛今日も行くから゛



僕のスマホのラインアプリに記されている簡素な一文の差出人は意外かもしれないが前園明だ

まぁ僕に取ってはいつも通りの事なのだが


彼女の様に学園のアイドル、高嶺の花を地で行く女子高生は現実にはそういないだろう

何故そんな人物から僕のような陰キャにラインが届くのかそれには深いようでさして深くない理由がある

陰キャらしくそそくさと学校から家への帰路に付き、家に着いてからは自室に籠もり、くつろいでいるとドカドカと階段を上がる音が聞こえバァンとドアが開け放たれた

そこには件の美少女、前園明が気怠さを全身に表して突っ立っていた。



「はぁ…だるぅ……康太冷たい飲み物ある〜?」


「麦茶がそこにあるよ」


「んだよ、冷えてねーじゃん」


「いらないなら飲むな」


「いるいる、あんがとさん」



簡素な礼を述べ彼女はペットボトルに入れられた麦茶をラッパ飲でグビグビと一気飲みし、ぷはぁーとおっさんのような声を上げて僕のベットに腰掛ける。



「本当アイツ等うっとおしくて堪らん、男は私の胸チラチラ除きこんでくるし、女は媚びてくるしウザいことこの上ない」


「じゃ関わらなければいいじゃん、」


「はぁ?馬鹿か?今の地位を不動の物にするためにはああいう下らない連中とも関わっていかなければならないでしょ?」


「そんな苦労してまで守るもんかね」


「ホント、康太は解って無いねー、そんなんだからいつまでも陰キャなんですよー」


「ほっとけ、それよりここにくるの誰にも見られて無いだろうな?」


「私がそんなヘマするとでも?抜かりはありませんよ」


「なら良いんだけど…」


「そんな事よりあっつ!これ邪魔だな」



彼女はおもむろにに制服を脱ぎだし、大き胸をぶるんっとさらけ出す、さらけ出すといってもブラはしている様で真っ裸になった訳ではないが、学校の連中が見れば1大スクープ物の光景だろう

高校生とはとても思えない大きな脂肪の固まりが胸に付いていてそれをブラジャーで覆っている

明らかにサイズの合っていないブラジャーに追われた胸はとても窮屈そうに見える



「何ジロジロみてるんですかぁ〜?もしかして触りたいのかなぁ〜?」


「アホか、誰がお前のなんか」


「その割には顔真っ赤ですょぉー、う〜ん?」


「中身男の胸なんか見ても気持ち悪いだけだ」


「中は男でもこの体はまごうことなき学校1の美少女JKだよ?いいのかなぁー?」


「アキラ君が中身だと解ってると立つものも立たないよ…」


「やだ~立つものってなんですか〜?」


「コイツ……」



前園明、この女は実のところ本来なら男なのだ、男の筈だったがどういう訳かこの世界…いや、この時間軸と言うべきか…では女になっていた

僕達は元々陰キャ通しのオタク友達だった

いつもアニメや漫画、ゲームをやってハマった作品の感想や考察を言い合う中だった

僕達の通う学校にはオタクが極端に少なく、またオタクと言うだけで馬鹿にされる傾向が強くだからこそ僕達はより結束していったのだと思う


元々の交流は中学からだったが、それ以来はほとんど一緒にいたオタク仲間だ

奇しくも同じ高校に通う事になり、ほとんどの時間を共に過ごした友達だ


大学も同じところに入学するため、一緒に勉強していた、男二人で常に一緒にいたが別にホモというわけでは断じてない、女友達や彼女だってほしい、ただオタクでフツメンで地味な陰キャなど基本誰の目にも留まらない

だから傷をなめあう形でずっと二人一緒にいた

大学入学の合否が発表される日僕等二人はその場で刃物を持って暴れていたおそらくは不合格者の暴走に巻き込まれて殺され、二人仲良くあの世へと旅立つ事になったのだが気づけば時間逆行していて赤ん坊から人生を再スタートしていたと言う訳だ


良く人生二週目再スタートはチートなんて言われるが結局頭の出来も運動神経も並以下の僕ではこの状態をそこまで生かしきれる事もなく、前世?より少しマシ程度に留まっている


しかし人生二週目再スタートなんて実際こんなモンだよなと思っていた僕の考えはアキラ君との再開でマルっと覆される事になる



「康太!私はなぁ、ようやく自分自身を正しく評価される世界に生まれいでる事が出来たと考えてるんだ、そう!所謂世界が私にようやく追いついたというヤツだな!!

私はなんでも出来る!勉強も陽キャ共の調教も元来この私に出来て当たり前の事なのさ!しかし努力を怠っては駄目だ!天は二物を与えてこの私に真の人生を与えたがこれはまだ試練の最中なのさ!!

みんなの理想の清楚JKを演じきってコソ!神は私を真に評価するのさ!!」


(………また始まった…)



下着姿で巨乳を振り回しながら一つも卒業出来ていない厨ニ理論を振りかざす学園のマドンナ

現在の僕等の年齢は16だか、中身は19である

今世の年齢を重ねれば35な事を鑑みれば痛い事この上ない



「でも運動はからっきしじゃん、アキラ君」


「運動なんか出来なくてもいいんだよ、社会に出て必要なのは身体能力じゃなく、学力とコミュ力なんだよ!私は前世の醜いガリ勉オタク男から華麗なる真の姿に生まれ変わりこの花々しい人生を謳歌する為にもあの俗物共の女王様であり続けなければならないわけだな!」



彼女、いや、彼は前世では自身が言う様にガリ勉の貧弱メガネ男子だった、いつも下を向いてブツブツ何か呟いていたかと思うと好きなことにはでかい声でマシンガントークを炸裂させるオタク代表みたいなヤツだった


いつも誇大妄想お疲れ様ですとしか言えない痛い妄想を口走って周囲の陽キャ達からキモがられていた

この世界は俺に優しくないだの、真の俺が本気になれば世界は真っ当に俺を評価するだの、クズ共が、俺がまだ本気になってない事に感謝してカスみたいな人生を精々謳歌すればいいとかをキモいほくそ笑みを交えてブツブツ呟いていた、


拗らせていたといっても過言ではないだろう

まぁ今の彼女があるのもそんな過去(前世)があったればこそだろう、彼女はあれで大の負けず嫌いで反骨精神の固まりみたいなヤツだ

そうやって拗らせた努力を重ね今の学園のマドンナポジを獲得したのだからあっぱれなものだと本心から思う。



「そういや、聞いてくれよ、今日私に告って来たヤツ、隣のクラスの河野だったんよ、」


「河野…?あぁ、2年(前世)の時にアキラ君を馬鹿にしてたギャル男君か、」


「そうそう、ギャル男君!!」



河野君とは現在隣のクラスに在席している、浅黒い肌をした茶髪のお手本の様なチャラ男だ

たしか彼女がいたはずだがこの時点ではまだ付き合ってはいないのだろうか?二股、あるいは前園さんを自分の物にしたら捨てる算段だったのだろうか?

まぁどうでもいい事だが


今から一年後、2年になったさいに、彼と僕等は同じクラスメイトになる

その時に河野君はアキラ君をイジりのターゲットに絞りイジメにならないギリギリのラインでイジっていた

故に前園さん的には告って来たところで了承などあり得ない事だろう事は容易に想像出来るが。



「アイツに立川って彼女がいるのはリサーチ済みだったから告白現場に立川さんを同席させて修羅場にしてやったわ!二股男とか最低です!二度と話しかけないで!って盛大に立川さんと一緒にフってやったったわ!ザマァ!ギャハハハ」


「なんてムゴイ事を……そんな事して河野君に逆恨みされても知らないよ?」


「只野はホントにアホだなぁー、私がなんの為に陽キャの大将なんて面倒くさい事してると思ってんのよ、河野一人にどうこう出来るもんかよ!むしろこれから前世の借りをコツコツ返してこうと思ってたと・こ・ろ♡」


「うゲェ…」



指でハートのマークを作ってこれでもかと媚びた表情を作るアキラ君はイキイキとしている、

彼女にとってここが唯一素の自分を遺憾なく出せる場所なのだろう


ほぼ間違い無い推測だけども、そう思うのは自意識過剰なのだろうか

美少女になった彼と僕ははたして平等に接していいのだろうか

僕はそれがずっと分からないでいる。

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