15話 舞野瑠衣その1
私の名前は舞野瑠衣
自分で言うのもなんだが私は見た目がかわいい女の子だ
でも私は自分がかわいい事を決して良い事だとは認識してない。
かわいいだけで、イジメられた
かわいいだけで、ボッチだった
かわいいだけで、セクハラされた
かわいいだけで、いやらしい目で見られた
だから中学の頃は目立たない様に地味にしていた
前髪を伸ばして顔を隠し長いスカートをはいて髪の毛もわざとボサボサにして誰が見ても陰キャ丸出しのダサい女になった。
でも告白された
でも目で追いかけられた
でもセクハラされた
無駄だった
意味がなかった
地味にしても元がかわいい私には意味がなかった。
むしろ地味な見た目のせいでチョロいと思われかえってそういう嫌な事が増えた
高校生になってからはこれまでとは真逆
自分の本来の美貌をフルで活かそうと考えた
年齢に反して童顔だから、ツインテールにしてあざと可愛い路線にした、口調やキャラ付けにも徹底した
明るくかわいい舞野瑠衣を演じた
直ぐに囲いが出来た
薄汚い笑みを浮かべる男共
媚びへつらう卑しい女共
でも私は学校で一つのポジションを獲得できた
イジメられない、ボッチにならない、セクハラされない
それでいて皆の中心
一番大きかったのはクラスメイトに私とは別ベクトルでかわいい、いや綺麗な子がいた。
前園明。
男みたいな名前だけどそんな名前に反して本人はとてもお淑やかで育ちの良さそうなお嬢様みたいな子だった。
この子と仲良くなれば
告白とかセクハラとか女子の逆恨みとか嫌な事を分散出来るんじゃと思って声をかけたのがきっかけだ。
でも、彼女との出会いは私に大きな転機をもたらしてくれた
彼女には感謝している
私と同格の美貌を持った子
別に自分の美貌をひけらかしたり他人を見下したり、それでマウントを取ろうなんて考えた事はない
ただ私は同格の友人が欲しかった
気を使わず笑い合える友人が
彼女は私を受け入れてくれた
それがとても嬉しかった
でも、彼女も本質は同じ
舞野さんはとってもかわいいですね
彼女にそう言われた
それだけで彼女も他と同じだと気づいたのだ
見た目でしか私をみていないと
誰も本来の私をみてはくれない、上辺で取り繕った見せかけの笑顔なのにどいつもこいつもコロッと騙されて笑えてくる。
でも私はいまの私を続けなくてはならない
でないとまた小中学校時代の苦しい日々に逆戻りだ。
別に調子に乗ってる訳じゃない
誰かを見下した事なんてない
そもそも調子に乗るってなんだ
意味がわからない、
だからあの時、只野君が陽キャ達から調子に乗ってるって言われても逆に調子に乗るってなんだよと言い返してるのを見た時は凄い共感した。
彼は私に似た感性を持ってるんだってそう思えた
彼のスタンスは徹底している
目立たず騒がず空気に徹する
顔も普通、勉強も運動も普通、何もかも普通、本来彼みたいな人間は興味を持つどころか視界に入っててもきっと存在を認識できない。
゛モブ゛まさにそう表現するに足る人物だ。
ただ、だからだろうか
彼が捻くれてるからだろうか
彼は他の奴等とは違う
本当の私を見てくれた
それが嬉しかった
どいつもこいつも私が声をかけたら、それだけで
たったそれだけで顔を赤らめしまりのない、だらしない顔をするのだ
かわいいねと媚びて来るのだ
もういい、聞き飽きた、気持ち悪い
だが彼は違う、まるで面倒くさいと言わんばかりの態度
いや、実際に面倒くさいと思われてるのだ
私は……
あんな人、始めてだ
こんな気持ち始めてだ
今も胸がドキドキと鼓動を鳴らしてる
コンプレックスのこの大きな胸も今はあって良かったと思える、
だって只野君は巨乳好きだ
アキちゃんの胸をいつもみてる
あれで気づかれてないと本気でおもってるのかな
そんなところも何故か愛しく感じる
私はいま、とても充実している
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