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10話 恋人

誤字報告感謝です

「恋…人…だと?」


「そうそう恋人ぉー」


「恋人ってあの、一緒に手を繋いだり、映画見に行ったり、チャリを二人乗りしたり、冬には男のコートのポケットの中で手を繋いだりするあれか!?」


「そうそう恋人ぉー」


「水族館二人で行ったり誕プレお互いに渡し合ったりクリスマスとかにデートしたり正月に初詣行ったりするあれか!?」


「そうそ…別に初詣は一人でも行けるだろ?」


「馬鹿やろう!女のコと行くのとヤロー1人で行くのとでは明確な差があるやろがい!」


「なんと童貞くさい考え方か……」


「なっ!?…童て……、そっちだって童貞……処女だろうが!」


「ははん!いつから私が童…処女だと錯覚していた?」


「えぇ!!?処女じゃないの!!!?」


「………まぁ…処女だけどな…、」


「………」


「………、ゴホン!でだ!お前には私の彼氏になってもらう!」


「いや、全然オチてないからね?てゆーか、何で僕が彼氏?アキラ君…僕の事好きだったの?」


「馬鹿、ちげーよ、……いや、お前の事は好きだぜ?勿論友達としてな?つーより私は恋愛ってよくわかんねーんだよ。」


「よくわからない…。」


「ああ、体はこんなだけど頭の中は男のつもりだ、

恋愛の対象なら異性、つまり男になるんだが私にしたら同性愛者みたいな感じで気持ち悪い、だからって女を恋愛の対象には出来ない、体が反応しない、性欲が全く刺激されないのよ」



詰まる所アキラ君にとっては両方の性別が対象にならないという事か、

男の感性に女の体、理性と本能のせめぎ合い

一長一短では纏まらないのかも知れない



「あぁ、デリケートな話だね、」


「だろ?でも男共はそんなあたしの気持ちなんか無視してガンガン言い寄ってくるのよ、堪らんのよ」




さっきの河野みたいなのは極端な例かも知れないが

アキラ君、というより前園さんを彼女にしたい願望はおそらくこの学校の男子のほとんどが持つ共通認識だ、

でなければほぼ毎日の様に告白などされないだろう

アキラ君当人からすればそれはそれは鬱陶しいことこのうえないだろう。




「…、成る程…、ニセ彼氏を仕立て上げて告白を断る口実にしたいと。」


「まぁそんなトコだ、流石話が早いな!」


「でも僕じゃ役不足だよ、きっと告白は減らないよ?」


「この場合そんな事言ってられない、私の事情知ってるのはこの世でお前だけだ、お前にしか頼めない、僕みたいなフツメンよりイケメンに頼みなよとか言ったらはっ倒すぞ?」


(先回りされた…)


「で?どうなん?してくれるの?彼氏……?」



前園さんの顔でそんな事を聞いてくるアキラ君は実に卑怯だ、頬をやや赤に染め見上げる仕草は本人が意識してるのかしてないのか定かでは無いがそんな態度取られて断る等と出来るはずがなかった


「わ…っわかったよ…」


「マジ?助かるわぁ〜じゃ明日から一緒に登校な!」


「は?」


「昼飯も一緒にとって帰り道も一緒な!」


「ちょ!ちょちょちょい!」


「あ?なんだの?」


「いや、急過ぎない?何もそこまで…」


「いや、何が急なの?お前さっきみたばっかだろ?私は常に襲われるリスクをもって日々の生活してんの、わかる?」


「いや、自業自得でしょ?巨乳清楚系美少女なんてやってたらそら狙われるでしょ?」


「お前の中で巨乳清楚系美少女はいったいどんなカテゴリなんだ…」



失念しているわけではない

前園明は一種のカリスマだ

巨乳清楚系美少女なんて肩書きを持っているのにも関わらず彼女は男と女、何方からも支持を受けている

普通圧倒的にモテる女子なんてのは他の女子から嫉妬の対象にしかなり得ない


にも関わらず彼女がこれだけの支持を受けれるのはその人格、キャラクター性にあると僕は考察している

なんと言うか

前園さんの清楚キャラには裏が無いのだ、普通、純粋な清楚系などこの世に存在しない、あれはフィクションの

中だけで成立する偶像だ


極端な例だとブイチューバーや声優、テレビで活躍するアイドルが裏ではパチンコやってた、タバコやってた、彼氏いましたなんてざらだろうと思うし


こういうのはSNSなんかで燃える定番ネタだ

前園さんにはそういう所謂スキャンダルが全くないし、当人がガチで男に興味を持っていない


嫉妬は少なからずされているだろうが彼氏や片思いの相手を取られる心配がガチで無いのだ


しかしソレが必ずしもプラスに働くかといえばそんな事は決してないのは先程実証された通り明らかだ


清楚系は男の憧れ、ロマンの一つだと個人的に思っている、

前園さんが本物の清楚系ムーブを続ける限り男達は彼女を恋人にする夢を決して手放さない


河野の様な過激な行動に出てくる奴だっているだろうことは簡単に予想出来るのだ

だから僕は色々な音声をとって彼女を影からバックアップしてきたのだ、

まぁ可能な範囲でだが


しかし前園さんと恋人、彼氏彼女の関係

それは魅力的ではあっても理想的ではない

学校で常に人の注目を集めまくっているのが彼女だ

もう何度も言ったが彼女はカリスマある美少女だ

学校のアイドル、マドンナなのだ

陰キャでフツメンのオタク男子が付き合っていい存在では断じてない


しかし僕は彼女に言った

言ってしまったのだ


「それで…僕はどうしたらいいの?彼女なんていた事ないし、何もわからないよ?そもそもどっちから告白した事……、いや、僕からの一択しかないか…」


「あ?何でだよ?別に私からって事にしてもいいぜ?」


「いや、ありえないでしょ?男に対して鉄壁の前園さんが僕に告白とか、僕クラスどころか学校中の男子から殺される…」


「大袈裟だなぁ〜」



飄々とした態度の前園アキラを康太は睨みつける

僕がこんなにも悩んでいるのだ

少しはコチラの苦悩を理解してほしい…


「とにかく、今からお前は私の彼氏だ

告白はお前からで私はそれを了承した、コレでいいな!」


「……うん、」



こうして僕に始めての彼女が出来た

偽だけど、

別に嬉しく無いわけじゃない、中身がアキラ君だとわかってても見た目は巨乳清楚系幼馴染の前園さんなのだ

誇らしいまである

しかし、しかしだ

この虚しさは何だろうか

この付き合いに恋愛感情はない


願わくば、普通の彼女が欲しいと愚痴をこぼしながらそんなモンは高校生の内に現れる事はないと知ってるからこそ虚しさが胸中を支配する



教室に戻るのが億劫でならなかった。



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